平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

大脱走 アメリカンヒーローの変遷

2010年01月08日 | 洋画
★映画「大脱走」のスティーヴ・マックイーン演じるヒルツって典型的なアメリカンヒーローだろう。
 明るくて陽気。
 モグラのように掘った土を後ろにやりながら土の中を進んでいく脱走作戦などは実に無邪気。子供のよう。
 そして何よりもタフでめげない。
 脱走が失敗して何度独房に入れられようと胸を張って歩いている。(この時の音楽のマーチの使い方がかっこいい)
 アメリカ人が大好きなヒーロー像だ。

 またヒルツがアメリカンヒーローである象徴は野球のグローブとボールだ。
 独房の中に入っても壁にボールをぶつけてひとりキャッチボールをしている。
 上手いキャラクター造型だ。小道具としても効いている。
 何しろ野球はアメリカの象徴ですからね。

★さて、こんな陽気で明るいアメリカのヒーロー像が変わってしまったのはいつからか?
 「俺達に明日はない」「明日に向かって撃て」のアンチヒーローたち。
 狂気の殺人者が大衆によってヒーローになってしまう「タクシードライバー」。
 捜査のためなら手段を選ばない「ダーティハリー」。
 いずれもベトナム戦争を経た映画。
 ベトナム戦争を経てアメリカ人の心象は大きく変わってしまったのだろう。
 陽気でタフな主人公から悩める主人公になってしまった。
 それはアメリカンヒーローの典型である「スーパーマン」や「スパイダーマン」もそう。
 「スーパーマン」は弱点があってわりと弱い悩むし、「スパイダーマン」はいつ悪に転ぶかわからない危うさを持っている。
 唯一ヒルツのような陽気なヒーロー像を受け継いでいるのは「スターウォーズ」のハン・ソロぐらいか?
 同じ「スターウォーズ」でもルークの父は悪に転び、ルークも悪の誘惑に負けそうになりましたからね。

 時代と共に価値観は変わり、ヒーロー像も変化する。
 悩み、自分の中の悪と葛藤するヒーローの多い中で、「大脱走」のヒルツの姿はある意味爽快。
 これからの時代はどの様なヒーローが登場してくるのだろう?
 物語の主人公は時代を映す鏡でもあるんですね。

※追記
 ヒルツの異名は<独房王>。
 17番目の脱走トンネルを掘ったクニー(チャールズ・ブロンソン)の異名は<トンネルキング>。
 脱走作戦を指揮したシリル(リチャード・アッテンボー)の異名は<ビッグX>。
 こういう異名がつくのもカッコイイ。
 これもヒーローの条件。


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