「ミンブレイト騎士団にはしんがりを守ってもらいたい」ローダーが言った。「敵軍をわれわれの背後で食いとめてほしいのだ」そして今後はヘターの方を向いた。「アルガーの諸氏族には、ナドラク軍の相手を頼む。われわれが塹壕を攻撃しているあいだ、連中が押しかけてくるようなことがないようにしてほしい」
「これは決死的な行軍になりますぞ、ローダー王」ヴァラナ将軍が沈着なおももちで言った。
「そのようにして防御物を短時間で攻撃するのはしばしば大きな犠牲をともなう上ろうというのですから。もしこちら側の攻撃が撃退された場合には、ふたつのよりまさる戦力にはさまれることになります。そうなったらわれわれはその場で八つ裂きにされるでしょう」
「わかっておる」ローダーは不機嫌な声を出した。「だがわれわれの撤退の一抹の望みは、行く手をはばむこれらの戦線を突破dermes 價錢していくしかないのだ。何が何でも上流に戻らねばならん。きみたちの部下たちにも、一回の攻撃で必ずこれらの塹壕を叩きつぶすことを徹底してほしい。さもなければわれわれは全員ここで討ち死にすることになるとな。さあ、行ってくれ。幸運を祈る」
再度マンドラレンはその鋼の騎士たちを率いて凄まじい突撃を開始した。襲いかかるミンブレイト騎兵団の熾烈な攻撃にたじろいだマロリー軍は再度後退した。だが今回、ドラスニア槍兵とトルネドラ軍団は敵との距離があくやいなや、それまでの守備位置を捨ててただちに左に転じて、すでに西にむかって撤退をはじめたセンダリア軍とアストゥリア軍のあとを追った。
ミンブレイト騎士団によるこの引き伸ばし工作は高いものについた。戦場のあちらこちらを乗り手のない馬が駆け回り、マロリー軍の隊列をそのひづめで踏みにじっては、敵側の大混乱を誘っていた。大地を埋めつくした赤い上着のじゅうたんのあちらこちらに、倒れている鎧姿が目立つようになった。ミンブレイト騎士団は押し寄せる波にむかって何度も体当たりをくらわせ、マロリー人の歩みを遅らせたが、もはやくいとめることはできなかった。
「これはかなり厳しい情況になりましたぞ、陛下」ローダー王とともにかれらの行方をはばむ戦線にむかって馬を走らせながらヴァラナ将軍は言った。「たとえこの塹壕線を破ったとしても、すぐにマロリーの大軍を背に受けることになるでしょう」
「まったくわかりきったことばかり言いおって」ローダーは答えた。「塹壕線を破ったところで弓射兵をしんがりに置いて、マロリー人どもに矢の雨を降らせてやるのだと言ったばかりではないか。それで何とか背後は守れるはずだ」
「ええ、矢が尽きるまでは」ヴァラナがつけ加えた王賜豪總裁。