学校教育における「居場所」論再考⑧ ~都立高校の学校改革の現状と問題点~

2017-02-12 10:38:11 | 日記
第2章 都立高校の学校改革の現状と分析

  第1節 都立高校の学校改革の現状と問題点

 都立高校教員・喜入克は『叱れない教師、逃げる生徒』の中で、近年の都立高校の学校改革の現状について以下のように分類する。

①東京都では、全都立高校のおよそ4分の1を統廃合して、学校数を200校程度にする予定。2011年までに50校の新しいタイプの学校を設立。
②統廃合される学校のほとんどが底辺校(全日制普通科の底辺校、職業高校、定時制高校など)である。
③統廃合されてできる新しいタイプの学校は、単位制高校、チャレンジスクール(昼夜間定時制高校)、総合学科高校(普通科と職業科の統合された高校)などである。
④新しくできる50校の中の10校は単独で中高一貫6年制学校になる。それ以外にも10校ほど、進学指導重点校に指定(そのすべてが進学校)。
⑤それぞれの学校が特色ある「スクールプラン」を実施する重点支援校。
 以上、都立高校の学校改革は全部で約200校のうち、約100校で改革が行われている。

 喜入克は以上のような都立高校における学校改革の評価できる点を次のように述べている。
①2003年度から学区制を撤廃。1967年の学校群制度の導入から、都立高校は私立高校不合格者の受け皿となり、レベルの高い大学に入ろうとすれば私立高校に行くしかなくなった。
②都立高校が「エリート」の養成に本腰を入れはじめた。
 喜入克は以上2点を評価できると述べるが、しかしその対象となっている学校は進学校にしかあてはまらないと付け加える。つまり、都立高校での深刻な問題は、むしろ底辺校であり、都立の学校改革は肝心の底辺校の問題を置き去りにしていると問題点を指摘する。喜入克は「底辺校の問題」は社会的自立を果たせないところにあるという。つまり、①彼らは社会に出て働くための職業能力が欠落している、②彼らには基本的生活習慣が欠けている、と述べる。底辺校にとって必要なことは、この「職業能力」や「基本的生活習慣」をどのように身につけるかということなのである。

 繰り返すが、都立高校での深刻な問題が底辺校である。では、高校再編成という名のもとで統廃合された底辺校が単位制高校、チャレンジスクール、総合学科高校という新しいタイプの学校に変わったが、それらの学校が果たして「底辺の教育改革」を展開できているのだろうか。そこで、次に、それを明らかにするために、チャレンジスクールの内容とその課題について考察することにしたい。

第2節 チャレンジスクールと一般の高校との差異

 チャレンジスクールは、①不登校を経験した生徒や高校を中退した生徒、②学校の中では自己の能力や適性を十分に生かしきれなかった生徒、などを受け入れ、3部制定時制高校、単位制、2学期制、総合学科がある学校である。生徒の選考は、①調査表を使用しない、②学力テストを実施しない、③志願申告書・作文・面接、の総得点で行う。要するに、多様な生徒が学校生活を通じて自分の目標を見つけ、生徒一人ひとりがそれに向かってチャレンジする学校である。そして、学校はそれらを支援するためのしくみを用意しているのである。

 一般の学校との差異は、①学校が生徒に合わせる(個に応じた教室)、②生徒一人ひとりが個性や能力、学習進度に応じて計画を立てる、③自分のペースで学ぶ主体的な学習ができるように指導する、④基礎から学べる少人数授業、⑤定時制課程では1日に4時間授業、⑥必修科目「産業社会と人間」ではボランティア活動について学び、幼稚園や保育園、特別養護老人ホーム等の体験学習を行う、等である。
 第3節では、チャレンジスクールの実践校の例を紹介し、個別のチャレンジスクール(六本木高校と大江戸高校)が学校システムをどのように運用しているのかを整理し、その運用方法の実態と課題が何であるのかを肉薄する。

続く

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