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代々木公園にて

作家の山本一力さんを代々木公園で撮影をさせていただいた。
江戸時代の下町を舞台にした時代小説の第一人者の氏は在住も
深川でふだんの都内の移動は自転車でされているとのこと。その日も
深川から自転車で来られた。NHKまでよく来てらっしゃるそうで
慣れたご様子だった。

山本さんは中学生の時に上京されて最初に住んだ地が代々木八幡でそこの
新聞配達所に住み込みで暮らしたそうだ。当時、代々木公園内にあった
米軍住宅ワシントンハイツにも英字新聞を配達したそうで、
著作『ワシントンハイツの疾風』にその時代のことが詳しく書かれているが
実際に代々木八幡駅から当時の説明をしていただきながら歩いた。
ハイツ内のアメリカ人一家と仲良くなり生の英語を習得した山本さんにとって
アメリカの生活に触れる事が出来たその時代の経験は今でも大きいそうで
ハイツが東京オリンピック用宿舎から現在の公園に
変わってからも自分の故郷のように気にかけてきたそうだ。
「はじめて嗅いだ米軍住宅のアメリカ製のワックスの匂いは忘れられない」と
おっしゃっていた。
公園内の広場で大地をみつめて「土は変わってないよな・・・きっと」と
つぶやかれた姿が印象的だった。

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神宮の森の中

明治神宮が制作している書籍のお手伝いをしている関係で
最近よく神宮内を訪ねている。原宿から敷地内に入り森の中を
通って行くのだが都会の真ん中ながら喧噪とは無縁な自然に囲まれた
静かな中で打ち合わせや撮影を行っていると気分も清々しい。
昨年、近所の町内会のおじさんに代々木八幡の氏子会に入らないか
と誘われ大した理由もなく思わずその場で入会を決めたのだが、
年明けてこのような仕事をすることになるとは夢にも思わなかった。
元々長くこの地に構える代々木八幡と新しい明治神宮は友好な関係で
今回の件でも八幡様には色々力をかりる模様。軽い気持ちで氏子崇敬会に
入ったのにこういった写真を撮るようになるとはこれぞ神の思し召し、
偶然を通り越して必然であったのでは!などといつものクセでうっかり
大げさに吹聴して廻りそうだ。身を引き締めて粛々と撮影業務を
こなしていく所存である。



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オン・ザ・ロード

昨年出版され方々の書評でよく取り上げられているケルアックのオンザロードを読んだ。
1940年代から50年代の話なのだがそのスピード感は時代の古さを感じさせない。
衝動的に旅を始める主人公とその親友の移動の話が続く。
様々な人が次々と登場して次々と去って行く。まさに車で走り去るがごとく。
旅がこの二人にとっての目的であって終着より移動そのものを無性に欲している
ため目的地に着くと毎回それまでの高揚感がなくなり達成された事による喪失感を
味わってしまう。
この移動そのものを欲する感覚は自分にも一時期無性にわき上がったことがあった。
アメリカ大陸は車で移動するのにちょうどいい距離だ。ディーンのように突っ走れば
さしたる日数を必要とせず横断可能だ。あのフラットで退屈なロードは実際突っ走る
という行為によってのみ征服感が得られる。しかし征服した後の喪失感。その繰り返しの
ジレンマが火の玉のような言葉に姿を変えてページから飛び出してくるような本だ。
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