『ひよっこ』第2週、3週は、父親の行方不明とオリンピックの聖火リレーだった。
村でおこなった聖火リレー。
リレーをする動機が三人三様であった所がお見事。
集団就職で東京に行く三男(泉澤祐希)は、村での思い出をつくりたかったから。
女優志望の時子(佐久間由衣)は、映画会社の人に見てもらうため。
みね子(有村架純)は、行方不明の父親に元気な姿を見せるため。
それらの思いが聖火リレーのシーンで爆発する。
三人の人物がていねいに描き込まれていたからこそ生まれたドラマだ。
それは、その後のシーンでも。
村の聖火リレーのテレビ放送でアナウンサーはこんなを紹介する。
・三男←「いかにも農家の三男坊という顔です」(笑)
・時子←「夢で心が折れないようにしてほしいものです」(笑)
・茂(古谷一行)←「いかにも村の重鎮という感じです」、これを受けて茂は「わかってるね」(笑)
・美代子(木村佳乃)、君子(羽田美智子)←「昔は美人。侮れません、奥茨城村」(笑)
・三男の母親・きよ(柴田理恵)←「三男君のおばあちゃんも応援しています」(笑)
・宗男(峯田和伸)←アナウンサーのコメントなし(笑)
・正二(遠山俊也)←コメントなしどころか、テレビに映っていない!(笑)
こういうシーンが生まれたのも、それまでに登場人物がていねいに描き込まれていたからだ。
村の村長や学校の先生たちもいい味を出している。
ランニングを指導する体育教師役でナレーションの増田明美さんが出ているのも、すごく遊んでる!
………………
青年団との交渉も上手かった。
聖火リレーをやりたいというみわ子たちの提案に青年団の男たちは、
「何を夢みたいなことを言っているんだ? 現実はそんなに甘くない」と否定する。
だが、それは否定ではなかった。
「計画が現実的でなく甘い」という批判だったのだ。
青年団の男たちは、計画を実行するために、現実的、具体的な意見を出し合う。
〝否定〟から〝肯定〟へ。
ドラマが180度急展開した瞬間だ。
実にあざやかでドラマチック。
………………
みね子が父・実(沢村一樹)の行方不明を識る過程も上手かった。
①美代子が乗った電車は上りで、福島行きでなく東京行きだった。
②不信に思うみね子。叔父の宗男もなぜか谷田部家に来ていた。
③祖父・茂に相談するみね子。
茂は「親がウソをつく時は子供に心配をかけたくない時だ」と語る。
④学校から帰ってきたみね子は東京から戻ってきた美代子と見つめ合う。
凡庸な脚本家なら、祖父と母親が話しているのを偶然、みね子が聞いてしまう、みたいな感じで処理する所を時間をかけてていねいに描いている。
本当に上手い脚本だ。
………………
謎という引っ張りもある。
〝父・実はどこにいるのか?〟
〝なぜ、いなくなってしまったのか?〟
一応、出稼ぎで稼いだお金を狙う悪いやつがいるという前振りがあったが、これらの謎はいまだに解明されていない。
これで視聴者は引っ張られて次を見たくなる。
人物造形といい、作劇といい、劇中の遊びといい、『ひよっこ』は上手いですね。
素材は、どちらかというと地味でオーソドックスで、1時間ドラマのフォーマットだとチャンネルを変えられてしまう可能性があるんですけど、15分という朝ドラに合っている。
村でおこなった聖火リレー。
リレーをする動機が三人三様であった所がお見事。
集団就職で東京に行く三男(泉澤祐希)は、村での思い出をつくりたかったから。
女優志望の時子(佐久間由衣)は、映画会社の人に見てもらうため。
みね子(有村架純)は、行方不明の父親に元気な姿を見せるため。
それらの思いが聖火リレーのシーンで爆発する。
三人の人物がていねいに描き込まれていたからこそ生まれたドラマだ。
それは、その後のシーンでも。
村の聖火リレーのテレビ放送でアナウンサーはこんなを紹介する。
・三男←「いかにも農家の三男坊という顔です」(笑)
・時子←「夢で心が折れないようにしてほしいものです」(笑)
・茂(古谷一行)←「いかにも村の重鎮という感じです」、これを受けて茂は「わかってるね」(笑)
・美代子(木村佳乃)、君子(羽田美智子)←「昔は美人。侮れません、奥茨城村」(笑)
・三男の母親・きよ(柴田理恵)←「三男君のおばあちゃんも応援しています」(笑)
・宗男(峯田和伸)←アナウンサーのコメントなし(笑)
・正二(遠山俊也)←コメントなしどころか、テレビに映っていない!(笑)
こういうシーンが生まれたのも、それまでに登場人物がていねいに描き込まれていたからだ。
村の村長や学校の先生たちもいい味を出している。
ランニングを指導する体育教師役でナレーションの増田明美さんが出ているのも、すごく遊んでる!
………………
青年団との交渉も上手かった。
聖火リレーをやりたいというみわ子たちの提案に青年団の男たちは、
「何を夢みたいなことを言っているんだ? 現実はそんなに甘くない」と否定する。
だが、それは否定ではなかった。
「計画が現実的でなく甘い」という批判だったのだ。
青年団の男たちは、計画を実行するために、現実的、具体的な意見を出し合う。
〝否定〟から〝肯定〟へ。
ドラマが180度急展開した瞬間だ。
実にあざやかでドラマチック。
………………
みね子が父・実(沢村一樹)の行方不明を識る過程も上手かった。
①美代子が乗った電車は上りで、福島行きでなく東京行きだった。
②不信に思うみね子。叔父の宗男もなぜか谷田部家に来ていた。
③祖父・茂に相談するみね子。
茂は「親がウソをつく時は子供に心配をかけたくない時だ」と語る。
④学校から帰ってきたみね子は東京から戻ってきた美代子と見つめ合う。
凡庸な脚本家なら、祖父と母親が話しているのを偶然、みね子が聞いてしまう、みたいな感じで処理する所を時間をかけてていねいに描いている。
本当に上手い脚本だ。
………………
謎という引っ張りもある。
〝父・実はどこにいるのか?〟
〝なぜ、いなくなってしまったのか?〟
一応、出稼ぎで稼いだお金を狙う悪いやつがいるという前振りがあったが、これらの謎はいまだに解明されていない。
これで視聴者は引っ張られて次を見たくなる。
人物造形といい、作劇といい、劇中の遊びといい、『ひよっこ』は上手いですね。
素材は、どちらかというと地味でオーソドックスで、1時間ドラマのフォーマットだとチャンネルを変えられてしまう可能性があるんですけど、15分という朝ドラに合っている。