=118 ~木の因数分解~(家具工房つなぎブログ)

南房総でサクラの家具を作っています。ショールーム&カフェに遊びにおいでください。

人工乾燥のわけ

2009年04月23日 | 【授業】伊那技術専門校木工科
人工より天然物だよね。

と私は普段考えている。何事も自然がいいと。

材木の乾燥についても、人工乾燥なんていう強制的に木に水を吐かせるような処置よりも天然に乾燥させていったほうがいいと思っている。

しかし、今年の春先に「西日本縦断 木の旅」で製材屋さん(笹田木材さん)に伺った際に、通常は「天然乾燥→人工乾燥→天然乾燥」の順でやるよと教えて頂いた。
そのときは、「そうなんですか(覚えておきます)」という感じで理由までは聞けなかったですが、本日「木工材料」の授業にてそのわけをきちんと理解することができました。

■人工乾燥をさせるわけ

人工乾燥させるということは、乾燥させる時間を稼ぐことと一定以上に乾燥させることができることです。それによって人工乾燥させる一つ目の理由は、「木材の放湿スピードと吸湿スピードの違い」を利用できることと言えます。
二つ目の理由は、一定以上、つまり通常の環境で乾かしていたよりも乾燥できた木材は低い含水率を維持できるということです。
結果として、人工乾燥の過程を経ることで「木材の狂いを和らげることができる」ということが言えそうです。

①放湿スピードと吸湿スピードの違い

「木材の水分に対するヒステリシス」という難しげなグラフがあります。(写真)それによると日常レベルの湿度状態では、木は乾いて縮むよりも水分を吸って伸びるスピードのほうが遅いということです。


②一定以上に乾燥させた材は、そうしなかった材に比べて含水率が低いまま安定する。
(「吸湿と放湿による平衡含水率の違い」 より)

つまり一度人工乾燥させた材は、天然乾燥しか行っていない材に比較して、同じ湿度状態の中でも低い含水率のまま安定しているデータがあります。(ただし試験期間が20日程度のデータなので、もっと長い期間のデータがほしいところではあります)



さっき書きましたとおり、今年の春先の「西日本縦断 木の旅」という現場めぐりで見たり聞いたりしたことが、改めて知識としての裏づけを得ることができたことで一層身についた感じがします。とても寒い思いをした「西日本縦断 木の旅」でしたが、行っておいて間違いはなかった。かな、なんて思えた瞬間でした。


その他にも本日は、目からうろこの収穫がありました。

■日本各地で湿度は異なる

湿度は木工において非常に重要な要素です。
その湿度について「日本各地で湿度は異なる」のです。「なに当たり前のこと言っているんだ」と言われそうですが、例えば千葉県生まれの私にはどうしても「梅雨の時期が一番湿気が高く、空っ風が吹く冬が一番湿気が低い」という固定概念から抜け出せません。
実際日本の多くの地域で、「最も湿度が高いのは6月7月で、最も湿度が低いのは1月2月」ではありますが、雪の影響でしょうか、中には旭川、高山や福井のように「最も湿度が高いのは12月や1月で、最も湿度が低いのは5月や6月」といった地域があるのです。

そして木材に関しては含水率という指標を用いますが、その年間の格差は平均でも5~7%も変化しており、とても大きいことがわかりました。

また大阪は含水率の年較差が最も小さく、また年間の平均含水率も最も低く、木材にとって好ましい環境であることも知りました。逆に快適なイメージのある軽井沢は年平均含水率が最も高いデータがありました。

(以上、データをとった地域も限られているし、先生いわく1960年代の資料なので地球温暖化が進んだ現在とは異なるところもあるでしょうとのこと)

いずれにしても、先入観や固定概念に惑わされずに、きちんとデータを見るということを学ぶことができました。


午後は、5、6時間目は「砥ぎ」をやった後、体育の時間になりました。
先週に引き続きソフトバレーボールでしたが、私は先週の体育の時間はものもらいで見学だったため初の体育でした。

「砥ぎ」で体も気持ちも凝り固まっているときには体を動かすのもいいものです。

みんなもリフレッシュできたようでしたよ。






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学校までの一本道

2009年04月23日 | 【日記】いろいろ
この道をまっすぐ自転車で下っていくとおよそ5分で学校。

でも帰りは、およそ25分自転車を押しての上り坂。

でも南アルプスの山々は最高です。
でもあのアルプスの積雪も5月中旬にはなくなってしまうんだって。。。。
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紅白はやっぱりめでたい!

2009年04月22日 | 【写真】一本の木
アパートから1分のところにある木々が花を咲かせました。

きれいに紅白並んでいて、やっぱりめでたい気分になります。

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製図

2009年04月22日 | 【授業】伊那技術専門校木工科
本日は初めて製図の授業がありました。

しかしいきなりややこしい細かいことを始めたわけではありません。

何事も経験や感覚の伴っていない知識はむなしいものです。

したがって本日行ったことは、とても簡単ですが、とても難しい基本のことです。


1.指定された長さの線をフリーハンドで描く

例えば、「10ミリ」とか「65ミリ」とかの線を自分の勘で描くだけです。しかしこれがまた難しいのです。思い込みみたいなものを各自持っているのか、だいたい本当の長さより長くなってしまうタイプと短くなってしまうタイプの人がいました。中には変に正確に指定された長さの半分になってしまうOさんもいました。

2.適当に引いた線を当分割する

自分で適当に引いた線を2等分や3等分します。これも偏りを持っていることがわかります。

定規や分度器を使って正確に製図することもあるかもしれませんが、「何かおかしい」とかわかるための感覚も非常に重要だと思います。


そして3時間目以降は、引き続き「砥ぎタイム」です。

本日もひたすら夕方まで砥いでいました。

明日も砥ぎです。


◆朝錬?早朝から自主砥ぎをするクラスメート
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砥ぐ砥ぐ砥ぐ つづいてます

2009年04月21日 | 【授業】伊那技術専門校木工科
鉋や鑿を研ぐための砥石類です。

右から

仕上げ砥石

仕上げ砥石を平らにするためのダイヤモンド砥石

中仕上げ砥石

中仕上げ砥石を平らにするための予備の中仕上げ砥石

中仕上げ砥石を平らにするための砥石砥ぎ

が並んでいます。


本来はこの先に、中仕上げをする前の荒仕上げ砥石などがあります。

先日の実習中、校長先生が言っておられました。

「砥石は砥ぎの定規である」


そのために、砥ぐ砥石を平らにするための砥石 なんていうミイラ取りがミイラになったような代物がでてくるのです。

しかし、これらをしっかりやらなければ後工程のすべてに影響を与え、決していい仕事ができないことが明らかなのです。

邪心を持ったり、いい加減な気持ちで砥いでいると、間違いなく砥いだ面は歪んできます。

そうしたわかりやすい世界に憧れたことも木工の世界を選んだ理由です。

そして今、それを実感しています。


本日もひたすら鑿砥ぎに従事しております。

しかし先生のOKはなかなか出ません。ひたすら砥いで、その砥いだ砥石を平らに砥ぐ。そして仕上げ砥石でまた砥ぐ。
それをひたすら行っています。

自分は癖が悪いのか、飲み込みが悪いのか、うまく砥げない自分がふがいなく腹が立つこともしばしばですが、とにかく明日からもまっすぐな気持ちで取り組むしかありません。

会社であれば、こんな利益にならない準備作業は就業時間外に行わなければいけないはずです。それをここ学校はしっかり昼の時間を使ってやらせてもらえる。

日々に感謝をしながら。。。
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危険な予感

2009年04月20日 | 【お出かけ】木のむくまま
(↑購入した板材をアパートの壁にこんな感じで立てかけています。大家さんがちょっと心配。。。)

本日は、伊那森林組合主催の「木のアウトレット市」に、クラスメート3名と行ってきました。

このアウトレット市は、毎年春秋の2回行われているようで、丸太のオークションや板材の販売、その他薪を販売しています。このような木の販売は森林組合の本業ではありませんが、今まで伐採した後に山に放置されてきた丸太などを、環境保護の高まりの中少しでも地元の方に使って頂こうという考えにより開催されるようになったようです。それゆえ基本的には採算割れ覚悟のアウトレット価格であり、素人目に見ても非常に安くお買い得な板が所狭しと並んでいました。





私を含めて素人なので、皆とりあえず何百枚もある板を端から見ていくしかありません。しかし、ところどころで組合の方々が親切丁寧に説明をして頂けるので、だんだんとなんとなくですが木のことがわかってきます。

↓親切な組合の方々


今回は、スギ、ヒノキに加え、エンジュ、ハリエンジュ(ニセアカシア)、イチョウ、カエデの樹種が多かった感じがします。いちょうはしっかりした板が多数出たということでしたが、残念ながらこのアウトレット市は昨日から開催されているため、かなり販売済みのものも多かったです。



材を購入するには2通りの方法があり、ひとつは樹種買いで、もうひとつは杢買いです。
樹種買いは例えば「サクラ」などある一定の樹種にこだわって購入する場合と、非常に希少な樹種が出てきたために買っておく場合があります。杢買いは、樹種にこだわらず気に入った杢の材を購入しておくことです。希少な樹種の場合と気に入った杢の場合は、一期一会ですから今購入する決断をしなければなりません。また一定の樹種買いも、材は加工するまでに数年寝かせなければならないため、数年後を見据えるのであれば購入し材を揃えておかなければいけません。

いずれにしても、木工家は仕入れをしておかなければいけないということです。
そのため木工家の庭先には多数の板が積み上げられることとなり、「あれらは放置されたお金の山だけど、いったいいつになったら還元されるのかしら」という木工家の奥様方の愚痴を聞くことになるのです。

私も最初はただなんとなく板を見ていたのですが、「いざ自分がお金を払って買う」という気持ちを持ち、どの板をどのような家具に利用するかイメージし、大きさを見て厚さを見て杢を見て値段を見ていると、ある意味緊張してきます。
特に気に入った木目を持った材などは、ここで買わなかったらもう二度と出会うことはないでしょう。また迷って一周しているそばから他のお客様が購入してなくなっていくものも多数あります。まさしく仕入れ人の決断が試されます。

私はだんだんと欲が出たのか、材木の魔力に取り込まれていったのかわかりませんが、当初は数千円の予算で一枚か二枚買えばいいかなと思っていたのですが、結局は3枚、計12000円分を購入していました。

◎1枚目はカエデの板。
ちぢれ杢のような木目と、通常なら2寸くらいの厚さで製材している板が3寸近い厚さがありそのボリューム感に惹かれました。しかし「1寸1年」という言い方があるらしく、これは1寸につき乾燥が少なくとも1年は必要という意味で、購入後も3年間は寝かせておかないといけないようです。価格はもともとは18500円でしたが10000円になっていたので思い切って購入。



◎2枚目はハリエンジュの板。
これは腐りもあり冒険でしたが机の天板にした際に樹皮を残したデザインができそうだったのでその可能性に賭けて購入しておきました。2500円をカエデの板も買ったので1500円に負けてもらいました。



◎3枚目はエンジュの小さな板
上記2枚はまだ使い道もわからずとりあえず将来の投資のために買ったものですが、せっかくなら自分の部屋の中にも何かおきたいと考え、手ごろな大きさで棚にできる板をと思って買ったのがこれです。ちなみに上のハリエンジュとエンジュは別の木です。

さて、購入したら早速皮剥ぎと割れの補修が必要なようです。皮を剥いでおくのは皮と木部の間を虫が好むために虫食い防止のためです。割れは特に木口からの割れを鎹を打ったり、ボンドで留める作業です。そしてその後は塗装やサンダーによる仕上げと続いていくようです。(実はまだよくわかっていない)

アウトレット市から戻った私達は私の部屋でしゃべっていたのですが、皆なんとなく早く自分の購入した板を早く愛でたいような雰囲気を感じます。特にY君の頭の中は自分の作成したいベンチの設計をイメージすることで一杯のようで、時折困ったような顔をしたりいいイメージが湧いたのかニヤニヤしながらメモをとったりしていました。



本日生まれて初めての仕入れを経験した私ですが、このお金を自分で払うという行為がとても大切なことだと思います。それによっていい緊張感が生まれ勉強し、また品質と価格のバランス感を養うこともできます。しかし同時に木を購入する楽しみを少し覚えてしまったような気がして、危険な予感を感じます。今後が怖いです。
またこれだけの板を廉価で購入できる市が身近にあることは木の国信州にいる強みを感じましたし、あとは私の愛車「サンバー」が長い材を運搬することに大活躍したことも喜びでした。

次回のアウトレット市は秋なので、それまでにもっと勉強しておきたいと思います。
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桜が散ったら

2009年04月20日 | 【写真】一本の木
桜が散ったら、今度はこんな色鮮やかな花がベランダ下に咲きはじめました。

伊那市(長野県)
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カラス撃退係に就任

2009年04月19日 | 【日記】いろいろ
こちら長野でも趣味の篠笛を思いっきり吹ける練習場所はなかなかないものである。どうしても民家の存在を気にしてしまう。しかしあまりに家から離れてしまっては気軽に毎日練習ができない。

いろいろと近隣を回り、練習場所として見つけた一つは小学校の傍で道をはさんで桧の林があるところ。ここは屋根付きベンチもあってグッド!
そしてもう一ヶ所目をつけたところが、学校からの帰り道の畑の中。ここは一面の畑で見通しが良すぎるため人目にもつくし音も遠くまで届いてしまいそうだが、一番近い民家でも1㎞近く離れているので、そうそう文句も言われなそうな気がする。しかも学校の帰り道なので時間を有効利用できそうなのです。そんな思惑で初日の練習を開始。

恐る恐る音を大きくしましたが、何の遮蔽物もない畑の真ん中で、南アルプスを望みながらの笛吹きはなかなか贅沢です。
犬の散歩をしているおじさんにも挨拶をされ、まずは迷惑でなさそうということで胸を撫で下ろす。

するとその後に、このリンゴ畑のご主人がやってきた。さすがに文句を言われるかとビクビクしたが、ご主人にも話しかけられた。「いい趣味だねぇ」ヤッター!イケる(練習を許される)!
念のためしっかりと許可を頂こうと「今後もこちらで笛を吹いてもご迷惑ではないでしょうか?」とお聞きすると、びっくりするような返事を頂いた。ある意味感動した。
その返事は「どんどんやってください」だった。
なんでも畑を荒らすカラスの予防になるらしい。今までは周囲に気を使いながら練習し、横浜では実際に何人かに「うるさい!」と苦情を言われたこともある。それだけに「どんどんやってください」なんて言われたことにとても感動しました。
かくして私はリンゴ畑のカラス撃退係に就任したのでした。

その後畑のご主人とは小一時間くらい日が暮れるまで立ち話をして、りんごや農業について教えて頂きました。リンゴも収穫できるまでに少なくとも8年くらいはかかること、毎年の台風に悩まされること、植物の病気やカラスやもぐらとの戦い、霜の心配などなど枚挙に暇がありません。
またリンゴの花摘と収穫前には人手が必要になることを聞き、時期が来たらお手伝いをさせて頂く約束もしてきました。とても楽しみです。

そういえば、立ち話をしている最中にも、先ほどの犬の散歩のおじさんが2回程は通過していきました。聞いてみると同じ種類の犬を何頭も飼っているそうで、それらを1頭ずつ同じコースを散歩させているそうです。道理で同じような犬だけどなんとなく微妙に顔が違うのを感じていたからです。そしてもう一度そのおじさんが回ってきた時には、今度はさすがに自転車で散歩をさせていました。
ということで伊那は今日も平和です。
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マイブーム「おこぎ」

2009年04月18日 | 【写真】一本の木
◆おこぎBEFORE


どうみても草というか葉っぱというか。

しかも垣根に生えているらしいです。


スーパーで見つけた地元色が濃そうな食べ物を発見!

それがこの「おこぎ」でした。


はっきりいって私の中のマイブームです。
学校に行ってもしきりに周囲の人に「おこぎって知ってる?」と聞きまくっています。
もちろん私ほど「おこぎ」に対して熱意は持ち合わせてはいないと思いますが、私の意を汲んでくれたのでしょうか?
来月に発行する学級通信に「おこぎ君」なるキャラクターが掲載されるかもしれません。

◆おこぎAFTER


普通にゆがいて鰹節と醤油で食べます。

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はなさかじいさんは実在する?

2009年04月18日 | 【写真】一本の木
長野に来たこの4月、野山の植物は一斉に花をつけ、いろとりどりの色彩で景色を覆っています。

「はなさかじいさんって本当にいるのではないか」

と思ってしまいます。

家のそばにまたこんな花が咲いていました。
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