EQペディア/エラリイ・クイーン事典

エラリイ・クイーンの作品(長編・短編)に登場する人物その他の項目を検索する目的で作られたブログです。

ジューナ

2007年07月15日 | 人物事典(常連)

ジューナ

クイーン家の給仕兼料理人として家政を担当するジューナは、時にはエラリイの相談相手にもなった。小さくて、陽気で、快活なジューナは、エラリイが大学に行っていて、クイーン警視が寂しい生活をしていた頃、警視が養子にした孤児だった。(『フランス白粉の謎』より)


<ジューナはクイーン家の従僕で、なんでもやで、料理人で、部屋女中で、非公式に刑事課のマスコットだった>
<ジューナの世界は、その愛する保護者と、クイーン一家の共同の住まいに局限されていた>(井上勇訳『フランス白粉の謎』)


従僕扱いであるが、身分はクイーン警視の養子であるから、エラリイの義弟ということになる。普段は家に引きこもっているようだが、学校へは行かなくてよかったのだろうか?長編では『中途の家』を最後に姿を消すが、大学へでも行くようになったのだろうか?


処女作『ローマ帽子の謎』では、ジューナは次のように紹介されている。

<ジューナは、エラリーがまだ大学で勉強をしていて、リチャードクイーンがひどく孤独をかこっていたころ、老人が拾ってきた若者だった。この快活な青年は十九歳で、記憶するかぎりでは孤児であり、天真爛漫で、姓の必要をいささかも感じていなかった。---ほっそりとして、小柄で、神経質で愉快で、元気いっぱいにはしゃぎまわっているかと思うと、必要な場合は、小鼠のように静かにしていた>(井上勇訳)

『ローマ帽子の謎』の記述では、養子ということには触れておらず、完全な従僕扱いである。また、十九歳という年齢にも疑問がある。『ギリシャ棺の謎』『オランダ靴の謎』などと異なり、明らかに時系列的には『ローマ帽子の謎』よりも後の事件である『アメリカ銃の謎』ではジューナは十六歳とされており、初めてのロデオ見物にはしゃぐ姿もその年齢に相応のものである。


『オランダ靴の謎』で、エラリイに助言をして、お礼に安っぽい変装道具をプレゼントされるジューナ。将来は探偵になりたいという夢を持つジューナは大喜びで、変装してエラリイの前に現れる。

<ジューナは胸をおどらせて、テーブルのそばに立って、なんとかしてエラリーの注意をひこうとしていた。
 エラリーは、いかにもびっくりぎょうてんしたような表情をして、ぴたと立ちとまった。その驚きが消え去ると、真剣な、不安そうに見えるまでの表情をうかべた。
 すこしばかり震え声を出してたずねた。「どなたでしょう。どうして、ここへはいってきましたか」
 ジューナは目をぱちくりとさせた。「だって---エラリイさま---私ですよ」>(井上勇訳)

どうみても子どもである。『アメリカ銃の謎』の十六歳が本当なら、十二、三歳といったところだろう。



☆ジューナが登場する作品は以下のとおり。

長編
『ローマ帽子の謎』/『ローマ帽子の秘密』
『フランス白粉の謎』/『フランス白粉の秘密』
『オランダ靴の謎』/『オランダ靴の秘密』
『ギリシャ棺の謎』/『ギリシャ棺の秘密』
『アメリカ銃の謎』/『アメリカ銃の秘密』
『チャイナ橙の謎』/『チャイナ・オレンジの秘密』
『中途の家』/『途中の家』
『ニッポン樫鳥の謎』/『日本庭園の秘密』

短編
『暗黒の家の冒険』(『エラリー・クイーンの新冒険』に収録)

『七匹の黒猫の冒険』(『エラリー・クイーンの冒険』)には直接登場はしないが、エラリイが事件に関わるきっかけとなったのは、ジューナにせがまれてペットショップへアイリッシュ・テリアを買いにきたことだった。



なお、ジューナを主人公にしたジュブナイルのシリーズがエラリイ・クイーンJr名義で刊行されている。



(Eirakuin_Rika)

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