【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「クリーン」:池袋駅東口バス停付近の会話

2009-09-12 | ★草63系統(池袋駅~浅草雷門)

ここって、何だったんだっけ?
池袋の三越。
ずいぶんさっぱりしちゃったねえ。
クリーンになって、一から出直しね。
オリヴィエ・アサイヤス監督の映画「クリーン」の主人公みたいにか?
「クリーン」は、ドラッグの過剰摂取で夫を失った女性シンガーが息子とともにもういちど再生を果たす物語。
主演は、マギー司郎。
・・・なわけないでしょ。主演は、マギー・チャンよ。世界的な大女優。
映画の役柄では、彼女自身もドラッグで捕まる。日本で言えば、「碧いうさぎ」で有名な女性タレントの話みたいだな。
そんな、三面記事みたいな映画じゃないわよ。舞台だって、カナダからイギリス、フランス、アメリカと、世界中に及んでる。山梨や箱根とはスケールが違うんだから。
おいおい、日本のタレントの事件だって、客観的にみれば三面記事かもしれないけど、当人の身になってみれば、人生の中の過酷な試練だぜ。夫こそ失っていないけれど、あのマスコミの騒がれようは「クリーン」の主人公よりつらい状況かもしれない。
たしかに「クリーン」の主人公は、「碧いうさぎ」のタレントと違って、服役してもマスコミに騒がれるようなことはない。でも、それだけ有名じゃないってことでもある。
いわゆる、売れない歌手ってやつか・・・。
アメリカ映画で言えば、「レスラー」とか「サンシャイン・クリーニング」みたいな日のあたらない部類に属する人々が、それでも生きていくっていう映画よね。
でも、その女性をマギー・チャンが演じるから、どこか映画に箔がついてくる。
二流の女性を演じても、役者は一流だから、見え方まで一流になってしまうってこと?
くたびれ果てた風貌をさらけ出しても、共感する前に、さすが、マギー・チャン、あいかわらずうまいなあと感心するほうが先にくる。
それって、映画の長所が短所にもなってしまうという不思議な状態ね。
いっそ、「碧いうさぎ」のタレントが演じてれば、身につまされる映画になったかもしれない。
またそういう不謹慎なことを言って・・・。
等身大の俳優が演じてたらまた違ってたかもしれないなってことだよ。
レスラー」や「サンシャイン・クリーニング」の主人公たちみたいに?
ああ。役柄と役者がどこかダブって見えてくる映画。
だけど、私たちがそんなこと考えなくたって、実際にそういうたくらみを始めている人がいるかもしれないわよ、狡猾な日本の芸能界には。
万一そういう映画をつくるなら、スキャンダル趣味ではなく、「レスラー」や「サンシャイン・クリーニング」や、この「クリーン」みたいに、きちんと人間が息づく映画にしてほしいな。
ほんとにそう思うわ。この映画、オリヴィエ・アサイヤス監督だけにちょっとお高くとまった感じがするけど、やっぱり、「レスラー」や「サンシャイン・クリーニング」系のお話よね。
三越の包装紙に包まれてはいるけれど中身は漬物、みたいな・・・。
どういう意味?
高級そうに見えるけど、案外人間的な匂いがするってことさ。
なるほど。




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