平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第21回「決行の日」~この作品の登場人物は物分かりが良すぎる

2015年05月25日 | 大河ドラマ・時代劇
「志を成し遂げて下さいませ。
 もうあなた様の無事も、お帰りになることも願いません。
 あなたというお人を夫に持ったことを誇りに思います。
 ご武運をお祈りいたします」

 今回は、文(井上真央)が久坂(東出昌大)を身軽にしてあげる話でした。
 この作品の登場人物たちは、毛利敬親(北大路欣也)といい、文の父親や母親といい、みんな物分かりがいいんですよね。

 この後にやっている『天皇の料理番』も妻・俊子が篤蔵を身軽にしてあげる話でしたが、俊子は「食堂の女給はいやだ」と、敢えて悪者になった。
 篤蔵の父も、志に生きる篤蔵を殴り、勘当して切り捨てた。
 ドラマとして、どちらが面白いかと言えば、言うまでもない。

 そもそも文は、久坂の志(=攘夷)に疑問を持っていたのではなかったか?
 ならば、当初、思っていたとおり「攘夷とは何なのか?」を聞くべき。
 そして、納得できればそれでいいし、間違っていると思えば、糾すべき。
 何しろ人の生き死にに関わる話ですしね。←このあたり現代感覚で見ています。

 毛利敬親も物分かりが良い。
「そうせい」
「志ある者の邪魔をしたくない」
 でも、自由にやらせた結果、藩がつぶれてしまったら、藩主としてどう責任をとるのか?

 ともかく、物分かりがいいのはダメである。
 主人公の文は、あらゆることに疑問を持ち、つきつめて考える人物であってほしかった。

 最後は倒幕。
 この言葉が、ついに桂小五郎(東山紀之)などの口から出るようになった。
 高杉晋作(高良健吾)の「征夷大将軍!」や橋を渡ったことは幕府の力が弱まったことの表れだろう。

 その他、
「夷敵を打ち払うことを民も望んでいる」
「物価が高騰している」
「外国との通商で幕府が利益を独占している」
 みたいなせりふが語られていたが、どれも断片的で、当時の社会状況が今ひとつ描かれていない。
 唯一、伝わったのが、先程の〝幕府の力が弱まってきた〟という雰囲気。
 これで歴史を描いていることになるのか?

 人物描写といい、脚本家の力不足は否めない。

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2 コメント

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中途半端 (TEPO)
2015-05-25 21:19:02
>当時の社会状況が今ひとつ描かれていない。
>これで歴史を描いていることになるのか?

ここで思い出されるのは「篤姫」。
「政治・チャンバラ・いくさ」ファンの轟々たる非難をものともせずに、いわゆる「志士」たちに絡んだ「幕末物の定番エピソード」を見事にスルーしていましたが、あれは成功だったと思います。
「政治」や「いくさ」は大奥という世界にとって外的な状況の要因にすぎず、「いつの間にか」長州一藩にすら勝てないほどに衰えた幕府が終焉を迎える、というくらいで充分だったからです。

しかし、曲がりなりにも久坂、高杉、桂たちを描く以上、本作には最低限の政治・社会状況の描写が不可欠であり、おっしゃる通りその点が不十分であることは明らかです。

コウジさんは最初から脚本家が力不足だったとの見方をされていますが、私は「路線変更」があったとの憶測を捨てていません。

文が「物分かりが良く」なってしまった、ということは数回前まで存在していた<生活派>対<テロリスト>という対立軸がもはや捨て去られてしまったことを意味します。
<生活派>の視点ならば、松陰が「罪人」として処刑された後の家族の苦労を描き込んでおくべきだったと思います。
どうやら、吉田家は断絶、杉家は御役御免になっていたらしいのですが、その描写が全くなかったため、前回から今回冒頭にかけての「松陰復権」の意味が全く伝わりませんでした。

政治・社会状況の描写も不十分、<生活派>視点の掘り下げも不十分ということで、すべてが中途半端になってしまい、結局何を描こうとしているのか分からなくなってしまっているように思います。

あと、今後気になるのは「辰路」。
男視点の「チャンバラ幕末ドラマ」だと、京都で活動する武士(いわゆる「志士」)にとって「水商売の女性」は情報と安全確保のための不可欠なパートナーということで片付けられます。
しかし本作はなまじ文を主役に据えた女性視点なので、かなり辛い展開となることが予想されます。
「篤姫」でも小松帯刀の「京都妻」と本妻との確執が描かれていましたが帯刀は脇役でした。
たしかに「ドラマにはなる」でしょうが、下手をするとさらに脱落者が出る原因となるかもれません。

さらに今回祝婚ムードだった文の親友の一人「おすみちゃん」も伊藤利助の「最初の妻」。つまり先々捨てられてしまうようです。

今後もいわゆる「志士」たちの影の部分が続々と表に出てくるようで、「幕末男子の育て方」というよりは「幕末男子の堪え忍び方」という言い方が適切となるように思います。
企画の失敗 (コウジ)
2015-05-26 09:18:27
TEPOさん

インスパイアされるコメントありがとうございます。

おっしゃるとおり、<生活派>の視点がなくなっているんですよね。
現在の描写を見るに、<生活派>も以前と違って政治に対する問題意識を持ち始めている様子。
そのきっかけは、物価の高騰かもしれませんし、異国に対する危機意識かもしれない。
だとしたら、それらをもっと掘り下げて描けばいいんですよね。
ドラマとしては地味かもしれませんが、そうすれば、なぜ庶民が久坂たちに「夷荻を打ち払って下さい」と言ったかが、わかる。
でも、中途半端にしか描かれないので、唐突な感じしか受けない。

「辰路」に関しても、きれいにゴマかしましたよね。
久坂は無骨者だから、辰路との関係はなかった。
「おすみちゃん」も捨てられるんですか。
結局、文もおすみも当時の男たちにとっては、その程度の存在だったんですよね。
当時は完全な男尊女卑社会。
これを変に現代の価値観にあてはめるから、無理矢理な描写になってしまう。

この作品は完全に企画の失敗ですよね。
描くのが非常に難しい素材に手を出してしまった。
安倍首相への配慮かは定かではありませんが、企画として、まず〝松下村塾〟ありきで、十分な検討もなされず、脚本家も安易に乗ってしまい、今、どう描いたらいいか困っているという感じなんでしょうね。

それと、大河ドラマは原作のあるものをやってほしいですよね。
脚本家のにわかで安易な歴史観で描いて欲しくない。
脚本家が歴史物で出来るのは、残念ながらアレンジ。プロの歴史小説家にはかなわない。
『篤姫』は宮尾登美子さんの原作があったから上手くアレンジできて成功しましたが、『江』は脚本・田渕久美子原作でメチャクチャ。
NHKとしては、オリジナル原作として、本を売りたいのでしょうが、やめてほしいですよね。

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