※ 個人的な覚書です。
ただとろとろとあらすじ書いているだけですので、スルーでどうぞ。
記憶って・・・どうして薄れるのだろうな・・・・
あれ?何だか混乱しているぞ。
ってな具合に改竄があります。
申し訳ないです・・・がそんなものです。
≪第一幕第五場 マクベスの城≫
2F中央、右へ左へと歩きながら手紙を読むマクベス夫人。
嬉々とした様子ではしゃぎながら読み進める。
(徐々に熱がこもり、胸の高鳴りとともに、ベルの音が響く)
「~ あなたはグラームズ、そしてコーダー、
やがては約束されたものにおなりでしょう ~」
(魔物が1Fにクッションの用意。使者の台詞)
魔物(使者)「陛下が今夜ここにこられます。」
(姿形は最初の兵士のまま。〔魔力発動の際は目元が怪しく光る〕
舞台上で登場人物たちの動向を伺っているが、いそいそとセットを並べていたり、
突っ込んだりふざけていたり、三者三様でそれぞれが動いている)
夫人「~ この私を女でなくしておくれ、頭のてっぺんから爪先まで
残忍な心でみたしておくれ! ~
この女の乳房に入りこみ、甘い乳を苦い胆汁に変えておくれ ~」
(夫人の独白、強い決意を胸に。)
(マクベス登場)
夫人「あなた~」
マクベス『おまえ~』
(夫人マクベスに飛びつき、腰に足を絡める。
はしゃぎながら熱い抱擁を交わす。まあ色々と......。ウラヤマシッ)
夫人「ああ、グラームズ、コーダー、いえ、
予言のあいさつによればそれよりももっと偉大なかた、~
いまの私はもう未来のなかに呼吸している思いです。」(自分の胸元を押さえる)
マクベス『いいか、だいじなおまえ、ダンカンが今夜ここにくる。』
(ベット⦅1m四方の淡いピンク色のクッションふたつ⦆に座りお互い顔を見合わせている)
夫人「いいえ、その明日はけっして日の目を見ないでしょう!
(マクベス少々困り顔⦅夫人の剣幕に圧倒されている?⦆)
まあ、あなたのお顔はまるで書物、~
うわべは無心の花と見せかけて、そのかげに蛇をひそませるのです。」
(こぶしを強く握りしめ、力強く決意している)
マクベス『あとで相談しよう』 (それよりもっと・・・・と腕を伸ばすも、夫人にあっさりかわされる。)
夫人「さ、しっかりなさい、~」
(二人手をつなぎ、奥へと向かう)
第一幕 第六場 ≪マクベスの城の前≫
ダンカン「実に楽しげなたたずまいだな、この城は。 」
バンクォー「ここでは~空気も甘いようです。」
ダンカン「美しい奥方、あなたの客として今夜はお世話になりますぞ。~」
(夫人に指輪を渡す)
ダンカン「あれは、わしにもだいじな男、
この好意はいつまでも変わらぬだろう。」
第一幕 第七場 ≪マクベスの城≫
(1F奥のガラス扉の向こうでは晩餐の様子が透けて見える。
楽しそうに歓談する王や貴族たち)
(1F中央、マクベスはひとり)
マクベス『やってしまえばすべてやってしまったことになるなら、
早くやってしまうにかぎる。
~みずから短剣をふるう立場ではない。(はっきり言い切る)~
おれには野望の脇腹を蹴り立てる拍車はない、
あるのは鞍に飛び乗ろうとする野心だけ、
それもはやりすぎて向こう側に落ちてしまう。』
(自分の言葉で自分を納得させようとしている感じ。
←徐々に”王殺し”に恐れを抱いている様子)
(夫人1F上手側出口から現れる)
夫人「~そろそろ終わるというのに、席を離れたりして。」
マクベス『~この新しい服は、金色の輝きを失わぬ間に着るべきだ、
簡単に脱ぎ捨ててはならぬ。』
夫人「では、さきほど身につけていたあの望みは酔っぱらっていたの?」
(奥では酔っ払いたちが(貴族や王)どんちゃん騒ぎ。)
夫人「~これからはあなたの愛もそんなものだと思うことにしましょう。~」
マクベス『もう言うな。おれは男にふさわしいことならなんでもやる、
それ以上のことをやるのは人間ではない。』(言い切る)
夫人「では、けだものだったのですか、
~あの勇気のあったあなたこそ真の男、それ以上のことをやることによって
あなたはますます男らしい人間になるのです。~私は赤ん坊を育てたことがあります、
~でも私はほほえみかける赤ん坊のやわらかい歯茎から私の乳首をもぎ離し、
その脳味噌をたたき出して見せましょう、さっきのあなたのようにいったんやると誓ったならば。」
マクベス『もしやりそこなったら』(しゃがんで夫人を見上げながら)
夫人「やりそこなう!~私たちの大逆の罪をなすりつければ、
それで片がつくではありませんか?」(夫人畳みかける)
マクベス(夫人に背を向け、左端に歩く)『男の子だけ生むがいい、
恐れを知らぬその気性からは、とうてい男しか生まれまい。
(夫人に振り返り徐々に近づく)そうだ、~やつらの仕業だと思うだろう。』
(二人嬉しそうに見つめあう)
夫人「~私たちは王の死を大声で嘆きたてればいいのです。」
マクベス『よし、心は決まった、~さあ、奥へ。
偽りの心をかくすのは偽りの顔でしかないのだ。』
(二人手をつなぎ、嬉しそうに奥の晩餐の部屋へと向かう)
第二幕 第一場 ≪マクベスの城の中庭≫
(2F出入り口から現れる酔ったバンクォー。
フリーアンスは長剣と短剣を預けられ上手側階段を下る。
二人は仲よさげに声をかけなあいながら。)
バンクォー「~安らかな眠りのなかに入りこむ呪わしい妄想をおさえたまえ。」
(2F中央、真面目な顔、苦悩しているような・・・)
バンクォー「おい、剣をよこせ。だれだ?」
マクベス『味方だ。』(1F下手側出入り口から両手を挙げてほほえみながら現れる。)
(二人1F中央に、フリーアンスは階段・・・?だったような)
バンクォー「~おまえへの予言はあたったところもあるな。」
マクベス『私はすっかり忘れていた。~』
(いぶかし気にマクベスを見つめるバンクォー、目をあわさないマクベス)
バンクォー「その名誉を~喜んで相談にあずかろう。」
(忠告するように、ゆっくりはっきりと。)
マクベス『おい、フリーアンス、奥に行って~ 寝酒の用意ができたら鐘を鳴らせと。』
フリーアンス「はい。」(嬉しそうに2F下手側出入り口に走っていく。)
(薄暗い舞台、1F下手側、魔物が刀身が白く光った短剣を持つ。
刃の部分を左手で掴みながら。ふわふわと浮かんでいるように。)
マクベス『おお、短剣ではないか、俺の目に見えるのは?~』
(マクベスゆっくりとした動き、腰の短剣を抜く)
マクベス『まだ見える、~抜き放ったこれと同じではないか。』
(シロフォンの音色、剣に惑わされふらふらとついていくマクベス、
上手側階段を登る。
マクベスの台詞の隙に、魔物2F上手側出入り口に一瞬入ったあと、剣が赤く光る)
マクベス『~おお、刃にも柄にも血のりがついているではないか、~』
(魔物との踊り。
マクベスの足が地に着く暇もなく、魔物がリフトアップする。
腰を抱きながら、または二人で腕をとり持ち上げながら、
左右に前後にくるくると回りマクベスを翻弄している。
動きはゆっくりであるが、重力を感じさせない、幻想的なシーン。)
マクベス『~大地よ、おれの足がどこへ向かおうとその音を聞くな、~
おれがおどし文句を並べている間は彼は生きている、~』
(感情が読み取れない。乾いた言葉。)
鐘が鳴る (何かをあきらめたような、決意したような表情)
マクベス『行くぞ、それで事はすむ。鐘が俺を呼んでいる。~』
第二幕 第二場 ≪前場に同じ≫
(マクベス夫人、手には水差し、中身を飲みながら2F出入り口から現れる)
夫人「あの二人を酔わせたものが私に勇気を与えた~
シーッ、(本気で焦っている様子、あわわあわわ......という感じ、
ちょっとはしゃいでる?)
~いまあの人がはじめたのだ、
~あの寝顔が私の父に似ていなければ私がこの手でやったのに。」
(マクベス2F上手側出入り口より両手に短剣を2本持ち、
両手や胸元が血だらけで現れる。そして、ゆっくりと階段を下りる)
マクベス『おれはやったぞ。なにか聞こえなかったか?』
マクベス『なんて情けないざまだ』
夫人「ばかなことを、情けないざまなんて」(声を震わせ誇らしげに)
マクベス『叫び声が聞こえたようだった、「もう眠りはない、マクベスは眠りを殺した」
―あの無心の眠り、~ 人生の饗宴における最高の滋養―』
夫人「~さあ、あなたの手の汚らわしい証拠を洗い落としていらっしゃい。
なぜその短剣をもっていらしたんです?~」
マクベス『もうおれは行く気にはなれぬ。~二度と見たくはない。』
(激しい恐れ、両手とともに剣が震える、四つん這いになって逃げ惑う。)
夫人「意気地のない!短剣をおよこしなさい~」
(親が子を説得すかのように)
(夫人短剣を持ちダンカンの寝室へ)
奥でノックの音、ダンダン。(バスドラム)
マクベス『(飛び上がるように驚く、中央でへたり込んでいる)
なんだ、あの音は?~(自分の両手を見つめながら)なんという手だ、~』
(夫人2Fから現れる、両手が赤い)
(中央で二人座り込み、向かい合って両手を組む)
夫人「~さ、私たちは部屋へ。ほんの少し水があればきれいに消えてしまいます、~」
(少し震えながら、絞り出すようにした明るい声)
マクベス『ダンカンを起こしてくれ、戸をたたいて起こせるものなら。』
(哀れな叫び)
(二人2Fへ逃げ帰る)
第二幕 第三場 ≪前場に同じ≫
(魔物現れ、じゃんけんをする。「いいは悪いで悪いはいい」という掛け声、
長男が門番役、次男がモップ掃除、弟が2Fで監視役(マクベス待ち)と掃除の指示だし。)
(マクダフとアンガス登場、門番と会話。)
(マクベス2F下手側出入り口より現れる、裸に黒のロングガウン・・・・・)
マクダフ「~思い切ってお起こししよう、そのように言われたからな。」
(2F上手側出入り口に入る)
マクダフ「おお、なんと恐ろしい!~警報を鳴らせ、(鐘が鳴る)」
(次々と貴族たちが現れる)
マクベス『(上手側階段で)このような不幸の起こる1時間前に~』
(バンクォーは2F中央からマクベスをずっと見つめ続けている)
マクベス『~王を愛する心があり、その心に愛を示す勇気を抱くものならば?』
(夫人を見つめながら。)
(1F中央で夫人が気を失う、マクダフとアンガスが肩を貸す)
バンクォー「~あとでもう一度集まり、~堂々と戦いを挑むつもりだ。」
(貴族たちは各々部屋へ帰る、その場に残ったマルカムとドナルベーン、出奔を決意する)
第二幕 第四場 ≪マクベスの城の外≫
(ロス、アンガスが階段などに座ったり立ったりしている)
(2Fからマクダフ登場、今後の相談)
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個人的な予習から得たイメージでのマクベスとマクベス夫人
・マクベスとマクベス夫人
以前もちょこっと書きましたが、まるちゃんマクベス舞台決定→戯曲読む の時点で、一番気になったのが、「マクベスの年齢」でした。過去の舞台では素人の私ですら知っている錚々たる方々が演じてらっしゃいましたし、だいぶ年齢も高めでしたのでどうしてこの演目を選んだのか?年齢を超える、何かしらの意図があるのか?と気になっていたのです。
参考文献『シェイクスピアの男と女』河合祥一郎 著 より抜粋
マクベス(1005~1057)(在位1040~1057)
マクベス夫人(王女グロッホ)(1015~?)
※本の図ではこうなっていますが、史実では10歳上。
マクベスは35才で王座につき、18年間も王位に就いていた。史実では、夫人の曾祖父ダフも、祖父ケネス三世も、スコットランド王であり、彼女の最初の夫ギラコムガンもやがては王位を継いでしかるべき男であった。ところが、祖父ケネス三世の在位中にその従弟のマルカム二世が、国王を殺害して王冠を奪い、彼女の夫と一族50人を城ごと焼き払ったため、若き夫人は、幼子(王子ルーラッハ)を抱えて命からがら逃げ出して近隣のロス(グラームズの一部)に匿われ、その領主マクベスと再婚したのだった。マルカム二世は二人の娘がおり、そのうち一人が結婚して産んだのが気弱なダンカンであり、もう一人の娘が勇敢で残酷なマクベスだった。
歴史書 『年代記』には、マクベスと仲間の武将バンクォーが三人の魔女と出会い、夫人に唆され、バンクォーや仲間たちと戦場でダンカンを討ち取って王位を奪還し、安定した治世を奪還したという話が載っている。
一番違うのは、シェイクスピアでのマクベス夫人には王位継承権がないことだろう。マクベス夫妻を王属ではなく、一介の武将とその妻という設定に変えることで、ダンカン王殺害を王族内の権力争いから謀反・殺人に変え、しかも治世に失敗して不人気だったダンカン王を善良なる王と設定し直すことによって罪の重さを強調し、殺人者マクベス夫妻の心理的葛藤を描きこんだのだ。
エリザベス朝の男女観
マクベス夫人が、”乳”を”胆汁”に変えるという表現をしたのは、こうした生理学的背景がある。女性特有の液体である乳(優しさの象徴)を男性的な胆汁(無慈悲で冷徹な男の特質)に変えるということだ。マクベス夫妻は”男らしさ”を非情と取り違える。女の乳に象徴される女々しさを軽蔑するあまり、乳が示す人情も捨て去ってしまうのだ。「女が生んだものなどにマクベスを倒す力はない」という魔女の予言には「女の弱さを持つ男にマクベスは倒せない」という意味に聞こえてくる。「男」であろうとするマクベスは、女の要素を軽蔑するあまり、自分は「女から生まれた男」を蔑み、自分が女性性とは一切の関係をもたない究極の「男」であるかのような錯覚を持ったのは、彼がマクベス夫人に唆されて、心を硬くして非情になりさえすれば究極の「男」になりえると信じた結果であろう。
ここから思ったことです
〇マクベスは将軍とあるので、(しかも実戦をしている)年齢が若いことの理解はできました。史実が35歳ですから、まるちゃんばっちり。なので、キャストを知ってから頭の中の設定は、マクベス32歳、夫人37歳くらいかなあと。(なんで夫人は年上設定なんだろう?この時代、夫に物申すにはやはりそれくらいの年齢差が必要だったということなのかなあ?歴史がよくわかりません。)
また、夫人に対してはそれほど”悪妻”というイメージは持ちませんでした。第一幕第六場で、「グラームズの城にやさしい風が吹き、空気も甘い」という記述があって、この城の持つ雰囲気がこの城の主である夫妻が醸し出すものだったのだろうと想像させてくれること。また、最終的に壊れてしまう優しさや弱さがあったことと、第二幕第二場で「私の父に似ていなければ~」という台詞があったこと。”悪妻”というよりは、悲しい人だなあ・・・という感じでした。
そこから、先ほどの本を読み、先行の舞台ではだいぶ史実を元にしていたのだろうということがわかりました。そこから悪妻という設定が生まれてきたのだろうと。なので、”夫への愛”を貫くというよりも”王位の奪還”という方が、個人的には腑に落ちました。
ただ、今回の舞台を観ていて、マクベスとマクベス夫人の様子から、頭の中で年齢設定の下方修正をしました。マクベスは28歳くらい、夫人は30歳くらいに。手紙を読むシーンが「大人の女性」というよりも「勝気な少女」のようでしたし、戦場から戻ってきた夫に飛びついたり、夫をしかりつける様子がとっても可愛らしかった。(まるちゃんをやさしく見守る母性あふれたファンの方の様子にちょっとだぶりました。)マクベスは・・・・あれ、ただの駄々っ子じゃあない?手綱を握らなきゃいけなかった夫人は大変だったろうなあと、心中お察し申し上げます。設定は深刻なのに、なんだか可笑しくなっちゃった。
私が感じたのは、この夫妻は、”無計画で思い付きを実行することしかできなかった、哀れで可愛い夫婦”というものでした。馬鹿にしているわけではないのですよ。そういう二人だったのだろうなって、この演出の解釈から私が感じただけです。
〇”甘い乳、苦い胆汁、両手にこびりついた血、巡る月のもの・・・”
体からあふれる液体に関する言葉は、今の感覚とは違うのだろうなあ。もちろん”男女”の違いも。よく出ているのに、案外”涙”の記述はないのですね。パンフレットの鈴木さんの記述にもありましたが、似たようなことを以前聞いたことがあって。『女の子はおしとやかにしなさい!と押さえつけなければ暴れまわる。男の子は元気にしなさい!と盛り立てなければおとなしい。それが、本来の姿であるからだ』というようなこと。それでいけば、今回のマクベスは”粘液質”にみえるし、夫人は”胆汁質”なのかもしれませんね。(自分自身はどうだろう?と思ったけれど、案外自分って見えないからわからないや。)
〇王殺し
マクベスはなぜあれほどまでに罪の意識を背負ってしまったのか。『蜘蛛巣城』を観た後に、歴史が苦手なものにとって、戦国時代などは”下剋上”のイメージがあるので、普段戦場で生死に触れてきている兵士が「王殺し」に苦悩するという感覚がわからなかったのです。ですのでちょっと詳しい人に聞いたところ、いくら戦国時代でも勝者が敗者を流刑や幽閉することはあっても処刑するということはあまりないのではないか?ましてや”寝首をかく”ということは、その当時でもやはり禁忌ではないか?と教えてもらいました。
禁忌を犯す・・・感覚として実感できるわけではないのですが、一人、もしくは夫婦で抱え込むのには重すぎたのでしょうね。二人の愛が重すぎて、共倒れしてしまった。自分の力だけでは立つことができなかった。マクベスのPTSDもさらに追い打ちをかけてしまった。あのもたらされた予言が「バンクォー」のものだったら、また別の話になったのでしょうね。
・・・・まだ第二幕か・・・・・・