馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

回腸纏絡/大小

2017-07-17 | 急性腹症

きのうは、

朝、競走馬5歳の跛行診断。

結局、予定どおり球節の関節鏡手術をした。

午後、2歳育成馬の跛行診断。

むずかしい症例だったが、診断はついた。

ついで、1歳馬の腰痿のX線撮影。

夕方、当歳馬の臍ヘルニアの診察。

                        -

夕方5時。当歳馬の疝痛の依頼。

朝7時に疝痛を発見し、そのときにはすでに痛がっていた。

超音波で小腸は膨満していたが、蠕動があったので様子を観ていた。

しかし、状態が悪くなり、蠕動もなくなった。との経過。

6時半に来院。

超音波で完全に膨満した蠕動のない小腸が何本も見えた。

すぐに開腹した。

回腸がいくつかのループで絡んで、病変部は暗黒赤色。

上位の小腸はガスと液で完全に膨満して、灰色っぽい部分や、緑がかって見える部分もある。

なんとか絡んでいるのをほどいた。

メッケル憩室腸間膜の遺残があったので、それが元で回腸の纏絡を起こしたのだろう。

上位の小腸のかなりの部分が弛緩してしまっているので、全部切除はできない。

仔馬の腸管手術は、あっさり治るのでなければ、あるいはあっさり治る症例でも、癒着のリスクが避けられない。まして、この状態では・・・

あきらめることにした。

夜7時半。

                       -

片づけをしているところへ、繁殖雌馬の疝痛の依頼。

来てみると、PCV45%、乳酸1.8mmol/l。

超音波では内容が多い小腸があるが、液で膨満しているわけではない。

雨で濡れた青草を食べ過ぎたか?

曳き運動をしたら、歩いていられる。

馬房へ入れたら、伏臥するが転がりまわるわけではない。

経過を観ることにした・・・・・が1時間ほどで転がって痛がるようになり、息遣いも激しくなった。

「開けなきゃダメだね」

                       -

開腹したら、回腸の纏絡だった。

簡単にはほどけない。

患部をつつんで絞め付けている腸間膜を切断して、ようやっとほどいた。

ふつうは、切除部位を決めて、腸間膜を止血して、腸を切断して内容を棄てて、吻合する。

しかし、腸間膜をすでに切開しているので腸を正常な位置にならべにくい。

おまけに膨満した小腸が盲腸と入れ替わったようになっていて、盲腸が出てこない。

それで、先に壊死した小腸を切開して内容を棄てる。

それから、小腸と盲腸の位置関係を直して、盲腸を術創から引っ張り出す。

それでやっと空腸盲腸吻合の下準備ができた。

回腸を盲端にする。

空腸の吻合部位を決めて、盲腸に端側吻合した。

終わって12時。

麻酔覚醒して起立し、入院厩舎へ入れたのは1時をまわっていた。

                    ///////////////

今月号のアメリカ獣医師会雑誌の表紙はゴールデン・レトリーヴァーのパステル画。

あ~これこれ。

うちの相棒も、珍しいものを見たとき、こういう顔する。

水に浸かりながら、水に落ちたテニスボールを見ているゴールデン。

この絵、とても気に入った。

 

 

 

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6 コメント

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Unknown (piebald)
2017-07-17 20:13:25
アメリカのは、毎号、こんな表紙なのですか?楽しみですね。
Unknown (shim)
2017-07-17 20:24:06
先日は思いがけない場所でお会いしてびっくりしました。
近いうち、生産馬(?)が2頭もお世話になるようです。どうぞよろしくお願いします。
既にカンケイはないのですが、立ち会えたらと思っております。
Unknown (はとぽっけ)
2017-07-17 21:07:04
 結果からすると、もっと早くに、と思うのですが、やはり様子見、としちゃうんですね。物言わぬ患者さんたちの診断は大変ですね。
 オラ君がまだ子犬で初登場のころ、ゴルの耳が立ってる顔が好きだとカキコんで、hig先生に一笑いただきましたが、たれ耳のわんこのこの顔、はとぽっけには耳がせいいっぱい立っているように見えるのです。ビクターのわんこもこんなふうですね。
 
>piebaldさん (hig)
2017-07-18 04:00:29
動物を描いた素敵な絵が使われていることが多いですね。

この絵は、サンドペーパーにパステルで描いたもので、画家さんは動物をたくさん描いていて、動物のために絵を寄付したりもしているそうです。
>shimさん (hig)
2017-07-18 04:05:40
意外な場所でしたね;笑

生産馬たちへの愛情、思いいれ、素晴らしいと思います。
>はとぽっけさん (hig)
2017-07-18 04:09:58
痛がり方が、判断基準のかなり上位を占めるのですが、ときどきだまされます。
疝痛が始まって3時間までが重要だと考えています。それを過ぎると「手遅れ」も出てきますし、痛みが麻痺してくることもあります。

今は、はとぽっけさんの言うゴルの耳の動きがわかるようになりました。
そうですね。ビクターの犬もこの表情かもしれません。

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