馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

完全に腎脾腔捕捉された結腸左背側変位

2014-06-15 | 急性腹症

繁殖雌馬の疝痛。

朝7時、馬房で痛くなったが、自然に治まった。しかし、昼前、放牧地でかなり痛くなった。とのこと。

1時にに来院すると、身をよじって立っているのも限界。

心拍56回/分。PCV46%、乳酸値2mmol/l。

超音波で左腎見えず、脾臓の背側に気脹した大腸がある。

右膝内側では肥厚した大腸壁が見えた。

開腹した方が良い。

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最初に現れたのは盲腸。針を刺してガス抜きする。

その奥に肥厚した大結腸がある。ガス抜きしたいが、内容ばかりで減圧できない。

腎脾間を触ると大結腸が入り込んでいる。

Photo_3結腸左背側変位だ。

完全に腎脾腔へ入り込み、骨盤局は右腹腔で頭側を向いている。

脾臓を縮めるために塩酸フェニレフリンを点滴してもらう。

手術台上で馬を右へ傾けてもらい、脾臓からははずしたが、胃の向こう側に結腸基部があり、

膨満しているので破裂しそうで無理はできない。

出せる部分だけ術創から出して、骨盤曲を切開し内容を洗い出す。

それでやっと減圧できて、胃からも結腸をはずすことができた。

後は閉腹するだけ。

colopexyはしなかった。

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やったね。オランダ。

初戦で前回優勝のスペインと対戦。

準優勝や強豪の誇りを捨てて守備的に戦い、カウンター4発。

スペインのGK名手カシ-ジャスは集中を失くしてしまったようだった。

冷静に、集中して、最後まで・・・それは馬外科医にも要求されること。