【映画がはねたら、都バスに乗って】

映画が終わったら都バスにゆられ、2人で交わすたわいのないお喋り。それがささやかな贅沢ってもんです。(文責:ジョー)

「不都合な真実」:都立八潮高校前バス停付近の会話

2007-01-20 | ★品93系統(大井競馬場前~目黒駅)

なんだ、この緑の館は。
地球温暖化防止を実践しているんじゃない。
そうか、ゴアが見たら感激するかもな。
「不都合な真実」の中で必死で地球温暖化の危機を訴えていたもんね。
いや、必死というより緩急自在だった。まずは自虐的な冗談でつかみはオッケー、家族の話を持ち出しては観客をほろりとさせ、環境問題とは関係ないのに、有名人の名言をところどころとりいれては説得力を増し、退屈しそうになるとリフトの登場というビジュアルショックを与え、まったく観客を虜にする講演のお手本みたいだった。
サンキュー・スモーキング」のアーロン・エッカートも真っ青の説得力よね。
しかし、内容はタバコの有害性をいい加減な理屈で否定する「サンキュー・スモーキング」とは違って、ただ単に話術で人を煙に巻くってレベルの話じゃない。いまそこにある危機を真正面から取り上げた深刻なものだ。
地球環境の危機なんていまや明白な事実なのに、問題意識の低いアメリカの経済界って構図よね。
ゴアは、政治の問題と言ってたけどな。
つまり、ブッシュの問題よね。
イラク戦争を描いた映画「華氏911」でも、エンロン事件を描いた映画「エンロン」でもブッシュのいやらしい影がちらついていたけど、京都議定書にサインしないのは結局ブッシュが決断しないからかしら。
ゴアでなくブッシュを選んでしまったアメリカ国民の人間性の問題だと思うよ。
この映画を観てると、アメリカ人て、二酸化炭素の規制をクリアできる商品をつくる努力をするより、規制のレベルを下げたほうが簡単じゃん、て考えているように映っちゃうもんね。
観客はケラケラ笑ってたけど、結局自分自身のことを笑っているんだって自覚が必要だよな。
それに比べると、日本て案外がんばってるんじゃない。
この映画の中の印象ではそうだけど、日本だって京都議定書の二酸化炭素排出基準をクリアするには大変な努力が必要なんだぜ。
そうなの?まあ、地球温暖化が大変なのはよくわかったけど、どうすればこの危機を回避できるのかは、なんかサラリとしか触れられてなかったわね。どうすればいいのか、もっと聞きたかったわ。
この問題には特効薬なんかないってことさ。人間一人一人が出す二酸化炭素が積みあがってこんな状況になってしまったんだから、一人一人ができる小さなことで気をつけていくしかないんじゃないのか。
あら、珍しく、まともなコメント。
いつだって俺はまともだぜ。最後に小さな対策案がたくさん出てくるけど、その中からひとつでもふたつでも、自分のできることをしていくってことだな。
この緑の館の持ち主も、そういう意識でこんな館にしたのかしら。
もうそうだったら、それは「都合のいい真実」だな。


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ふたりが乗ったのは、都バス<品93系統>
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