恵美子は行く

筋トレみたいに、日常的に俳句をつくります。

わたしの俳句

2017-09-03 15:18:10 | 日記
ナイターで地球の丸き中にいる

草いきれ生きていること教わりぬ

煙草屋の歯抜け婆のレモンスカッシュ

油絵の撫で肩の女(ひと)夏帽子

養生のビニル突き抜け夏の草

眼光と切っ先突き立てゼリー分く

小気味よく湯引き鱧待つざっざっざ

匙ならばフルーツゼリーを掬いたし

旱梅雨バナナの黒点数へけり

曇天を好天と言ふ夏のあり

波しぶく麦酒にライム落としけり

店長は夏の語調のいらっしゃい

朝曇り珈琲落つる三角錐

透明人間になれるサングラス

太陽を頬張っている温き枇杷

虹立ちて現し身くぐり彼逝きぬ

夏浅し放物線の山上る

「先生へ、産まれました」の初夏の文

履歴書を今破りをり青葉風

一先ずは床磨き終え青葉風

父の声再生せむと青葉雨

翔子弾くピアノ腕上ぐ初夏来る

一縷の灯榊の新緑伏す老婆

唇を紫にしてプール開き

夏といふ文字の旗めく氷店

幼子が足を畳んで柏餅

輝きは金髪に似た新緑かな

五月晴れ球はカキンと天届く

三百五十日分の梅の色

休日の鬼大あくび春一番

梅の躯やピンク身篭りいざ咲かん

大人とは曲水の日を待ち焦がる

淡雪や妖精たちの舞い降りる

告げられし開口一番春一番

受験子のポッケにそっとキットカット

歌留多して少年の笑み怯えたる

寒風やキンとおでこにカキ氷

とりあえずどきどきはして年は明く

乳飲み子も九十路でも初笑ひ

艶出され漆麗し雑煮椀

カップ麺熱き自由の五日かな

去年今年またいで日付変更線

七三の大将が焼く新秋刀魚

肩凝りと革ジャンパーのとがりたる

逢魔が時影口付け流行り風邪

誰そ彼時悪魔と口付け流行り風邪

寒晴の確信をして朝刊くる

焼き鳥が季語は何故かという肴

朝に燃す炭が燻りて秋の雲

桟橋の低きにかかる水の音

秋湿り上がり半分石乾く

枝豆を一々並べて父の膝

秋といふ文字を彩るのなら赤

神と書し滲み鳴るなり秋の雷

灼岩に想像の目玉焼きを焼け ※灼岩(やけいわ)

ただ凛とただ素麺を啜るなり

西日指す怒りの後味伽藍堂

日々を越え夏雲奇峰を渡るなり

ひとつずつ豆らしくいるそら豆かな

そら豆の青き輪郭食べてをり

透きとほる止まりし時食ふ葛饅頭

見舞い後の拠り所無き夏蒲団

缶切りはグシグシ進む墜栗花前

髪結わき相対峙する鰻かな

季語たわわ脳にしわしわ麦の秋

原色を探す鯔背な夏の蝶

芍薬の重さドレスのごときかな

虫となり芍薬御殿で目覚めたし

文鎮の鉄の匂ひや梅雨湿り

緑陰に揺れるは靴やポニーテール

風薫るポニーテールをほどくなり

孑孑と書けば命が飛び立てり

塩粒と豆粒つまみ冷やし酒

麻雀に興ずれば尚明易し

鉛筆の粉が動きて蟻の列

石垣を登り帽子にさくらんぼ

夏の蝶ジャズピアノ舞う喫茶室

原因を持ち去りて舞う夏の蝶

頬紅の下に潜める春愁い

猫背して裏切りに舞う春ショール

地下鉄は春の恨みを乗せてゆく

曲水を待ちわびて今大人なり

前髪を揃えて明日は入学式

水色をこぼし一羽の春淡し

回想と回送列車と春の風邪

十八歳乗せた列車と春の風邪

ある春の陽に滲む五時喫茶室

月の絵のランプシェードと朧月

地下鉄に吸い込まれ春休み過ぐ

小さき(ちさき)夜小さき灯りの梅ひとつ

湯上がりに紅潮したる乙女椿

幾何学の先生の胸乙女椿

ひとつずつあかりふくらむぼけのはな

春の昼仏間に浮かぶ春夏秋冬

一服す思い出くゆる朧月

青葉にて茹で汁ほどの春愁い

雪空に煙舞い上げ凪と知る

ジャズ一枚ストーブの赤きまるの中

我が絆し横一列に祝箸

めがね置き猫あくびして山眠る

声去りてカーテン広し四日かな

十日前の墨磨り足して筆始め

曇り空青空雪空東海道

縫初の針山詰める長き髪

祝月暇を噴かして暴走族

地図を飛び田舎連れ来ぬ(きぬ)オリオン座

見上げたら真っ逆さまに冬銀河

時を架け雲流る隙オリオン座

束ねんと時間束ねて去年今年

息止めて歌留多で未来取り合って

人参に鈍(なまくら)遅々と進むなり

麺柔き晦日蕎麦食ふここ婚家

遠望し三つ編みに降る小雪かな

少年の帽子の向こう山笑う

金柑の苦き甘きに思い馳す

気持ち書かない日記買ふこともなく

手袋が抱きとめる頬と紙コップ

闇鍋が干からびて今白む朝

仮病して甘い薬と日向ぼこ

流行を掴む力で風邪っぴき

寄せ鍋の蓋取りし瞬間(とき)オーケストラ

雪兎に傘を貸して帰り道

ソバージュの豊かなる女(ひと)雪見酒

ソバージュに憧れし日の寒椿

凍み豆腐湛え得る熱誤算して

甘いせい気のせい手の色みかん色

縦線が入って蜜柑青ざめて

エチレンと嘘で朽葉が匂ひけり

秋晴れのさすらい土産タルトタタン

ほんわかと下着の温もり抱いて冬

今日の日がお猪口に溶けて神楽月

うらおもてちいさなそのてはつもみじ

装いは濁りて山は粧ひて

貴腐ワインひと口祖母は熟柿かな

電柱に蟻が登りて天高し

窓辺にてしぐれてきたよと長女言う

午前二時しじまあふれて天の川

決断が動かぬ列車と秋雨前線

カステラの紙で占う豊の秋

子を母に返し一服朝霧の中

三歳の隣り寝言は笑い茸

格子窓に街灯ひとつ月ひとつ

天窓にすき間ちょうどの望月かな

色もなき風の仕業の白髪かな

床磨き終えて艶増す栗羊羹

筋肉痛の理由はきっと笑い茸

おすましに隠し味よと鷹の爪

更紙(ざらがみ)に淡墨が落つ秋の雷(らい)

さよならが尽きた時から法師蝉

さよならのこぼれた訳は流れ星

飛びだしてつぐんだ先に小鳥渡る

ししとうの当たりを引いて夏終わる

仏間にて扇風機だけ首を振る

ユーカリの思うがままの呼吸かな

姉になるその日に姉にサマードレス

稲妻よ空を割れよとガラス越し

加熱してトマトな気持ちになりました

夕凪に煙の行く先ひとり旅

枝豆をつるり並べて父の膝

夏休みの声が走る大通り

紫陽花の顔に降る雨零れ落ち

洗濯機の音の向こうに遠雷あり

乾きゆく髪柔らかに梅雨の朝

梅雨曇りの朝に満ちたしアッサムティ

空行きの梅雨のトンネル疾走し

白靴の音が近づく暑い部屋

粉糖をまぶす横顔夏の雪

雷鳴に姿の見えぬリーダーかな

青野そよぎ遠くチャイムに消ゆ昨日

枕抱きユーカリの森で眠るぼく

駅前に夏の気配とハイボール

願い込め電車過ぎたら五月晴れ

香水がすれ違う踊り場の恋

五月晴れ仰け反り仰ぐビルディング

須く滑らかを食ふ水羊羹

六本木故郷(ふるさと)満ちるクレソンサラダ

憧れて糸子拵ふアッパッパ

食べられる葉っぱを食んで春満ちる

美しき緑陰隣で与太話

病室から生気眺める五月晴れ

庭石に干す梅の皺顔の皺

五月だけ日本人でもテラス席

陽気良くスケッチブックの双葉かな

待ちわびて彩らないでよ豆ご飯

大きいぞ外野手あくびで春うらら

本物と必死で尋ねる桜貝

きょうだいと苺ミルクを作りましょう

姿見に山笑う今日袖通し

花冷えに思い出す罪時計台

貴方の目逆さまに映る花曇り

高架下朝日と目が合う春来たり

青臭いほど好きになる春菊かな

天国は無いと言い切る花絨毯

野いちごは少し冒険少し罪

ふんわりと祖母がいた日の春の風

とっておきとっておけない花飾り

膨らんだラッパフリージアが歌う

置き手紙の向こうで風光る君

イメージを我が物にする沈丁花

永田町春まで長いエスカレーター

捨てられた絵本捲った春一番

こっそりと頬紅さして山笑う

言語野があたたかくなる今日が好き

ふたりめを名づけて夏子待つ春かな

桜並木無言で渡す缶ジュース

教室の陽だまりの記憶ヒヤシンス

最新のメイク施すお雛様

大自然と芝桜見る大行列

遭わずして薫り立つ風蓬餅

窓を開け昼が美味しいふきのとう

香水をくぐり抜けたら入学式

耳塞ぎここにはいない受験生

所縁なき味噌カツ豊橋鬼祭り

いつもより短い手紙で二月過ぐ

バレンタインハートいろいろアソートメント

睨みつけ赤い壁紙毛皮の人

寒稽古諸行無常に見つめられ

加湿器に乗って飛行機雲が行く

ハイネックルーズソックスニット帽

横しまに吹雪く列車の全速力

傷ついたミント千切った冬の朝

お姑お止めお咎めお書初め

思い込め髪止め息止めお書初め

鯛焼きを割り見て湯気に溶ける愛

喫茶室初老集いて春場所かな

着膨れたわけじゃないのよキャバクラ嬢

十歳の阪神忌から三十歳

元日に背を向け跳ねる雪兎

泣き顔を上げて冴ゆ月眼で光り

ビタミンを飲んで気休めお年玉

爪の色塗り替えタイプ初仕事

ただいまぁぬっとパックの雪女

煌めいた理想のマニキュア冬銀河

初夢が悪魔の仕業と泣きついて

息白し障子に染みた羊さん

年賀状書かない私のブルートゥース

初雪を三十階から見上げたり

山手線乗り過ごして尚大晦日

クリスマスソングで壊す色眼鏡

行かないでと言わせてお願い冬の昼

短日に明日と歩きたい公園

霙雨思い出鈍るビニル傘

もくもくとこのきなんのきぶろっこりー

眼鏡して滲んだ先の鍋焼きうどん

白肌の湯豆腐お腹で優しくなる

赤マフラー顔をうずめて映画館

自転車でじぐざぐ枯れ葉ぱりぱりり

革ジャンパーギターに着せて通せんぼ

玄関を締めて春待つ漫画本

音もなく羽二重餅から秋の雪

秋の雨今宵こそはとタイトスカート

陽だまりで閉じた瞼に霧時雨

11月夫婦電話で丸くなる

火恋し震えるポニーテールかな

スノッブなあなたと食べるドライフィグ

こっそりと紅さすその手は初紅葉

金髪が頭擡げた厚物菊

冬近し紅いコートを脱ぐ準備

二歳児と長葱飛び出す遊歩道

曼珠沙華炎のピンクスパイダー

桃缶とリップクリームの美味しさよ

冬支度パンチパーマのトイプードル

新米とロックンロールを夢に見て

行く秋とバッハとファストフード店

パソコンを抱きしめたくなる夜長かな

七つの手じゃんけんぽんで天高し

のうみそがきいろくとけてきんもくせい

月が煙草百本吹かせば夜の雨

パンダ号東京疾駆する秋思

秋茄子と空気人形は素っ頓狂

小さな手ふたりで顔で食べるスイカ

帰省して将来の夢風来坊

梅雨冷えやハチミツの雨ティータイム

蚊をパチンと潰して見る手と血と死

荒梅雨に青空待ちの赤信号

百合の香に思考も溶けた朝ぼらけ

寒空割るはだかの血管落葉樹
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2 コメント

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Unknown (たかじ)
2014-12-03 10:57:45
北風も恵美子が行くては止められず  たかじ
Unknown (恵美子)
2014-12-03 23:10:08
さすがたかじさん。
面白いですね、なんか笑えます、この句。
ありがとうございます。

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