乱愚雑記帳

わが鼓動とともに

人間の内なる敵を見つめよ

2017年05月14日 | 日記・エッセイ・コラム

 

虫も殺せぬか弱き人間も、いざ敵対する者には容赦ない暴力を振るう。この分裂した人間の心理の根底に、生き物としての弱肉強食、人もまた他の生きものと同様に何かを殺し貪欲に食用にしなければ生きられない宿命にあるということです。ゴキブリを素手で叩いて平気な人と、殺虫剤を遠くから噴射し、死骸を恐る恐るティシュで掴みトイレに流す人。これらの行為の仕方で神経の強弱がわかる。この神経の違いは幼少期からの家庭環境、習慣によるものではないかと思います。人は強くなければ生きられません。人は生き物としての弱肉強食とは表裏一体の凄まじい敵対的暴力とヒューマニズム、博愛精神との二面性を内在し、この錯乱する心の分裂こそが人間の特性であり、常に平和と戦争に引き裂かれる人間の悲しい心性こそ究極の課題です。理性などは単なる理想に過ぎないほどもろいものがあります。虫も殺せぬ繊細な人間がなぜ突如として殺戮を犯すのであろうか。幾度となく繰り返された悲惨な戦争の教訓も虚しく互いにミサイルを向け合っている現実は、今日に至っても人間の心性は古代から変わってはいない。「人間は最近の発明品だ」とM.フーコが述べているように、人間としての個人の自由を獲得したのはごく最近のことです。グローバルな資本主義による富の集中化は格差社会を生み社会の歪みは拡大する。蔓延するポピュリズム。極端な保護主義からエゴイスティックな民族主義が台頭する。虫も殺せぬ人間の心的構造にこそ諸々の科学が光をあてる必要がある。甚だ困難なことであるが、人間の病とも言える戦争、暴力を阻止する英知を結集する時ではないでしょうか。底知れぬ心の闇である自滅的破壊本能をいかに抑えられるかに人類の未来がかかっています。

Illustration : HIRAO ENDO


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