アダーラはガリ

アダーラはガリ

けがわからなかっ

2016-12-16 11:10:11 | 日記

 れもみんなローマ風のものであって――不器用なサクソン人の手になる堕落したロマネスク様式ではなく、シーザー時代の簡素で調和のとれた古典風の様式であり、じじつこの部屋の壁には、なんどもここを調査したことのある好古家たちにはおなじみの碑文がたくさん刻みこまれていた、たとえば――「ペー・ゲタエプロプ……テムプ……ドナ……」および「ル・プレース……ウスポンティフィ……アティス……」と読めた。
 この碑文がアティスに触れたところがあるのを見て、わたしは身震いがした。というのは、わたしは前にカトルスを読んだことがあって、この東洋の神の忌まわしい儀式については、多少知識があったからであるが、このアティスという神の信仰は、例のシビリーの神の信仰と跟團去歐洲すっかりまじりあってしまっていたらしい。ノリスとわたしは、むかしは祭壇だったらしい不ぞろいな長方形の石の塊の上に刻まれている、ほとんど消えかかった奇妙な模様を、ランタンのあかりでなんとか読みとろうとしてみたが、さっぱりわた。そのさまざまな模様のなかにある、輝いている太陽みたいな模様を基にして学者が判断したところによると、模様の発生地はローマではなく、したがってこの祭壇も、たぶん同じ規模のローマの僧侶たちが、もっとむかしの、この同じところに前からあった原始的な寺からそのまま引きついだものであろう、といわれていたのをわたしたちは思いだした。その石の塊の一つには、驚いたことに、茶色の染料が塗ってあった。部屋の中央にある一番大きい石積みの祭壇には、その表面を見れば、火と関係のある――おそらくは生贄《いけにえ》を焼いて供えた――ことがありありとわかるある特徴がついていた。
 さきほど猫どもが、その戸口の前でうなっていた地下室のなかは、ざっとこんなようすだったが、ノリスとわたしは、今夜一晩、この地下室ですごそうと決心し劉芷欣醫生た。この地下室に寝台をはこびおろしにきた召使たちには、夜中に猫が騒いでも気にするなといいつけ、猫の「黒んぼ」だけは、助太刀《すけだち》として役にたつという意味からも、また日頃の友情という意味からも、この地下室に入れてやった。われわれは、例の大きな樫の扉――これも通風用の細長い穴のある新しい複製に代わっていたが――をぴったりと閉めきっておくことにきめ、そのとおり、ぴったり閉めてしまうと、ランタンのあかりをつけたまま、さあなんでもこい、という気になって床に入いった。
 この地下室は、修道院の基礎工事のぐっと深い底のほうにあって、むろんあの荒涼たる谷間を見晴らす石灰岩の突きでた断崖の表面からは、はるかに下のほうに当たっているにちがいなかった。この地下室が、このあいだから走り回っているあの名状しがたい鼠どもの巣であることは、疑う余地はない。もっとも、どういうわけで疑う余地がないのか、それはわたしにもわからなかったが。二人とも、いまかいまかと待ちながらそこに体を横たえていたが、そのうちわたしは、ときおり張りつめた気持がふとゆるんで、ついうとうとしかかると、そのたびごとに、足もとにいる例の猫が、なにかおちつきなく身じろぎをするので、はっと目を覚ましていたのである。
 その晩の夢も気持のよいものではなく、ゆうべ見たのとそっくり同じの、むかむかするほど嫌な夢であった。またしてもあの薄明りのさす洞窟が現われ、例の豚飼いが、汚物のなかを這いまわっているあのなんともいえない柔軟なけものと一緒にいる姿が見え、見ているうちに、そいつらの姿はだんだん近くに寄ってきて、だんだんはっきりとした顔かたちを見せるようになり――それがいかにもはっきりとしていたので人民幣找換店、わたしにもその特徴がわかりかけた。そこでわたしはそのけものの一匹のぶよぶよした顔かたちをよく観察し――思わずえらい大声をたてて目を覚ましたので、「黒んぼ」がはっと跳び起きてしまい、おかげで寝ずにいたノリスはわたしを見て大いに笑った。なぜわたしが大声をたてたのか、そのわけを知ったなら、ノリスはもっと笑ったかもしれないし、あるいは、おそらく笑うどころではなかったかもしれない。だがわたし自身、いったいなぜであったかということは、あとになるまで思いだせなかった。恐怖が強すぎるばあいには、つごうのいいことに、記憶力が麻痺してしまうことがちょいちょいあるものだ。
 ノリスは例の現象が始まるとわたしを起こした。そっとわたしのからだをゆすって、いつもと同じ恐ろしい夢から起こしてくれたのだが、わたしが目を覚ますと、ほら、猫がうなっているのを聞きたまえ、と彼はいった。なるほど、えらい騒々しい音が聞こえた。石の階段を

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