EQペディア/エラリイ・クイーン事典

エラリイ・クイーンの作品(長編・短編)に登場する人物その他の項目を検索する目的で作られたブログです。

仲間はずれ

2007年06月16日 | 短編ミステリ
仲間はずれ/The Odd Man

『間違いの悲劇』(創元推理文庫)に収録。
*別訳はHMM1976年1月号、ハヤカワ・ミステリ文庫『クイーンズ・コレクション1』所収。

【パズル・クラブ】

☆事件

恒例《パズル・クラブ》では今夜もエラリイが謎を解く順番に当たっていた。
麻薬供給者を追及している秘密調査員が襲撃され、“the odd man of the three”と言い残して死んだ。容疑者は3人。テレビの修理屋チャンドラー、保険代理業者ケリー、セールスマンのフレッチャー。
犯人は誰か。3人のうちただひとりの「仲間はずれ」を巡ってエラリイが出した答えは?

☆コメント

《パズル・クラブ》シリーズは全部で5編。
原書房の『名探偵の世紀』の年表によると、エラリイの入会を描いた「小男のスパイ」と唯一彼が出題役となる「大統領は遺憾ながら」(ともに『クイーン犯罪実験室』所収)が1968年、3年後の1971年に残りの3作が発表されています。
で、今までエラリイは2作目を除いて常に解答役に回り、その都度出題者の鼻を明かしてきましたが、今回初めて逆襲に転じる。出題役が考えてもみなかった別の解答、つまりアナザー・ヴァージョンをさらにふたつ捻り出してみせるのです。
前述の年表によると、「仲間はずれ」はクイーンの最後から2番目の作品らしい。
確かに論理の筋から外れてはいないものの、今までの「推理可能な“唯一絶対”の結論」を求めるのとは大きく異なる展開は、やはり晩年の構成力の衰退に伴う作風の変化なのか。
それとも単にお遊びに徹しただけで、特に重要視するほどでもないのでしょうか。
もっとも、後半3編の中では一番いい出来ではありますけど。だから自選アンソロジーにも収録したんでしょうな。

(Matorjiska)

☆登場人物リスト

〈パズル・クラブのメンバー〉
サイアーズ・・・合衆国の大富豪十人の中の一人。大男
ダーネル・・・著名な刑事弁護士。あさ黒く長身で太い眉毛の男
ヴリーランド博士・・・有名な精神科医。頬の赤い小男
エミー・ワンダーミア・・・ほっそりした詩人
アーケイヴィ博士・・・ノーベル賞受賞者の生化学者。(欠席)
エラリイ・クイーン・・・探偵

シャーロット(シャルロ)・・・サイアーズのお抱え料理人

〈パズルの登場人物〉
ジョン・A・チャンドラー・・・ラジオとテレビの修理屋
カットクリフ・ケリー・・・保険の外交員
ベンジャミン・フレッチャー・・・電気掃除機のセールスマン


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