馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

黒毛和種新生子牛の脛骨近位骨幹端斜骨折のDCP固定

2016-09-16 | 牛、ウシ、丑

前日うまれた子牛が立てないと思っていたら、脛骨を骨折している、とのこと。

すぐ内固定の器具の滅菌を始めて、来院を待つ。

X線撮影したら、脛骨近位骨幹端の斜骨折だ。

頭-尾方向を分かつように斜骨折している。

小さい骨片が飛んでいるが、いくつものピースに分かれた粉砕骨折ではなさそうだ・・・・・と判断したのだが・・・・

体重は40kgなのでナローDCP1枚でプレートの強度は大丈夫だろう。

内側にプレートを当てるより、ほとんど脛骨稜にプレートを乗せるようにして、スクリューは頭-尾方向で入れた方がしっかり固定できそうだ。

ラグスクリューを外頭よりから尾方向へ入れて、仮止めすれば、内固定の強度をあげてくれるだろう。

で、ほぼプランどおりにDCP固定した。

しかし、尾側は皮質が割れているようで、骨折部にかかる近位から2番目と3番目のスクリューはしっかり効かなかった。

もう1本骨折線をまたぐようにポジションスクリューを入れたかったが、適切な位置と角度が見当たらなかった。

最初に入れたラグスクリューはしっかり効いた。

脛骨稜近くにプレートを乗せているので、これ以上近位へプレートをずらすと、成長板をまたいだ内固定をすることになってしまう。

強度を出すために本当に必要なら骨端にもスクリューを入れるとか、ダブルプレートにするという方法もあるのだが・・・・

キャスト固定を併用することにした。

1ヶ月も巻いておかなくても大丈夫だろう。

この子牛、初乳は経鼻カテーテルで投与したが、哺乳はしていないとのこと。

このあとは人工哺乳で育ててもらうことにした。

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これもまたひとつのチャレンジ

 

 


中手骨外顆掌側chip fractureの関節鏡?手術

2016-09-16 | 関節鏡手術

1歳馬、歩様も悪くないし、腫脹もないが、X線検査で球節に骨片が見つかった、とのこと。

とても珍しい箇所の骨折で、「取れるかどうかわかりません」と回答しておいたのだが、「取ってください」ということになった。

競走馬の球節は激しく動き、大きな負担がかかる。

骨片は摘出しておいた方が良いだろう。

中手骨外顆の掌側。

種子骨遠位や第一指骨掌側突起の骨片は関節鏡で摘出したことがあるが、今回の部位は記憶にない。

関節鏡を入れるが骨片は見えない。

注射針を刺してX線撮影してみると、骨片はもっと遠位だ。

鈍端のプローブで関節鏡の視界を邪魔する靭帯をどけて観るが骨片は見えない。

もう少し遠位だ。

細めの骨起子を当てて、X線撮影してみると、やっと届いたようだ。

関節鏡では骨片を観ることはできないので、X線画像と手触りで見当をつけておいて引っかく。

少し器具孔を切り広げ、らしきものを起こそうとしていたら、骨片が飛び出てきた。

摘出できたのは間違いない。

関節鏡手術と言えるかどうかわからないが、最初から関節切開しようとしても関節を開いて覗けるような箇所ではないだろう。

やれやれ、急患で昼食も食べられずだったので、ひどく手こずらずには済んでようございました。

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とうちゃんが昼にかえってこれなかったと思ったら、なんだその格好は!

おめ~にはプライドとか矜持とか礼節とかというものは・・・・・・ないネ。