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硫黄島からの手紙

2006-12-13 19:53:31 |  映画(イ~ウ)
 太平洋戦争当時、銃後にあって衝撃を受けた言葉は「玉砕」である。最初にこの言葉が新聞に発表されたのは、1943年、山崎部隊長以下アッツ島守備隊の玉砕であったと記憶している。

 その翌年、硫黄島守備隊の玉砕が報ぜられた。この映画にも出てくる栗林忠通中将の「国の為重きつとめを果し得で 矢弾尽き果て散るぞ悲しき」が今も忘れられぬ。

 この映画には当時の銃後も出てくる。「この家は非国民の家だ」と言って、憲兵が其処の飼い犬を殺す場面がある。犬を殺すことが出来なかった清水(加瀬亮)は憲兵の資格を略奪され硫黄島に追いやられる。

 其処は犬以上に人間が殺される修羅場であった。「体験の無いものは撮れない」と、かって黒澤明監督が言ったと伝え聴く「戦争」を、クリント・イーストウッド監督は『父親たちの星条旗』に続いて撮った。而も殆ど日本人の出演者で。

 アメリカ映画なのにスーパーインポーズが出ない。日本語ばかりだから当然。恐らくアメリカでは英語の字幕が出るのだろうなぁ。これほど旧敵国の日本に理解を示したアメリカ映画は無い。其処にあるのは戦勝国、戦敗国に拘らず、ただただ「戦争の無意味さ」を訴える。

 日本映画であれば、ややもすれば雄々しく反戦を唱え過ぎたり、感傷的になる危険性を少なからず含むと思う。アメリカ人が創ったればこそ、この映画は成功したのではないか。

 時間経過に乏しいとか、銃後の時代考証に変なショットが見受けられるとか、小さな事はこの際どうでも良い。

 この映画はカラー映画であってカラー映画ではない。モノクロ基調に「赤色」を加えた映画だ。その赤色は爆発の火玉であり、血である。その流された血に対するレクイエムとして撮影されたということがよく分かる映画である。

 「二度あることは三度ある」と栗林忠通中将(渡辺謙)に言われた西郷(二宮和也)のラストシーンに、今年の漢字に選ばれた「命」を重く感じた映画でもあった。

 2006年アメリカ映画[監督]クリント・イーストウッド[撮影]トム・スターン[音楽]クリント・イーストウッド[主な出演]渡辺謙。二宮和也。伊原剛志。加瀬亮。[原題]Letters from Iwo Jima [自己採点]★★★★★
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6 コメント

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私も観てきました! (izumi)
2006-12-14 17:41:00
アスカパパさん、こんにちは~。
私も観てきました~。
クリント・イーストウッドらしい静かで優しさを感じる映画だったと思いました。
私も命を考えさせられました。
佳い映画でしたね。 (アスカパパ)
2006-12-15 19:53:00
反戦を絶叫せずに、観る者の心に食い込ませたのが凄いと思いました。
人間だけでなく、馬も、犬も、総てその命は尊いですよね。そのことを再認識しました。
アスカパパさまの硫黄島 (ヌートリアE)
2006-12-18 20:57:11
こんばんは。
この映画を見てから、ずっとアスカパパさまの感想を待っておりました。
何と言っても、当時にまさに生きてこられた方の本音が聞けるんですから、、。
僕も戦後生まれですが、この映画ではっとしたのは特高の恐ろしさです。良く僕の若いときのドラマでは特高の陰険さがしつこく描かれてましたが、ここ20年ほどはあまりなかったもので、今の方は特高自体の存在自体知らないのではないか、と思っていました。
これを、たかが、犬一匹といえども、蘇らせたイーストウッドはそれだけでもたいしたものです。

主役の二人の軍人がアメリカナイズされているとか、変に訝った批評も多いので、僕はアスカパパさまの感想を待っていたのです。
その当時でも、恐らくみんな言葉には出さなくても、心の中ではあれぐらいの自由について(二ノ宮の独白とか、、)はふと考えていたと思うのです。
でも、恐ろしい、人間を人間と気づかせない軍国教育、というのは、本当に日本国発生以来一番残酷な思想なのかもしれません。
そう思わせないと、人間魚雷なんて行動も出て来なかったでしょうし、、。

今の、北朝鮮なんかも、恐らく同じ教育が行われているのでしょう、、。国が国民を人間とみなさないときから、人間への虐待が始まるのでしょう、、。
つい最近まで、オリンピックで、スポーツマンを薬づけにしていた東ドイツなど東欧圏も僕には同じことのような気がしてなりません。

今日は、かなり、熱が入ってしまいました。取りとめのない文章だと思います。読み返す気力もないので、このまま筆を置きます。

イーストウッドのこのヒューマニズムは本当に立派で、僕はこの映画はアメリカ版の前作よりかなり秀作だと思っています。
それにしても、死ぬために硫黄島に送られた、見捨てられた日本兵の無念さがアメリカ人の作ったこの映画で日本人に伝わることの意味を強く感じています。
少なくともわれわれ戦後人は怠惰な日常を過ごしているのは事実です。反省をしています。
それでは、また。
ヌートリアE
ヌートリアEさんのご意見に全く同感です。 (アスカパパ)
2006-12-21 19:24:48
太平洋戦争下の日本は、ご推察の通りでした。
また現在の北朝鮮等の状況等についても、私もそうだと思います。
戦争は人間の尊厳を破壊することを強くアピールしたイーストウッド監督は本当に立派だと私も思います。
アスカパパへ (kju96)
2006-12-22 21:54:37
見て来ました。
アスカパパのおっしゃるとおりです。
時代認識をアメリカ人に教わる恥ずかしさと
この地の戦いの位置づけ、日本軍の戦略のなさ・・
などなど・・思い知らされました。
勝者、敗者は関係なく日本人として
壮烈なる戦いをした硫黄島の人達に誇りを感じました。
今生きてる価値を考えないといけないと・・
60年過ぎて・・彼らからのメッセージは
私には届きました。

映画の力は凄いなと思いました。
しかし、辛い映画でした。

など悲しくて辛い映画でした。
本当に映画の力を感じました。
kju96さん、こんにちは。 (アスカパパ)
2006-12-23 14:16:23
ご覧になりましたか。
太平洋戦争のメッセージは永久に語り継がねばならないと、何時も思っていますが、問題は如何にして届けるかということでしょうね。

ほんとうに、イーストウッド監督は映画の力をフルに活用して伝えたと思います。
すごい人です。

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