Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ウフィツィ美術館展

2014年11月27日 | 美術
 フィレンツェのウフィツィ美術館は、一度は行ってみたい美術館だが、まだその機会がない。そのウフィツィ美術館および周辺の美術館からボッティチェリ(1444/45‐1510)の作品その他が来日中だ。

 昨日行ったら、意外に空いていた。ボッティチェリをはじめイタリア・ルネッサンスの作品をじっくり鑑賞することができた。名もない画家の作品にも心を動かされるものがあった。これも絵画鑑賞の醍醐味の一つだ。

 そんな作品の一つが‘サン・ミニアートの画家‘による「聖母の幼子キリスト礼拝」だった。1480年頃の板絵だ。1861年の洪水によって損傷を受け、下から4分の1は後世に継ぎ足された板だそうだ。上方4分の3に描かれた聖母子が繊細だ。いつまで見ていても飽きない作品だった。

 ボッティチェリの作品、とくに「パラスとケンタウロス」(1480‐85頃)は圧倒的だった。なんといったらいいか、堂々とした存在感と繊細な優美さとの共存――その均衡――とでもいえばいいのか。ともかく、その前に立つと、多言を弄することが空しくなる、というのが実感だ。ボッティチェリという、人類史上でも稀有な画家の、その代表作の一つ、といえばそれで足りるような気になる。

 その他ボッティチェリの作品は、最初期の「聖母子と天使」(1465頃)から、サヴォナローラの影響が色濃い「聖母子と洗礼者聖ヨハネ」(1505頃)まで多数来ている。日本に居ながらにしてボッティチェリの作品に接することができる得難い機会だ。

 もう一つ、心惹かれたのは、ボッティチェリの師でもあるフィリッポ・リッピ(1406‐1469)の「受胎告知のマリア、大修道院長聖アントニウス」(1450‐55頃)と「大天使ガブリエル、洗礼者聖ヨハネ」(同)だ。2枚で一対の板絵。ともに上下に2分され、各々に表題の聖者が描かれている。大天使ガブリエルは女性のように見える。繊細な線描が美しい作品だ。

 あとは余談だが――。フィレンツェには一度行ったことがある。トスカーナの丘陵にあるサン・ジミニャーノという小村に行く途中だった。ローカル・バスの待ち時間を利用して、大聖堂までは行ったが、それ以上の時間はなかった。

 サン・ジミニャーノで過ごした数日間は今でも楽しい想い出だ。毎朝、濃い霧が出た。幻想的な風景だった。昼間はオリーブ畑を歩き回った。
(2014.11.26.東京都美術館)

↓各作品の画像がご覧になれます。(本展のHP)
http://www.uffizi2014.com/highlight.html

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