エピローグ

終楽日に向かう日々を、新鮮な感動と限りない憧憬をもって綴る
四季それぞれの徒然の記。

奄美からの便り・・・7

2013年10月31日 | ポエム
奄美大島の十三夜は、風情に溢れていた。
雲がかかったり、晴れたりしてその変化が楽しかった。

ぼくは夕焼けの中で浜を散策しつつ月を見上げたのであった。



浜には、ヤドカリが歩いている。
おおきな貝殻を背負っている。



貝殻の両サイドの浅く小さな穴は、このヤドカリの動いた跡である。



月が上がった。
明日あたりが満月であろうか、左下が少しばかり欠けている。
まん丸でないのが良い。

成長力を遺す島の十三夜である。







「十三夜光たゆとう島の海」




風情を楽しむ月である。
今年、片見月にならなくて良かった・・・。



      荒 野人

奄美からの便り・・・6

2013年10月30日 | ポエム
今日は、奄美の名物料理を紹介しよう。
「鶏飯」である。
「けいはん」である。

正に、唯一無比の郷土料理である。
これが誠に美味い。



鳥茶漬けである。
蒸鳥を細かく捌く。
錦糸卵も一盛り。
椎茸の甘辛で煮たものの千切りを添える。
海苔も千切りにする。
ワケギ、紅生姜、生姜の擦り下しを添える。



ご飯の上に、一緒くたに載せ鳥ガラスープを注ぐ。
これで出来上がりである。

なんの変哲も無いかのように見えるけれど、実に味わい深いのである。



これは鶏飯ラーメンである。
このラーメンも誠に美味い。

新しいラーメンの味わいである。
奄美の人々の心に、深く深く沁み込んだ郷土料理である。



その他、豚肉も美味いのだけれど、これはシンプルな塩豚のビーフンである。
浅いお皿に盛られてくる。

塩豚は残しつつ、スープとビーフンの奏でるメロディーを味わい尽くすのである。



地元の魚のあら煮である。
魚の姿は不明だけれど、これまた甘辛く似煮てあって「キンキの煮つけ」のような味わいである。

この一皿で、ご飯が二三杯いただけそうである。
一言添えるとすれば、オクラは不要である。

それにしても奄美の人々は、美味い魚を食っている。
近大のマグロもあるのだから鬼に金棒であろうと推測する。
羨ましい限りである。

博覧強記の徳子さんから、メールを頂いた。
奄美便りを楽しみに見て頂いているというのである。
「海が綺麗」の一言が添えられている。

やはり、海をお見せしなければなるまい。



天と地、浜辺と海の境目すら判然としない綺麗な海である。
天国への階梯は、ここに架けられているのだ・・・と言わんばかりである。

浜には、びっしりと珊瑚のかけら。







「リーフからかけらを運ぶ秋の潮」







珊瑚によって、日々清浄されて行く島である。




           荒 野人

山茶花

2013年10月29日 | ポエム
山茶花が咲き初めている。
この花は、咲き時を見極めるのが肝要である。

咲き時を捉えなければ、花弁の縁が直ぐに黒ずむ。
見どころは、ほんの一寸の時間なのである。



淡いピンクが花を縁取る。
そのピンクが、やけに煽情的である。







「山茶花のほんのり淡く咲き初むる」







茶花としては、合わない。
花がポトリと落ちるからである。



ただ、蕾を愛でるのなら茶花もあり得るのかもしれない。
蕾自体も美しいからである。

花言葉は「困難に打ち勝つ」「ひたむきさ」である。

因みに、色別の花言葉もある。
白は「愛嬌」「理想の恋」
桃・赤は「理性」「謙遜」
となっている。



     荒 野人

秋の薔薇へ

2013年10月28日 | ポエム
薔薇自体は、夏の季語である。
冬の薔薇は「ふゆそうび」と称して、冒し難い寂寥感の中に佇む。

秋の薔薇は、しかしその枯れ具合がとても宜しい。
曰く言い難い風情があって、薔薇園を彩るのである。



シャコックである。
花びらの淡々とした、色彩のグラデーションが魅力的な薔薇である。







「秋の薔薇微かに触れる汀かな」







シルエットである。
この薔薇は光との調合が良ければ、その美しさが際立つ。
なんともエレガントな薔薇である。



王朝である。
高貴な色彩を持つ薔薇である。

ついこの間、中里 實さんの遺句集にあった薔薇である。
人によって、花は美しくなる。
花の上を過ぎ去った、時間という味の深さであろうか。

あるいは又、時間という人間の相克の重さであろうか。



チェリッシュ。
かつてこんな名前の、歌手がいた。
男女の二人であった。
清んだ声の女性とのカップルであった。



テキーラ。
強い酒である。
サボテンで作った酒である。

秋のバラもなかなか良い。
その風情が良いのである。



      荒 野人

奄美からの便り・・・5

2013年10月27日 | ポエム
今日、海はありません。
ハブという毒蛇に関する情報・・・。

マングースとハブの闘いがつとに有名だけれど、実はハブという生き物、奄美の人々の生活に根差している。
上手に付き合っていると言うべきか。



こんな会話が飛び交う。
「さあ、ハブでも獲りに行くか!」
「こんな日は(雨上がり)、獲れそうだからね」
「地面が濡れているから、滑りやすいからね」

晩酌や夕食の後の会話である。



ハブは夜行性である。
昼は茂みで寝ている。
夜になると、水を飲みに道路に出て来て水辺に行こうとする。

とりわけ雨の音は、蛇が滑って出てき易くなると云うのである。
本当かいな!!!

そこを、人間が狙っている。
ハブ取り以外では、夕方以降はフラフラと出掛けると危ない。
島の人々は、例外なく懐中電灯を持っている。

ハブは光に弱いのである。
因みに太陽の光には、30分と当たってはいられない。
死んでしまうのである。

普段でも、人々は茂みの傍は歩かない。
できるだけ歩道や道の真ん中を歩く事を、心がけるのである。
全て自己責任である。



ホームセンターで普通にハブ箱が売られている。
一つ、7,800円である。



これは、ハブを捕まえる棒。
ハブ取り棒である。
一つ、4,980円である。

従って、ワンセットで12,780円となる。







「砂糖黍の茂みに潜む秋の虫」







こうした場所にハブは潜んでいる。
けれど、ハブを獲って生きたまま役場の支所に持っていくと、一匹4,000円で引き取ってくれる。
血清にするのだそうである。

ハブ獲りの勇者は、一月で100匹取ったと云うから、しめて「40万円」である。
大したものである。



こんな感じで積んである。
島の自家用車は、軽が多いけれど後部に積んである。

島の人々の、一寸した小遣い稼ぎとなっている。



        荒 野人