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社会福祉法人制度改革の背景にある問題点について

2016年07月06日 | 日記
みなさん、こんにちは。
改正された社会福祉法人制度について
少し難しいのですがブログにて発信してみようと思います・・・。


〔社会福祉法人制度改革の背景にある問題点〕

(1) 介護報酬について

   介護保険の介護報酬は3年ごとに見直され、平成27年4月が第6期目に当たる。
結果は前期より2.27%のマイナスとなったが、9年ぶりのマイナス改定でした。
   これは、消費税10%アップの先延ばしによる予定財源の減少があるので、
社会保障費の突出を抑えようとした財務省が介入した模様ですが、社会福祉法人
の不透明な体質が「儲け過ぎ」をもたらした、という確信が財務省側にはあったようです。


(3) 社福の使命達成が不十分な法人(多数派と言われている)

【例】
* 設立の主目的が相続税対策と補助金獲得にある
* 背後に営利目的事業体があり、社福からの資金流出が疑われる
* 財務諸表に初歩的ミスがあり、経営管理体制、ガバナンスに問題
* 小規模なファミリー事業体であり、若い介護士等が就職しても人生設計が立てられない
* 内部留保を社会還元する意思がなく事業拡大に消極的

「このような法人は非課税・補助金の優遇対象として疑義がある」という議論があります

   実際多くの法人は理事長の専横が目立ち、親族が理事に名を連ねる同族運営が罷り
通っている。「とうちゃんが理事長。かあちゃんが施設長、息子が相談員」と揶揄される
ところも少なくない。零細農家並みの私物化体質だ。成功した企業家が、土地を代々まで
残しておくために、寄付をして社福を設立し、その理事長に居座るケースも多い。

   社会福祉法人に対しては、理事長報酬について、社会的批判を受けるような高額で
あってはならないとされており、また、施設長給与について、その施設の給与水準に比較
して極めて多額である場合は、長期的に安定した施設運営を確保する上で問題が大きいと
されているほか、さらに、法人外部への資金流出は、貸付も含めて認められていないなど、
様々な規制が設けられている。

   しかしながら、理事長報酬や施設長給与の適正な水準が具体的に示されているわけで
もないから規制の実効性も乏しく、法人設立者自身やその血縁者が、法人役員または各施設
の施設長となって機会費用よりも高い役員報酬や給与を受け取ることが可能である。
あるいは、給食、清掃、運送、警備、ビル管理、葬祭、電算、人材派遣など、社会福祉施設
の運営に必要なサービスを提供する、その社会福祉法人の代表者等が所有している営利企業
と社会福祉法人とが委託契約を締結することによって、合法的に社会福祉法人からそれらの
企業へ資金を流し、迂回的に収入を得ることも可能である。
従って、施設・事業の新規展開とともに世襲や外部委託を広げ、受け取る利益を拡大してい
くことで、初期投資した寄付額を十分回収ができるばかりか、子孫に安定した収入を残すこ
ともできるのであるから、社会福祉法人の役員等が過剰な個人的利益を獲得しているのでは
ないかという懸念が生じています。


(2) 社会福祉法人の課税問題

   もう1つ、社会福祉法人が指摘される問題点として、蓄積された内部留保が大きいと
いうことが挙げられる。財務省は調査結果から1施設当たり3億円を上回り、総額で2.5兆円
の巨額に上ると試算をしている。
   もともと「内部留保」という言葉は決算書のバランスシート(B/S)上の「純資産の部」に
記載されている「利益剰余金」のことを指す。ここで多くの人が勘違いをしているのが、
「内部留保」は現預金で保有されていると思い込んでいることである。どの法人のB/Sを見ても、
「利益剰余金」と現預金の額が一致していることはないはずだ。
   土地であったり、機械・設備であったり、事業の発展に資する資産に回されている可能性が
高いのである。内部留保という字面から、「現金でストックされている」と思いがちだが、
「内部留保=現金」ではないことに注意してもらいたい。

   そして、社会福祉法人の内部留保が多いのは、「納税義務を免除されているからだ」という
非課税問題がここにきて急浮上してきた。
   介護保険が始まって以来、「同じようなデイサービスを開設しているのに、なぜ社福
は非課税なのか」という事業者からの疑問の声が上がっている。
   ヘルパー派遣の訪問介護やショートステイ、あるいは認知症者向けのグループホームなど
介護保険の在宅サービスでは、NPO法人や企業が社福と全く同じ介護保険法の基準の下で運営。
企業には25.5%の法人税がかかるが社福にはない。社福だけが法人税や固定資産税など納税
を免除されているので「イコールフッティングではない」という議論が噴出している。

   社会福祉法人の大多数は、認可保育園か特別養護老人ホーム(特養)を運営している。
約8000の施設に約50万人が入居する特養の運営をほぼ独占しており、保育園の半数を手掛けている。
いずれも大量の利用希望者を受け入れられず、その待機児、待機者問題は社会保障制度を揺るがす
大問題となっており、社会福祉法人の社会的役割に疑問を抱いている人も少なくない。

   高齢者ケアの主役である社会福祉法人(社福)は、日本にしかない特異な組織であり、前世紀の
負の遺産とも言われ続け、最近になってやっとメスが入ろうとしている。

   次回はこのような社会福祉法人の様々な問題を受けて、現在議論されている「社会福祉法人の制度改正」
について見て行きたいと思います。




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