昼ご飯を食べながら『救命病棟24時』というテレビドラマを観る。
アンジャッシュ児島、イイ。実にイイ。このドラマで初めて泣いてもうたやんけ。という事で「俺はアンジャッシュ児島になる!」と、あと10年若かったら叫んでいたかも知れないけど、まあ、そこまではないか。
遠藤周作『沈黙』のキチジロー。今まで理想のキチジローは、柳沢慎吾だったけど、アンジャッシュ児島に変更。君こそがMr.キチジローだ。
【「聞いて下され。たとえ転びのポウロでも告悔を聴問する力を持たれようなら、罪の許しば与えて下され」
(裁くのは人ではないのに……そして私たちの弱さを一番知っているのは主だけなのに)と彼は黙って考えた。
「わたしはパードレを売り申した。踏絵にも足かけ申した」キチジローのあの泣くような声が続いて、 「この世にはなぁ、弱か者と強か者のござります。強か者はどげん責苦にもめげず、ハライソに参れましょうが、俺のように生まれつき弱か者は踏絵ば踏めよと役人の責苦を受ければ……」
その踏絵に私も足をかけた。あの時、この足は凹んだあの人の顔の上にあった。 私が幾百回となく思い出した顔の上に。山中で、放浪の時、牢舎でそれを考えださぬことのなかった顔の上に。 人間が生きている限り、善く美しいものの顔の上に。そして生涯愛そうと思った者の顔の上に。 その顔は今、踏絵の木の中で摩滅し凹み、哀しそうな眼をしてこちらを向いている。(踏むがいい)と哀しそうな眼差しは私に言った。
(踏むがいい。お前の足は今、痛いだろう。今日まで私の顔を踏んだ人間たちと同じように痛むだろう。だがその足の痛さだけでもう充分だ。 私はお前たちのその痛さと苦しみをわかちあう。そのために私はいるのだから) 】(遠藤周作『沈黙』より)
アンジャッシュ児島、イイ。実にイイ。このドラマで初めて泣いてもうたやんけ。という事で「俺はアンジャッシュ児島になる!」と、あと10年若かったら叫んでいたかも知れないけど、まあ、そこまではないか。
遠藤周作『沈黙』のキチジロー。今まで理想のキチジローは、柳沢慎吾だったけど、アンジャッシュ児島に変更。君こそがMr.キチジローだ。
【「聞いて下され。たとえ転びのポウロでも告悔を聴問する力を持たれようなら、罪の許しば与えて下され」
(裁くのは人ではないのに……そして私たちの弱さを一番知っているのは主だけなのに)と彼は黙って考えた。
「わたしはパードレを売り申した。踏絵にも足かけ申した」キチジローのあの泣くような声が続いて、 「この世にはなぁ、弱か者と強か者のござります。強か者はどげん責苦にもめげず、ハライソに参れましょうが、俺のように生まれつき弱か者は踏絵ば踏めよと役人の責苦を受ければ……」
その踏絵に私も足をかけた。あの時、この足は凹んだあの人の顔の上にあった。 私が幾百回となく思い出した顔の上に。山中で、放浪の時、牢舎でそれを考えださぬことのなかった顔の上に。 人間が生きている限り、善く美しいものの顔の上に。そして生涯愛そうと思った者の顔の上に。 その顔は今、踏絵の木の中で摩滅し凹み、哀しそうな眼をしてこちらを向いている。(踏むがいい)と哀しそうな眼差しは私に言った。
(踏むがいい。お前の足は今、痛いだろう。今日まで私の顔を踏んだ人間たちと同じように痛むだろう。だがその足の痛さだけでもう充分だ。 私はお前たちのその痛さと苦しみをわかちあう。そのために私はいるのだから) 】(遠藤周作『沈黙』より)