飯島一孝ブログ「ゆうらしあ!」

ロシアを中心に旧ソ連・東欧に関するホットなニュースを分かりやすく解説します。国際ニュースは意外に面白い!

北方領土の解決案を巡り、注意すべき点は何か?

2016年10月12日 13時18分38秒 | Weblog

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プーチン大統領の12月訪日が決まり、北方領土問題解決への期待が高まりつつある。早くも様々な解決案がメディアを賑わせているが、ソ連時代も含め、すでに70年以上も日露間で断続的に交渉を続けてきており、明るみになっている事実も少なくない。そこで、ロシア政府や日本政府の言い分に誤魔化されないためにも、注意すべき点を指摘したい。

第一に、北方四島全体の返還はあり得ないということである。日本政府は相変わらず「四島返還が原則」と答弁しているが、戦後結ばれたサンフランシスコ講和条約で日本政府は国後、択捉の2島については「権利は放棄した」と説明している。それを今更返せと言っても世界的に通用しない。つまり、歯舞、色丹の2島返還が最大限、許された要求と言ってもいい。

第二に、歯舞、色丹2島の面積を合わせても4島全体の7%にすぎないが、2島が返還されれば、日本が水産資源や鉱物資源について排他的に管理できる「排他的経済水域」は4島全体の約半分になる。その水域内では、日本は主権的権利を持つことができるので、漁業などの面で日本側のメリットは計り知れないほど大きくなる。

第三に、いま現実的な解決案として「2島返還プラスアルファ」がクローズアップされている。そしてアルファの中身として、残る2島の共同統治や共同開発案が日露両政府から浮上しているが、主権が相手側にある限り、日本側にはメリットがほとんどないと言ってもいい。特にロシア側はしきりに共同開発を主張しているが、日本側が吸い取られるだけという結果になりがちだ。こうした提案にあまり期待しない方が無難である。

第四に、日本側の4島返還と、ロシア側の2島返還の折衷案として「今後双方が合意すれば改めて協議する」というような文言を平和条約にいれるという話があるが、これは玉虫色の表現にすぎない。1956年の日ソ共同宣言でも「領土問題を含む平和条約に関する交渉を継続する」との原案から「領土問題を含む」という字句がソ連側の強い要求で削除された経緯がある。少しでも交渉継続を匂わす趣旨の表現があれば、ロシア側が乗ってこないだろう。

安倍政権には、北方領土問題を政権浮揚あるいは政権存続のために利用しようという考えが強く感じられる。そうした考えでこの問題を恣意的に取り扱われては、将来に大きな禍根を残す事になりかねない。ゆめゆめ国家百年の計を忘れてはならない。(この項おわり)

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