平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第12回「戻れないふたり」~心配なんです。あなた様は本当にまっすぐな人やから

2015年03月23日 | 大河ドラマ・時代劇
 まずは夫婦コント三連発。

★コントその1
 婚礼の席、高杉(高良健吾)がいきなり爆弾発言。
「文は不美人だから嫁には欲しゅうないと久坂は言ってたのう」
 北風+犬の遠吠え、アオーーン!(笑)
 周囲はなんとか取り繕うとするが、酔った周布(石丸幹二)がポツリと、
「不美人がどうした?」
 すると、文(井上真央)が問い詰めて、
「言うたん?」
 伊藤利助(劇団ひとり)は、
「不美人と言うたんは、おすみちゃんのことや」とフォローするが逆効果。
 怒った文は立ち上がり、
「実家に帰らせてもらいます!」
 すると、富永有隣(本田博太郎)が最後のオチ。
「実家はここじゃが」(笑)

★コントその2
「お帰りなさい」
 と、文に言われて戸惑う久坂(東出昌大)。
 久坂は幸せ慣れしていないのだ。
 その日の夕飯。
 文は味噌汁の具をいつもより多く入れ、久坂のお碗にはご飯を大盛りにする。
 わかりやすい文(笑)

★コントその3
 夫婦の夜の生活を意識するふたり。
 久坂は文に何かを言おうとするが、塾生が「今日は松陰先生の講義を聴きに来ないのか」とやって来る。
 無粋な塾生たち(笑)あるいは久坂をからかいに来たのか?

 定番と言えば定番だが、大河ドラマのコントとしてはこれくらいだろう。
 コントその1は結構ながく引っ張ってがんばってるし。

 というわけで、幸せな久坂。
 彼は家族がおらず、ずっとひとりで生きてきたから、その幸せは尚更だろう。

 しかし、久坂にとって<個人の幸福>と<志>は両立しなかったようだ。
 江戸行きが言い渡されると、命をかけて事をなすために文にこんなことを告げる。

「俺はやはりひとりの方がしっくり来る。
 ひとりの方が気兼ねのう遠くに行ける。
 お前は、お前に似合う相手を見つけてくれ」

 おそらく、これは迷いに迷った末の結論だろう。
 本音では別れたくないが、個人の幸福は志のためには妨げになる。
 自分が過激な行動に走れば、文に迷惑がかかるし、命を落とすようなことがあれば文を悲しませる。
 だから冷たく突き放しておいた方がいい。

 一方、物事の本質を見抜く文とって、久坂の思いなど簡単にお見通しだったようだ。
 文は久坂にもっと素直になれと言う。
 うれしいときには笑い、そばにいてほしいときはそばにいてほしい、助けて欲しいときは助けてほしい、江戸に行っても待っていてくれと言えと諭す。

 同時にこんな心配も。

「心配なんです。あなた様は本当にまっすぐな人やから。ようまわりが見えんくなるから。江戸に行ってもぶつかって擦りむいていっぱいこけるかもしれんから。ひとりにしておけんのです、あなたを」

 さすが文ですね。
 久坂の<危うさ>をしっかり見抜いている。

 まっすぐで、まわりが見えなくなって、ぶつかって擦りむいてこける男。

 文は久坂のストッパーなんですね。
 文という愛する存在がいるから、久坂は過激な行動を抑えるようになる。
 糸の切れた凧のようにどこかに飛んでいけなくなる。
 だから、このせりふ。

「私がこの萩にいます。この萩であなたを思うとってさしあげます。あなたがどれほど遠くに行っても迷子にならんように」

 しかし、時代の流れは、文ひとりの力ではどうにもならない所まで来ているようだ。
 久坂も自分の熱情を抑えることが出来ない。

 <個人の幸福を求める者><国の行く末を憂える者><個人の幸福と志の間で迷う者>、あるいは<お香の会や縁談のことで悩む者>こうした人々が混ざり合って歴史は動いていく。
 
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戻れないふたり (TEPO)
2015-03-23 19:38:52
以前コウジさんは私について
>TEPOさんの松陰嫌いというか、松下村塾の過激思想嫌いは徹底していますね。(第7話コメント)
とおっしゃいましたが、これは私だけではなく思想史について一定の知識をもち、右翼でない人ならば皆抱く思いの筈です。たとえば、数日前の朝日新聞では

(異議あり)松陰の「行動」への賛美、実は危うい 儒教思想を研究する小島毅さん
http://www.asahi.com/articles/DA3S11657442.html

という記事がありました。
小島さんは松陰のことをはっきり「テロリスト」と呼んでいるようで、東大教授の肩書きだけを頼りに、時流に抗って頑張っているように見受けられます。
毎日のように右傾化の動きを憂いていらっしゃるコウジさんも私や小島さんと思いは同じだと思うのですが。

ご指摘の「学園ドラマ」風「恋バナ」コントは私も楽しみました。
しかしそれも今回くらいまでのようで、どうやら今まで「封印」されていた「攘夷」がそろそろ前面に出てきそうな気配です。

今回の題名「戻れないふたり」は新婚早々での二人の「別れ」-「志」=生き方の基本的方向において-を示しているように思います。

文の志は、個人としての玄瑞をどこまでも愛し抜くという、分かりやすく、きわめて「まっとう」なものです。

問題は玄瑞。
文が見た彼の二つの持ち物-「刀」と「お守り袋の中の大吉のお神籤」-は象徴的です。
玄瑞の心に文に対する愛情がないわけではなく、それは「お神籤」に象徴されています。
しかし「刀」は、攘夷運動-そこには「テロリズム」も含まれる-に命懸けで身を投じる決意の象徴。
明らかに「テロリスト松陰」は「刀」に象徴される方向をもって玄瑞の「志」と見なし、これを後押ししています。
結局、玄瑞の心の中では「刀」が勝ちをしめるのでしょう。

私は、松陰・玄瑞の「志」(刀)と文の志(お神籤)とは相対立する、いわば「敵同士」の関係にあると思います。
文にとって悲劇的なのは、まったく敵対的な「志」をもつ相手を個人として愛し抜くことが志だということです。
おそらく兄松陰に対しても同じことになるのだろうと思います。

くどいようですが、私は松陰や玄瑞の「志」を志として認める気にはなれません。
松陰たちは無論のこと、先週あっさりと周布派に復帰した-これには少しがっかりしました-伊之助の比較的穏健な意見ですら、椋梨や井伊直弼の方が正論だ-ただし彼らは負けてしまうが-と感じてしまうくらいですので。

文の志を、あくまでも「攘夷」に狂奔する男たちとは対立的なものとして描き通してくれるならば、私はそこに100%の共感を寄せて見続けることができると思います。
作品と現代 (コウジ)
2015-03-24 10:19:41
TEPOさん

いつもありがとうございます。

刀とおみくじ。
おっしゃるとおり、実に象徴的ですね。
刀をふるって過激に走る久坂が、このおみくじの入ったお守りを見て、悩み葛藤するというシーンもあるかもしれません。

松陰および松下村塾の過激思想。

まず「攘夷」思想に関しては、当時の人々が、列強の喰い物にされている清国などの状況からこう考えてしまうのは、ある程度仕方のないことですよね。
ドラマ上も幕末を扱っている以上、免れ得ない(小田村伊之助を含めて)。

一方、現代のわれわれが考えるテーマとすべきは、ご紹介いただいた小島毅教授も書いていらっしゃるとおり<過激思想>の方ですよね。
松陰たちの行動はまさに「イスラム国」と同じ。

<過激>に対する言葉は<穏健><中庸>という言葉だと思いますが、その象徴がおそらく伊之助なんでしょうね。
過激に走らず、穏健に事を進めていこうとする立場。

あるいは杉家の人々などは、それらからまったく切り離された人たち。
人々が今回のようなコントで笑い、妹の縁談のことで文句を言うくらいの生活を送っていれば、世の中は平和なんですけど、歴史の流れはそれを許してくれないようで。

「志」に関しては、アイデンティティと言い換えてもいいかもしれませんね。
久坂のような<志>もあれば、文のような<志>もある。
若者はみんな<自分探し>をしている。
ただ、久坂たちが厄介なのは<自国への危機意識>と共に<社会への鬱屈>があることですよね。
自分たちには能力もエネルギーもあるのに社会(幕藩体制や身分制度)が開花を阻んでいる。
それで松下村塾の塾生たちが向かってしまったのは、明倫館で学んで偉くなることではなく、自分たちを疎外している幕府を倒そうという方向なんですよね。

そして、改めて現代との関係。
これらのことを考えていくと、TEPOさんや小島教授が懸念されているように、松下村塾の物語はかなり現代の日本に重なり合いますよね。

まずは中国、ロシア、北朝鮮などの外敵脅威(習金平やプーチン、金正恩などの発言を聞いていると、脅威がないとは言えない)
次に社会的閉塞感。拡がる格差。不安な未来。
安倍首相は施政方針演説で、岩倉具視を例に出してほとんど「富国強兵」宣言をしましたが、彼の言葉はこんな時代に合っているのでしょう。

本当に困った時代です。
なかなか杉家のコントのような生活をさせてくれない。
時代の流れは、個人の力では抗しようもないのですが、ウルトラライトに行かないよう様々な人と連帯して発信していきたいと考えています。

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