emitanの心にうつりゆくもの

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ロング・グッドバイ 最終話

2014-05-18 16:33:40 | 2014春ドラマ
第5話(最終話) 「早過ぎる」

私立探偵・増沢磐二(浅野忠信)と出版社社長・羽丘(田口トモロヲ)は、上井戸亜以子(小雪)に会いに行く。
磐二は亜以子に、台湾で原田保(当時は松井誠一/綾野剛)と結婚していたようですねと話すと、亜以子はそれを認め、親の反対を押し切って駆け落ち同然で結婚したが、1か月後に彼は徴兵でいなくなり、保とはそれっきりだったと話す。
亜以子は保の事を女優・原田志津香(太田莉菜)の飼い犬同然と話すため、磐二は「それはヤツなりに必死で手に入れた生活であり、生きるための手段だったんです。原田保はあなたのためにその全て投げ打って罪をかぶって死んだんですよ。せめてその事をあなたは認めてやるべきだ。でなければヤツは、あまりにも浮かばれませんよ」と話すと、亜以子は涙を流しながら「私もやっと本当の事をお話しする決心がつきました」と言って、志津香を殺したのは夫・上井戸譲治(古田新太)であると話し出す。
磐二は予想しなかった展開に動揺し、ひとまず事務所に戻って作戦を練り直すことにするが、翌朝に上井戸家の書生から電話が入り「奥様が…亡くなっておられるんです」と言われて、慌てて上井戸家を訪ねると、亜以子はベッドの上で静かに死んでいた。
「僕になんぞ(奥様をお守りするのは)ちゃんちゃら無理だと思われたんでしょうね」とうなだれる書生に磐二は「お前だからって訳じゃないさ。誰にも救えなかった。そういう人だったんだ」と声を掛ける。
棚の上には遺書が置いてあり、亜以子の左手には蘭の押し花が握りしめられていた。
磐二は警部補・岸田(遠藤憲一)から、極秘に亜以子の遺書を見せてもらう。
そこには志津香も上井戸も自分が殺した事や、「ただ悔いが残るのは、あの夜ふたりをいっぺんに殺してしまえなかったことです」という事などが書かれてあった。
磐二が「俺がこんな厄介事に関わり続けた理由はただ一つ。原田保の無実を証明するためです。いや、分かってますよ。そちらにも何か計算があって俺にこんなもの見せたんでしょう?恐らく俺はご希望通りに動きますよ、まんまとね」と話しながら小型カメラをポケットから出すと、岸田は「ふざけんじゃねぇぞ。そんなこと断じて許されねぇからな」と言いつつ、遺書を置いたまま便所に出掛ける。
磐二は、撮影した亜以子の遺書の写真を東亜タイムスの記者・森田(滝藤賢一)に見せると、森田は驚いて「本当に(記事に載せて)いいんですか!?」と尋ね、磐二は「俺はもう覚悟を決めてるんだ」と答える。
森田が「今更ですが何があなたをそこまでさせるんです?原田保ってのは、そんなに大したヤツだったんですか?」と尋ねると、磐二は「そうじゃないんだ。これが俺の戦い方なんだ」と答える。
森田は、原田平蔵(柄本明)が初めて街頭演説する日にスクープ記事を出すことにし、平蔵がマスコミを買収して事件を葬り去ろうとしたことまで書くと宣言し、自分の父が平蔵の元でかつて働いていたことを打ち明け、「あの男が今日のし上がるまでに犠牲になった人間の一人だったって事です。しかしね、犠牲になった人間の何が憐れって、このどうしようもない平凡さですよ。累々たる屍の、その山の一かけらでしかないんです。人がありがたがって飛びつくのは、その山のてっぺんでふんぞり返る原田平蔵の話の方なんだ」と話すと、磐二は笑いながら「そりゃそうだよな。俺だってそうだよ。しみったれた不幸話なんぞ、もう聞くのもコリゴリだよ。まぁ愚痴るなよ、男だろ!」と声を掛ける。
志津香の姉・高村世志乃(冨永愛)はバー・VICTOR’Sで、離婚してパリに行くと磐二に話し、磐二がいつ帰ってくるのかと尋ねると、世志乃は「良かった。聞いてくれないかと思った。あなたって案外女ったらしね」と笑いながら話す。
2週間後、亜以子の遺書が新聞に載るが、平蔵のマスコミ買収については新聞社の上層部が怖気ついて記載を取りやめる。
森田は磐二を平蔵の街頭演説場所へ呼び出し、一緒に卵を投げつけようと誘うが、磐二は断る。
森田が「逃げるんですか?敵を倒さずに」と話すと、磐二は「原田を倒したところで、また別の原田が現れるんだよ。何でか分かるか?人が求めているからだよ。結局人間の欲望が原田のような権力者をまた生むんだよ。だとすれば、俺の敵は原田じゃない」と答え、森田が「自分自身ってことですか?それがあなたの戦い方って奴ですか?」と尋ねると、磐二は答えずに歩き出す。
そんな中、選挙カーに乗った平蔵が現れて、平蔵は歓声に包まれる中で磐二の姿を見つけて笑う。
・・・2週間後、原田平蔵は衆議院選に当選した。仕方ないさ。人は明るい明日を見たいものだ・・・
磐二が事務所へ戻ると、正岡虎一(通称:正虎/やべきょうすけ)とその手下が待ち構えていて、磐二は殴る蹴るの暴行を受けるが、正虎が来るのを張り込んで待っていた岸田が傷害の現行犯で逮捕する。
後日、磐二は岸田の元部下・権田(高橋努)から、正虎は最近まで平蔵の手下として働いていたが仲を取り持ったのが保であること、開発計画は正虎が裏で一手に引き受けていたが高速道路計画が正式に決まった途端に平蔵は正虎を切ったこと、警察は晴れて正虎を逮捕することが出来たこと、そして「一番気の毒なのはお前だったな。信じてたんだろ?アイツの事をよ」と言われる。
そんな中、保の事をよく知るという台湾人から電話がかかってきて、磐二は迎えの車に乗ってある建物の中に入っていくと、許松勇と名乗る人物が保からのメッセージを磐二に伝える。
許は磐二に背を向けながら保が生きていることを伝え、保は現在は平蔵の紹介で台湾人実業家の下で働いていること、事件から逃亡までの全ては平蔵の計画だったことを話し、磐二には大変迷惑をかけたとして帽子とお金の入った包みを持ち帰るように話す。
磐二は「ずいぶん羽振りがよさそうだ。安心しましたよ。正虎は原田平蔵に切られたようだが、彼はうまく立ち回っているようですね。原田保は私が思っていたよりずっと器用な男だったんでしょう。では私からも…」と言って、許に亜以子が握りしめていた蘭の押し花を渡す。
磐二が「一つお聞きしてもいいですか?原田保は何故あの夜横浜港まで送ることを私に頼んだんでしょう?何故よりによって私の所に来たのでしょう?」と尋ねると、許は「その答えはあなたがご存じのとおりです。あなたのような人間になりたいと思っていました。あの夜がその最後の分かれ道だった。あなたに会えば、正しい方を選べるのではないかと、そう思ったのでしょう…愚かな男です…」と答える。
それを聞いた磐二は「時代が違えば彼とはまた、ギムレットを一緒に飲めたのかもしれません。さようなら・・・」と言って去っていき、保は閉った扉に向かって「お元気で」と涙を流しながらつぶやく。
・・・増沢磐二は伝えようとしたのだと思う。
 自分が信じることを信じる相手に。ただその身一つを持って。
 時代の底ではいつも、いくつかが潰れている。
 増沢磐二もまた、やがて潰れるだろう。
 いやつまり、増沢磐二のような男、という意味だが。
 来る新たな時代に、こんな男はもういないのだろう。
 さらば増沢磐二。この国は行くよ。
 時代の底に幾千の悲しみを抱いて。輝く未来へ。
 男の名前は増沢磐二。私立探偵である・・・



というような内容でした。

磐二の生きざま、カッコよかったです。ひたすらに・・・
放送終了後、しばらくため息ばかりでした。

横浜港で保は、磐二に止めてもらいたかったのですね。
かつて愛した女性が、自分のせいで精神を病み、殺人まで起こしてしまい、その女性を守るために平蔵にお願いして自分が罪をかぶろうとした。
でも、それは今後一生裏の世界で生きるということになり、迷って、磐二に止めてもらおうと思ったけど、事情を知らない磐二は保に生きていてほしいという一心で台湾へ行く選択を促した・・・
何というすれ違い・・・

磐二は、色々と奔走して、保の無実は証明したけど・・・
平蔵は事件隠ぺいに関与していないと思っていたら、結局全部平蔵のシナリオ通りに動いていたという
でも、そんな悲しい結末になったけど、保を責めることなく、平蔵を糾弾することなく、黙って背中で語っていく・・・というラストの展開は、とても素晴らしかったです。
「愚痴るなよ、男だろ!」


上井戸譲治が志津香を殺したと告白する亜以子に、「ないない」「また亜以子は嘘をついている」と思った方は多数だと思いますが
結局、殺人事件については、先週の記事に書いた「戦争等々の運命のいたずらで引き離されて、再会した時にはお互いに別な人と結婚していた」というベタな展開に落ち着きましたね

書生から電話で亜以子の死を告げられた時に、磐二が「えぇ・・・?(-"-)」と静かに、でも面倒くさそうに発した言葉が、視聴者の心を代弁していたような。。。
せっかく真相が分かるかと思いきや、自殺ですからね・・・。
そして遺書で「ただ悔いが残るのは、あの夜ふたりをいっぺんに殺してしまえなかったことです」なんてサラッと書いてしまうとは

蘭は、誠一からもらった思い出の花だったのですね。
「幸せすぎる記憶」を思い出させるから辛かった・・・のかな。
それにしても、最後まで自分勝手な女だったなぁ
誠一が死んだと思い込み、絶望の中で生きる術として体を商売にし、病んでいく心を満たそうと必死にもがいていたのは分かるけど、死ぬまでに誠一(保)の本心を分かってほしかった・・・。
それとも、分かっていたからこそ、ああいう遺書を書いて自殺をしたのかな?
そこは視聴者の想像に任せている?(笑)


磐二が世志乃に、いつ日本に戻るかを尋ねたのは、社交辞令(女ったらし?)なのか、恋心を持っているのか!?
でも、色んな人が磐二の元を去っていく中で、もしかしたら世志乃は磐二の事を理解してこれからも見守ってくれるのかな?と思ったら、私としては少しホッとしたというか・・・
たまにギムレットを飲む磐二の横に座ってくださいませ~


雰囲気たっぷりのドラマでしたが、所々で「土曜ドラマ」枠らしい「社会派ドラマ」という面も見せてくれたような気がします。
張り紙の「原子力 ○○党」等々最後まで一瞬も見逃せなく、チクチクと心が痛む場面も結構あって、色んなメッセージが込められていたような・・・
軽く観ることもできるし、裏読みしながら重く観ることもできる、深いドラマだったと思います。


増沢磐二は、どこかでずっとそのままの磐二で生きているんだろうな・・・
そんなことを想像させるようなラストで、とても良かったです。
志津香殺しの件は全く関係のなくていいので、磐二のドラマをまた観たいです!!

キャスト、演出、音楽、セット、照明・・・全てが素晴らしい、大満足のドラマでした

※これまでの感想
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2 コメント

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こんばんわ~ (きこり)
2014-05-18 19:50:41
終ってしまいましたね~
も~あの世界に浸れないのかと思うと寂しくて~
>キャスト、演出、音楽、セット、照明・・・全てが素晴らしい、大満足のドラマでした
同感です。こんな完璧な作品めったに出会えないですよね。最終回は主題曲がエンディングで流れて、それもかっちょよかったなぁ・・・
もう二度と会う事はないでしょうが保からもらったハットをかぶっている磐二にシビレました。
亜以子は哀しい女でしたね。
戦争がなければ、保と幸せに平凡に生きていけたかもしれないのに。
>軽く観ることもできるし、裏読みしながら重く観ることもできる、深いドラマだったと思います。
本当にそうですよね。
映像と音楽だけでもすばらしいし、場面場面で深読みできるところもあるし、いろんなものが込められているドラマでした。
>社交辞令(女ったらし?)なのか、恋心を持っているのか!?
私もどっちなんだろ?って思いました(笑
磐二のお相手としてはね~どうかしらね?(ひがみか)って思ったりするけど、こういう遊び心があるところもいいですよね。
毎回emiさんと語り合えて楽しかったです。
しばらくはあの主題曲が頭の中で鳴りつづけるだろうな~
>きこりさんへ (emi)
2014-05-19 14:57:13
きこりさん、コメントありがとうございます!
終わってしまいましたね(T_T)

エンディングまで、最後の最後までカッコよかったですよね!
最初に主題曲が流れなかったので「たぶん最後だろうな」と思ってはいたのですが、流れた瞬間に「キター!!」と胸が高鳴りました(*^_^*)
素敵な主題歌だったし、最後に磐二の顔がハットで見えないのだけど磐二だとハットと車のナンバー(0723)で分かる演出が、心憎くて素晴らしかったです!

戦争によって色んなものが変わり、まだ世の中が戸惑っている中で、ブレない磐二と、強力な権力者・平蔵と、どこかにすがらないとまだ歩いていけない他の登場人物たち・・・
全ての人に感情移入できそうな要素があって、観るたびに際限なく感想が浮かんできそうでした。
本当に沢山のものが詰まったドラマでしたね!

私も、磐二のお相手に世志乃は・・・と思ったり、嫉妬したり(笑)しますが、たまに穏やかな話が出来るお酒の友が磐二の隣にいてくれたらな~と・・・
そんなヴィクターズでの磐二を勝手に妄想しています(笑)

きこりさんのレビューを拝見して、新たに気付くことがたくさんありましたし、コメント欄を通じてたくさんお話ししてドラマの余韻に浸ることが出来て、この2か月とても楽しかったです!
ありがとうございました!!

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