
この門をくぐると中央大学の後楽園キャンパスだ。
司法試験にたくさん受かっている大学でしょ。
ああ、中央大学を「白門」と呼ぶことがあるけど、「白」という色には、「正義」「潔白」「真実」「純粋」というイメージがあって、それが「法」のもつイメージと重なって、この大学をそう呼ぶようになったらしい。
きょう観た映画とは、えらく遠い世界ね。
コーエン兄弟の「ノーカントリー」だろ。
法も秩序もあったもんじゃない。ただただ、驚愕の殺戮が繰り返されていく。
古き良き西部劇の舞台だったテキサスも現代では理不尽な殺人の舞台でしかないという寂寥感に始まり、冷酷なまでに無表情で残忍な殺人を繰り返す男の姿を描いていく。
トミー・リー・ジョーンズがテキサスの保安官役で出ているんだけど、昔なら正義の味方にもなった役どころだろうに、いまや、自分の理解をこえる殺人を嘆くばかりで、何ひとつできない。
その殺人者を演じるのが、「海を飛ぶ夢」のハビエル・バルデム。独特なおかっぱ頭が恐怖をあおって、まあ、不気味で恐ろしい。映画史に残る殺人鬼だ。
この映画の中でいったい何人の人間を殺したのかしらね。
「みんな、私を殺す必要なんかないって言う」なんてうそぶきながら躊躇なく殺していっちゃうんだけど、ほんとに殺す必要がないんだよな。
でも、彼の中には彼なりの理屈があるようで、それがかえって不気味なのよね。
なにやらとてもストイックというか哲学的な信念を感じるところもある。
この偏執的な殺人者の演技でハビエル・バルデムはアカデミー助演男優賞を獲っちゃったけど、たしかに異常なほどの存在感だった。
でも、彼は助演じゃなくて、主演なんじゃないのか。彼が助演だとすると誰がこの映画の主演なんだ?
何もできずに、こういう状況を嘆くばかりのトミー・リー・ジョーンズかしら。原題は「NO COUNTRY FOR OLD MEN」。このOLD MENて、彼らのことでしょ?彼らには理解できない世界になっちゃった。
映画自体、アカデミー作品賞を獲っちゃった。これも驚きだ。
最近は「クラッシュ」とか「ディパーテッド」とか、後ろ向きというかどこか閉鎖的な感じのする映画が獲っているから、その流れなんじゃないの?
本来、アカデミー賞っていうのは華やかなお祭りなんだから、「ヘアスプレー」みたいな底抜けに明るい映画が獲っていいようなものなのに、最近はそういう楽しい映画はノミネートもされない。
それよりも、アカデミー賞っていうのは時代を反映する鏡だから、暗い世相のアメリカを象徴するような映画が獲っちゃうっていうことじゃないの?
そうかもな。コーエン兄弟にしたって、かつての傑作「ファーゴ」なんて同じような殺人事件の話だったのに、どこか温かいというかユーモラスな部分があって救われていたけど、「ノーカントリー」は硬質そのものの救いのない映画になってしまった。それだけ、暗い時代になったってことかもしれないな。
うがった見方をすれば、殺す必要のない人を殺すって、イラクでアメリカがやっていることかもしれないわね。
あの狂気の殺人犯は、アメリカそのものだっていうのか。こわっ。
かつて、西部劇が象徴していたような「正義」「潔白」「真実」「純粋」といったものは、もうアメリカにはないんだという絶望・・・。
そういう映画をアカデミー賞に選ばざるを得ないアメリカの苦悩・・・。
「白門」と呼ばれる中央大学の前で思いを巡らす私たち・・・。
ああ、重い思いだ。
ああ、OLD MENなギャグをとばすあなた・・・。
この記事、まあまあかなと思ったら、クリックをお願いします。
ふたりが乗ったのは、都バス<都02系統>大塚駅前⇒新大塚⇒大塚四丁目⇒大塚三丁目⇒大塚二丁目⇒大塚車庫前⇒茗荷谷駅前⇒小日向四丁目⇒小石川四丁目⇒春日二丁目⇒伝通院前⇒富坂上⇒春日駅前⇒真砂坂上⇒本郷三丁目駅前⇒湯島四丁目⇒湯島三丁目⇒上野広小路⇒御徒町駅前⇒東上野一丁目⇒新御徒町駅前⇒元浅草三丁目⇒三筋二丁目⇒寿三丁目⇒蔵前駅前⇒本所一丁目⇒石原一丁目⇒石原二丁目⇒石原三丁目⇒石原四丁目⇒太平一丁目⇒太平二丁目⇒太平三丁目⇒錦糸公園前⇒錦糸町駅前










コメントありがとうございました
ほんとアカデミー賞作品も時代反映されますよね。
昔は受賞作品は素直に名作だと受け入れられるものばかりだったけど
最近は一風変わったものが受賞してる気がします。
あ、この映画も名作ではないとは言ってないんですけどネ。
コーエン作品は人を選ぶかもしれないですね。
ハビエルがすごく良かったです。
コメント頂きありがとうございました。
アカデミー賞の作品賞なので、変に期待して観に行きましたが、私には少々難解な映画でした。
そういえば『クラッシュ』や『ディパーテッド』にもあまり魅せられなかった気がします。
『「正義」「潔白」「真実」「純粋」といったものは、もうアメリカにはないんだという絶望』−暗にこういうテーマがあったのでしょうか・・・よく分かりませんでした(汗)
バルデムの存在感は凄かったですね〜気味が悪かったです(笑)
昔はアカデミー賞といえば、映画の出来は別として、どこかしらロマンのある映画が多かったんですけどねえ・・・なんて感慨にふけるのも、OLD MENになってしまった証拠でしょうか。フクザツな気分です。
■由香さんへ
コーエン兄弟の映画はクセがあるので、ひとすじ縄ではいかないですよね。でも、そこがまた魅力だったりして。考えてみると「クラッシュ」や「ディパーテッド」よりは格段におもしろかったような気がします。
凄い面白い作りのブログですね!
思わず感心してコメント書いてしまいました。
他のページも覗いてきます。。