平成エンタメ研究所

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花燃ゆ 第20回「松陰、復活!」~雑なドラマですね。視聴者の補完にも限界がある

2015年05月18日 | 大河ドラマ・時代劇
 全体的に〝雑なドラマ〟ですね。

 久坂玄瑞(東出昌大)と高杉晋作(高良健吾)。
 松陰(伊勢谷友介)に育てられたふたりの弟子たち。
 今回はそんなふたりと、松陰の言葉や書物が今も影響力をもって生きていることが描かれたわけですが、〝雑〟な感じが否めない。

 まず、久坂がラスト、どうして焼き討ちに参加するという心変わりをしたのかがよくわからない。
 久坂は伊之助(大沢たかお)と同じで、言論で藩や朝廷を動かし、幕府の方針を変えようとしていた穏健派だったが、急に高杉らの英国領事館焼き討ちに参加してしまった。
 松陰の書物が久坂を動かしたらしいのだが、松陰のどのような教えがそうさせたのかが描かれていない。
 萩では、子供たちの間で松陰の思想を学びたいという動きが出て来たようだが、これまた松陰のどのような言葉が子供たちの心をとらえたのかが描かれていない。
 松陰の罪が許されて、吉田家が再興した理由もよくわからない。
 長府藩主らを動かした伊之助の功績で許されたらしいが、幕府にお伺いを立てなくていいのかね? それだけ幕府の力が弱くなったってことか?
 三条実美が動いた理由も口の腫れ物を梅干しで治したからって……。安易すぎないか?
 伊之助が長府藩主らを動かしたくだりも、もっと丁寧に描かなくては伝わらない。

 まあ、どうして〝雑なドラマ〟になったかはわかりますよ。
 松陰の思想を踏み込んで描くことができないからだ。
 たとえば、吉田松陰の『留魂禄』には、こんな言葉。

「討たれたる吾をあわれと見ん人は君を崇めて夷払えよ」
「七たびも生きかへりつつ夷をぞ攘はんこころ吾れ忘れめや」

 これを描けば、すべてが明解になる。
 久坂が心変わりした理由もよくわかる。
 子供たちが松陰を求めた理由も。
 ただ、これを描けば、天皇やお国のために死ねという〝過激な右翼思想〟になってしまうから、日曜日のお茶の間にはそぐわない。
 だから作家としてはお茶を濁して描くしかない。
 とはいえ、これを描かないと、高杉たちの行動の理由がはっきりしないから、視聴者は「何か過激なことをやってるな」で終わってしまう。

 作家や制作陣としては、そこの所を「行間を読んで補完して」と考えているのだろうが、視聴者はそんなにやさしくない。

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スタンスの変化 (TEPO)
2015-05-18 18:44:50
前回の私の書き込みは「会長派による横やり」という憶測による「陰謀史観」的決めつけがやや過ぎたか、と反省しております。

>一方で、このむずかしい素材を脚本家がどう料理するのかは興味がありますが(前回コウジさん)

そしてその結果として

>全体的に〝雑なドラマ〟ですね(今回)

と評価するのが作品そのものを見ての正しい見方で、さすがだと思います。

ただ、3回前位を境に本作のスタンスが変わった、との印象だけは拭えません。
以前は松陰や弟子たちについて「右派過激派テロリスト」としての実像をかなりリアルに描いていたのですが、最近は「何となく偉人」の松陰「先生」、そして「志士」たちという扱いに変わってきています。
つまり、彼らを強引に美化しはじめたわけで、そのためにドラマとして「雑」になった(私の表現では「空中分解した」)ように思います。

>松陰の思想を踏み込んで描くことができないからだ。

しかし、数回前まではそれをやっていたと思うのですが……。
空中分解 (コウジ)
2015-05-19 09:56:44
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>3回前位を境に本作のスタンスが変わった、との印象だけは拭えません。

おっしゃるとおりですね。
久坂や高杉はほぼ主人公である作品の性質上、彼らを肯定的に描かなければ、ドラマが成立しませんしね。
ラストの久坂がやって来るシーンなんか、勇壮な音楽が流れて、カッコ良く演出されていましたし。

要は作家および制作陣に「芯」がないんですよね。
久坂たちを肯定しているのか、否定しているのか、よくわからない。
児雷也のときは、完全に否定的でしたが。
まさに「空中分解」ですよね。

松陰の思想の根本には、「おのれを捨てて国のために戦うのは素晴らしいことだ」という安倍さんや籾井会長が喜びそうなものがあると思うのですが、開き直って、もっと強くそれを描けばいいんですよね。
それが吉田松陰や松下村塾を描くということ。

一方、暴力でない<言論による改革>を描きたいのなら、伊之助のシーンをじっくり時間をかけて描くべきなんですよね。
伊之助は後半の準主役でもありますし、ここで描いておかないと後半がきつくなるかもしれません。

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