アスカ・スタジオ

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煙突の見える場所

2011-06-10 11:55:55 |  映画(エ~オ)

 七輪が懐かしい。そして闇市を思い出す。商店街有線放送も懐かしい。其処で案内放送をしている仙子は緒方夫妻宅の二階に下宿している。ある日、家主の隆吉と弘子夫妻の仲睦まじいところを階段から思わず魅入る仙子。
 これも古びた建具のせい。閉めても隙間が覗く襖だから。未だ戦後の影を引きずる1950年代初頭を五所平之助監督はリアリティに撮り捲る。

 

 その時代考証の確かさは同じ時期に作られたこそ。毎朝布団を押入に仕舞わないと卓袱台が置けない仙子の居室。その隣部屋には税務署に勤めるもう一人の下宿人、健三が居た。この4人を中心に繰り広げられる舞台は東京北千住。
 先日「左ききの狙撃者/東京湾」でも見た荒川の堤防が再三現れる。昨日TVで60年前の原宿を写していたけど現在からは想像出来ぬ風景は同様。でも当時の八重洲口をリアルで知っている私は分かった。川向こうは埼玉県だろう。火力発電所の巨大な4本の煙突が煙を吐く。

 

 こんな一家に置かれた赤ん坊。その解決に行動する健三の眼を通して、3本。
 

 2本。
 

 そして(ちょっと苦しいが)1本。
 
と、変化する煙突を通じて、原発の欠片も無かった当時からの時の変遷を痛切に感ずる。
 それにしてもよく泣く赤ん坊だった。これに堪える緒方家のカレンダー。何とこんなに機知に富んだ性の表現方法があったなんて!。その必要性さえ疑う中で無闇やたらにずばり性描写したがる現代作品。肝に銘ずべし。

 この後も「大阪の宿」「挽歌」「蛍火」と活躍した五所平之助監督。この映画の題名のユニークさと共に、そのリアルさに燻銀を見る思いをした。

 [私の評価]直向きな意欲を感じる佳作。
 1953年(2011/6/6TV録画観賞=初見).日(新東宝)[監督]五所平之助[撮影]三浦光雄[音楽]芥川也寸志[主な出演者☆=印象]上原謙。☆田中絹代。芥川比呂志。☆高峰秀子。関千恵子。☆浦辺粂子。田中春男。花井蘭子[上映時間]1時間48分。

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4 コメント

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Unknown (アラン・墨)
2011-06-11 09:48:55
おひさしぶりです。
いろいろな映画や漫画、コミックにまで登場する今は無きお化け煙突の正体がよく分かった作品でした。田中・高峰・上原・芥川という、どちらかというとインテリやリッチな役が似合う役者が金銭に余裕のない市井の人々を演じているのにうれしくなりました。
田中絹代さんが布団を頭からかぶり上原に手を振っているシーンはホノボノしました。
高峰さんの黒い作務衣みたいな普段着が、彼女の出演作の中でも最もステキに見えました。
アラン・墨様 (アスカパパ)
2011-06-12 11:07:09
こちらこそご無沙汰です。
コメントありがとうございます。
仰る通りですね。知的な4人が敢然と民衆の最中に体当たりしたように、確かに感じました。そんな4人と4本の煙突。具体的に言えませんが、巧さを感じました。
こちらもお邪魔します☆ (miri)
2011-06-23 08:49:14
録画していて、やっと見ました☆ 結構良い作品でした~♪

>それにしてもよく泣く赤ん坊だった。

今まで見た、赤ちゃんが出演する映画の中で、一番好感を持てました。赤ん坊とはあぁして一日中泣いているモノです。世の中にはキレイ過ぎる赤ん坊の描写が多く、常に苦々しく思っていたので、昨夜はスーッとしました。

>これに堪える緒方家のカレンダー。何とこんなに機知に富んだ性の表現方法があったなんて!。その必要性さえ疑う中で無闇やたらにずばり性描写したがる現代作品。肝に銘ずべし。

仰るとおりですよね~! 本当に現代(多分、80年代後半以降)のそういう描写は、アホちゃうか?というのが多いですよね~。「告発のとき」という映画のせいだと、私は思っています。

それにしてもこの映画は、私が生まれる前の作品ですが、私が幼少だった昭和40年代にも通じるような表現が多かったと思い、私なりに、子供だったなりに、感激しました。

きっと、当時青年でいらしたアスカパパ様にはもっともっと懐かしかったと存じます。
昭和の良い作品にはこれからも触れあっていきたいと思います♪
miri様。 (アスカパパ)
2011-06-23 17:03:23
コメントありがとうございます。
そういえば、私の長女もよく泣く赤ん坊だったことを思い出しました。

同意見で嬉しく思います。映画の倫理規定が緩くなってからでしょうね。えぇ加減にせい!と言いたくなりますよね。

古き佳き日のノスタルジアに浸れるのも、幸せの一つでは無いでしょうか。
お若い方から、古い映画への讃辞を頂戴しますと、嬉しくなります。

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