平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

花燃ゆ 第19回「女たち、手を組む」~〝テロ容認作品〟になってしまった……

2015年05月11日 | 大河ドラマ・時代劇
 久坂(東出昌大)は、周布(石丸幹二)に訴える。
「松浦亀太郎の死を過ちを犯した一介の魚屋の死として葬るんか。
 それとも、長州のために命をなげうった志士の死と認めるんか」

 <過ちを犯した一介の魚屋>とやんわりした表現を使っているが、要は<テロリスト>である。
 亀太郎(内野謙太)は<テロリスト>か? <志士>か?
 それを決めるのは立場だ。
 幕府や幕府側の立場の人間にとっては<テロリスト>であり、志士側の立場に立ってみれば<志士>になる。
 長州はやがて歴史の勝利者になるので、亀太郎はいずれ<志士>になる。
 松陰などは松陰神社ができて何と<神様>になってしまう。
 歴史は勝った者勝ちですね。

 作品も〝テロ容認〟になってしまった。
 今まで批判勢力であった文(井上真央)たちは、夫たちのテロ(→志?)のために、かまぼこをつくり、軍資金稼ぎ?
 このかまぼこ作り、出来れば〝生活のため〟ってことにしてほしかったな。
 バカな夫や兄のために、苦しい生活を強いられて、それでも生きなくてはならないので、力を合わせてお金を稼ぎ始めたという物語。
 前半はそれかな、と思っていたのですが、中盤、後半に行くに従って、あれれ? という感じ。
 文は京に行く久坂に軍資金を渡し、亀(久保田磨希)は嫁ぎ先から持ってきたお金を「使って下さい」と差し出した。
 次回のサブタイトルは「松陰、復活!」だそうですが、〝テロ賛成!〟になるのかな?
 もちろん、〝テロ〟という言葉は使わなくて、〝志〟とか〝草莽の戦い(=幕府、公家、藩の重臣といった既得権者との戦い)〟みたいな言葉に言い換えられると思うけど。

 確かに久坂たちの戦いには〝志〟とか〝草莽〟といった面はあるんですよ。
 でも〝テロ〟というマイナスな側面がつきまとう。
 〝志〟や〝草莽〟の戦いということで納得できる視聴者はそのまま見ることができると思いますが、〝テロリスト〟を払拭できない視聴者は感情移入しにくくなる。
 現に今回の亀太郎の死は泣けませんでしたし。
 狂信の果ての愚かな犠牲者という感じ。
 わかりやすい例えで言うと、オウム真理教の麻原(=松陰)に言われてサリンを撒いた信者。
 同じ暗殺者でも『龍馬伝』の岡田以蔵は泣けたんですよ、武市半平太に道具として扱われた悲劇があった。毒饅頭まで用意されて死ぬことを強要されましたし。

 何度か書いていますが、『花燃ゆ』は完全な企画ミスですね。
 やはり松下村塾を主人公にしてはいけませんよ。

『八重の桜』なら、逆賊の汚名を着せられた会津の悲劇がドラマになる。
『龍馬伝』なら、非暴力で歴史を変えようとしたやさしい男のドラマになる。
『篤姫』なら、徳川という滅びゆくもののドラマになる。キャラクタードラマとしても面白かった。
『新撰組!』なら、テロリストと戦う警察という形で割り切れる。
 せめて文が主人公として機能してくれればいいのですが、彼女は握り飯をつくり、昔の松下村塾を懐かしんでいるだけ。

 最後は安倍首相の悪口。
 この企画は、吉田松陰を崇拝する長州出身の安倍首相をヨイショするためにつくられたと言われていますが、もし、そうだとしたら言いたい。
「安倍、大河ドラマまで私物化するな!」
 世界遺産候補も、素直に喜びたいのですが、安倍首相の口利きで、松下村塾や萩の城下町など、首相の地元に関するものまで入ったとなると胡散臭さを感じてしまう。
「安倍、世界遺産登録まで私物化するな!」

 ひさしぶりに大河ドラマ脱落しそうです……。


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2 コメント

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空中分解 (TEPO)
2015-05-11 22:20:24
コウジさんがおっしゃることに全面的に賛同します。

>今まで批判勢力であった文(井上真央)たちは、夫たちのテロ(→志?)のために、かまぼこをつくり、軍資金稼ぎ?
>このかまぼこ作り、出来れば〝生活のため〟ってことにしてほしかったな。

ご指摘の通り、「生活派」=「女性の視点」は「テロリズム」に対する批判的な立ち位置を捨ててしまったようですね。

前回くらいから感じていたことですが、会長派からのテコ入れ(横やり)が入ったのではないかと想像しています。
もともと存在していた「生活派」路線の枠組みを、強引に政権・会長側から見て「無害化」しようとした結果、物語が空中分解してしまい成立しなくなっている観があります。

たとえば、亀太郎の母親の描写。
亀太郎は金子重輔と全く同じ形で松陰の犠牲者となった「第二の重輔」と言ってよい存在です。
重輔の母親のツルには、決して文(つまりは寅次郎)を赦すことはなかった、と見せておいて最後の最後にボタンを届けることにより辛うじて文を赦す、という「名場面」がありました。
しかし、亀太郎の母親は「恨み骨髄」である筈の杉家にノコノコと絵を見せてもらいに上がり込み、挙げ句の果てには「亀太郎もへそくりを貯めていた」と「思い出話」で笑うなどという信じられない反応を示していました。
最愛の息子を奪われた母親の態度とはとても思えません。

もっとも会長派の策謀もすでに手遅れだと思います。

>〝志〟や〝草莽〟の戦いということで納得できる視聴者
つまり、小泉内閣以来自民党の宣伝チームが「意識操作」の対象としてきた「B層」-マスコミの言うことを無批判に受け入れる人々-が仮に松下村塾の塾生たちに感情移入したとして、また今後「政治・チャンバラ・いくさ」を華々しく描こうとしたとしても、下関戦争までは挫折と敗北の連続ですから嫌気が差し、長州藩の調子がよくなってくる薩長同盟・四境戦争の頃までには脱落してしまう公算が強いと思いますので。

>ひさしぶりに大河ドラマ脱落しそうです……。

来週からコウジさんが「脱落」されるなら、私も一緒に「お休み」することになるかもしれません。
私たち現代の「草莽」に出来ることと言えば、スイッチを切ることくらいですので。
それでもこちらのブログはちょくちょく拝見すると思います。
亀太郎と金子重輔 (コウジ)
2015-05-12 08:47:07
TEPOさん

いつもありがとうございます。

>亀太郎は金子重輔と全く同じ形で松陰の犠牲者となった「第二の重輔」と言ってよい存在です。

おっしゃるとおり、亀太郎は金子重輔と重なりますよね。
いずれも<松陰の犠牲者>の側面を持つ。
母親の対応も、亀太郎の場合は、あれれ? という感じですよね。
ご指摘のとおり、簡単に許しすぎて、非常に描写が雑になっている気がします。

文たちが<批判者>から<志の応援団>になる過程の描写もありませんでしたよね。
これから折りに触れて描かれていくのかもしれませんが、これに説得力を持たせるのは非常にむずかしい。

作家も、さまざまな所から横やりが入り混乱しているのかもしれません。
前回の三人目の脚本家の投入も、メインライターが行き詰まっているからなのかな、と邪推してしまいます。
おそらく脚本家の中に作品の具体的なイメージがあったのは、松陰の死までなのかもしれませんね。

そして、おっしゃるとおり、これからは人がもっと死に過激度が増すので見るのがますますつらくなる。
一方で、このむずかしい素材を脚本家がどう料理するのかは興味がありますが。

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