触法障がい者の社会復帰

2017-04-28 21:26:42 | 日記

 2年前、私は「(触法障害者の)社会復帰から地域定着への道を考える」をテーマの連続研究会に参加し、N県の地域生活定着支援センターのIさんの講演「N県の『入口支援』と『出口支援』~”ミクロ・メゾ・マクロ”的視点での考察~」を聴くことができました。非常に勉強になったので、以下に紹介したいと思います。

 Iさんによれば、「地域生活定着支援センター」は「刑務所を出所し帰る場所がない『高齢者』や『障がい者』の方が、出所後も生活に困らないでいいように、また罪を犯さず安心して生活できるように、受刑中から支援(コーディネート/フォローアップ)」をしているところです。主な業務は矯正施設(刑務所・少年院)からの「出口支援」です。

 厚生労働省社会・援護局総務課による『地域生活支援センターの事業及び運営に関する指針』には、以下の3つのことが書かれています。
①特別調整
矯正施設出所後の帰住予定地がなく、高齢(おおむね65歳以上)であり、又は障害を有しているために福祉支援を必要とする矯正施設入所者への支援
②一般調整
 矯正施設出所後の帰住予定地はあるが、高齢(おおむね65歳以上)であり、又は障害を有しているために福祉支援を必要とする矯正施設入所者への支援
③相談支援業務

 強制施設を退所した者(高齢であり、又は障がい者)及びその他センターが福祉的な支援を必要とすると認める者について、本人又はその家族、更生保護施設、地方公共団体、福祉事務所等の関係機関からの相談に関する支援など、があります。N県の事例では圧倒的に「特別調整」の方(177名)が多いです。相談支援業務の3分の1が「被疑者・被告人」の方です。
 IさんはN県の定着の実践から見えたこととして、「司法と福祉の”狭間”で置き去りとなってきた社会的弱者」の方がいることに気がつきます。

 Iさんはある障がい者の事例を紹介しながら、「孤立⇒犯罪⇒排除⇒放置⇒孤立・・・」といった「負の連鎖(スパイラル)という悲劇」が起こっていると言います。信じられるのは家族だけで、社会のつながりが途絶えており、短絡的・刹那的・目先の快のため・生きていくために犯罪をし、出所者・犯罪者は地域から白い目で見られています。行政・福祉・地域からは「問題は以前から感じていたのだけれど・・・」と思っていても放置されています。だからさらに、信じられるのは家族だけで、社会とのつながりがさらに途絶えてしまう、ということです。Iさんは「福祉の支援が届きやすい人だけでなく、本当に必要な人につなげていく」ことの重要性を語っています。多くの方が罰を受けるだけで、福祉につながっていないと言います。

 Iさんは高齢者の検挙人員は他の年齢と異なり、増加傾向が著しく、平成24年には平成5年の5.2倍になっていると言います。平成24年の一般刑法検挙人員は287,386名で、そのうち、24,780名が矯正施設に入所。残りの26万人は社会の中に戻っていると言います。これは26万人が社会復帰できず、再犯をし、受刑者になる可能性があることを意味しています。Iさんはさんはこうした「マクロレベルの視点」をおさえたうえで、「官民が一体となり協働できるシステム」としての「ミクロレベルの視点」の大切さを語ります。その例として「自立支援協議会」の役割、「特別弁護人」の存在、また「メゾレベルの視点」として「地域包括ケア会議」の役割を説明されました。

 Iさんの講演を踏まえ、パネルディスカッションが行われました。元衆議院議員で、元受刑者の山本譲司さんは「刑務所の一部が福祉の代替の一部になっている」「府中刑務所にいくことがよくあるが、○○刑務所で会った方たちが何度も入っている。『これからどうするの』って聞いたら、自ら『ここでいい』と。福祉の刑務所化を防がないといけない。だとすれば、変わるべきなのは、福祉サイド。人を見て支援していってもらいたい」「福祉につながったことで再犯を100分の1に減らしたと思って、どんと構えてほしい」「触法障がい者の方は今まで人に依存したくてもできない環境があった。だからむしろ、かかわっていくことが大切なのではないか」等、山本さんは独特な語り口で、示唆に富んだ話をされ、非常に勉強になりました。

 当法人のホームページは以下をクリックするとご覧いただけます。










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