Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ラザレフ/日本フィル

2017年06月19日 | 音楽
 ラザレフ/日本フィルの東京定期のプログラムは、グラズノフとプロコフィエフの作品で組まれたが、その選曲は一捻りされていた。

 1曲目はグラズノフのバレエ音楽「お嬢様女中」。そんな曲があったの?という感じ。グラズノフは名作バレエ「ライモンダ」を書いた後に、「四季」と本作とを書いた。「ライモンダ」は今でも各劇場の基本的なレパートリーとなっているし、また「四季」もオーケストラの演奏会で取り上げられる機会があるが、「お嬢様女中」はというと‥。

 でも、聴いてみると、楽しい曲だ。フランスのロココ時代の画家アントワーヌ・ヴァトー(1684‐1721)の雅な画風をイメージした曲で、とくに盛り上がる場面はなく、他愛のない音楽が続くが、それを飽きさせずに聴かせるところは、ラザレフの力量だろうと思った。ともかく、グラズノフは凡百のバレエの作曲家とは格が違う、と感じられたことが収穫だ。

 「お嬢様女中」という題名だが、原題はフランス語でLes ruses d’amourとなっているので、直訳すると‘恋の計略’といったところだろう。それを「お嬢様女中」としたのはストーリーから来る意訳か。それとも何か根拠があるのだろうか。

 2曲目はプロコフィエフのピアノ協奏曲第1番。ピアノ独奏は若林顕。プロコフィエフがまだペテルブルク音楽院の学生だった頃の作品。プロコフィエフはピアノ科の卒業試験で自作のこの曲を弾いたというから、驚くやら、呆れるやら。しかもその2年前には演奏会でピアニストとしてこの曲を弾いたそうだ。

 そういう代物だが、たしかにこの曲は野心的で、しかもその後のプロコフィエフらしさが現れている。興味深いが演奏機会はまれなこの曲を、若林顕は流暢に演奏し、わたしはその実力に敬服した。

 3曲目はプロコフィエフのスキタイ組曲「アラとロリー」。名前だけは知っているが、少なくとも演奏会では聴いた記憶がないこの曲は、プロコフィエフがストラヴィンスキーの「春の祭典」に刺激されて書いたそうだ。たしかにプロコフィエフの「俺ならもっと凄いのが書ける」という対抗心がむき出しだ。

 正直なところ、ストラヴィンスキーの精緻なリズム処理には及ぶべくもないが、でも最後の、大編成のオーケストラが高音に向かって収斂していく音響と、そのときラザレフが日本フィルから引き出した音圧とは、眩いばかりだった。
(2017.6.16.東京文化会館)
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