Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

「バベルの塔」展

2017年06月15日 | 美術
 ブリューゲル(1526/30頃‐1569)の「バベルの塔」は3作あるそうだ。第1作はブリューゲルが若い頃のもので、現在は失われている。第2作はウィーンの美術史美術館に所蔵されている「バベルの塔」(1563頃)。第3作はロッテルダムのボイマンス・ファン・ベーニゲン美術館に所蔵されている「バベルの塔」(1568頃)。その第3作が来日中だ。

 本展ではその第3作について、東京藝術大学と提携して、最新鋭の解析を試みている。第3作のサイズは59.9×74.6㎝なので、それほど大きくはないが、その画面に約1,400人の人々が描かれている。想像を絶する人数だ。それらの人々の大半はバベルの塔の建設に従事する労働者だ。その様子がCG映像や拡大複製画によって示される。

 わたしは今まで、ブリューゲルというと「雪中の狩人」、「農民の婚宴」、「農民の踊り」などを通じて‘農民画家’のイメージが強く、超絶的な細密画家というイメージはなかったので、認識を新たにした。

 本展ではその他、バベルの塔の形態がどこから来たのか、その源泉を探っている。答えはローマのコロッセウムだった。今ではだれでも、バベルの塔というと、ブリューゲルのあの形態を思い浮かべるだろうが、そのルーツはローマのコロッセウムにあったわけだ。

 また第2作の後に第3作が描かれた意義についても、検討している。まとまった考えは示されていないが、ともかく、大きさが異なり(第2作のサイズは114×155㎝なので縦横とも第3作の倍の大きさだ)、目線が異なり、色合いが異なり、その他の細部も異なる第3作は、第2作の焼き直しの域を超えているようだ。

 これらのことを頭に入れた上で、もう一度「バベルの塔」に戻ると、細密な描写は単眼鏡がなければ分からないが、肉眼で見るだけでも、その存在感が圧倒的だった。今後ロッテルダムに行く機会があるかどうか分からないので、今回は貴重な機会だった。

 本展にはヒエロニムス・ボス(1450頃‐1516)の作品も2点来ている。「放浪者(行商人)」と「聖クリストフォリス」。ボス特有の怪奇的な作品ではなく、むしろ初期フランドル派の空気感や寓意が感じられる作品だ。

 初期フランドル派の作品は、ハンス・メムリンク(1433頃‐1494)など多数の画家の作品が来ている。もっとゆっくり見たかったが、混雑気味だったので諦めた。
(2017.6.13.東京都美術館)

(※)主な作品の画像(本展のHP)
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