乱愚雑記帳

わが鼓動とともに

危うい存在の世紀

2017年07月22日 | 日記・エッセイ・コラム

 

 人間は自己を引き立てるためにはあらゆる手段を使う。人は競争社会の中で自我をいかに満足させるか、自己存在をいかに他者に知らしめるかを常に思考する。自己を引き立てるはことは決して悪いことではないし人間の必然的な欲望である。パラノイアに侵され、空虚な世界で自己存在が押しつぶされている。すべてが数値化され合理化されています。人間の欲望が生産体制に意図的に支配されています。金融を核とした激烈な資本主義社会で、あらゆる場面で能力を試され評価される実に過酷な社会である。ニーチェによる内面に潜むニヒリズム克服への超人思想をもっても、この現代人の不安は拭い去ることはできない。物質主義の今日、自己存在の不安は拡大している。純粋な想像力を湧きたてる場、自己存在を引き立てる精神性、他者との共時的生命の躍動への新たなる指針を見出せないものであろうか。劣等感や被害妄想などに萎縮した自己顕示欲は時に暴力的になることがある。昨今、『代理ミュンヒハウゼン症候群』が話題になっている。母親が入院中の子どもへ身体的暴力を犯しているという。代理暴力によって自己存在の充足を得ようとする精神疾患はまさに異常としか言いようがない。ここまで現代人が精神的に追い詰められているのかと思うと背筋がぞっとする。拡大する格差社会のなかで、自己存在が極めて危うい時代であることを物語っている。人工知能が人間の脳をコントロールする世紀で、果てない欲望の高度情報資本主義のなかで、われわれの存在は限りなく希薄になってゆくのを感じるのだ。「あらゆる欲望は狂気に関係している」リュス・イリガライ

Illustration by HIRAO ENDO


 

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