マターリ試験勉強 de 社労士

ご訪問有難うございます♪ブログのタイトルとは別に行政書士の勉強もしています。
今年はダメだったので来年また頑張ります。

一位は沖縄なんですよ。

2010年12月18日 | やわらかいもの
狩人に見逃してもらった白雪姫は鬱蒼と茂る木々の間をトボトボと
歩いておりました。
どのくらい歩いたでしょうか。

胸の中のため息すら底を突くくらい歩き続けたころ。
すっかり陽が落ちて、真っ暗になってしまった森の中、
一軒の小屋を見つけたのでありました。
少し怖かったのですが、寒さと空腹を抑えることができず、白雪姫は
その小屋のドアを開けてみたのであります。

「だれかいらっしゃいませんか」
声を掛けてみましたが、返事は返って来ませんでした。

小屋の中には、小さい椅子が並んでおり、7つの椅子に囲まれたテーブルには
椅子の数と同じだけのパンとぶどう酒とスープが並んでおりました。

白雪姫はその小屋で休ませてもらうことにしました。そして、ほんの少しずつのパンと
ぶどう酒とスープをその小さな小さなお皿から分けてもらったのでありました。

小屋の奥の寝室には7つのベッドが行儀よくならんでおりました。歩き通しの疲れに誘われるまま、
吸い寄せられるようにふわりと横になると一番隅っこのベッドに手足を縮め、
あっという間に寝息をたて始めたのであります。


程なくしてこの家の主たちが帰って来ました。
主というのは7人の小人でしたが、その小人たちの仕事と言うのは毎日、山の中のほら穴に入っては
金や銀を含んだ石たちを掘り出したりすることでありました。
小人たちは毎日、朝から晩までずっと働きます。つまり坑口から入った時刻から坑口を出る時間まで
休憩時間を含めて労働時間とされる特例計算がされる訳です。
休憩時間の一斉付与も例外的に適用されないのであります。


小屋の主人たちが部屋に入って灯りをつけると、
すぐに、誰か知らないものが部屋に入ってきたことが分かりました。
テーブルの上にあるものが出かける時と少しだけ違って置いてあるからです。

小人たちは口々に叫びました。

「誰か、憲法25条で保障された。最低の水準を下回った基準をもって、
わしの労働条件を低下させようとしたものがあるぞ」
1人目の小人が言いました。
「しかも、わしのパンとぶどう酒とスープが少し減っている」

「労働者と使用者が対等の立場で決定しなければならない労働条件を、
使用者にとって有利なものばかり押し付けようとしているものがあるぞ」
2人目の小人が言いました。
「そして、わしのパンとぶどう酒とスープも少し減っている」

「誰かが、わしのことを国籍、信条または社会的身分を理由に差別的扱いをしたぞ」
3人目の小人が言いました。
「認めたくはないが、わしのパンとぶどう酒とスープも少し減っている」

「誰か、女性であることを理由に賃金について差別的な扱いをしたものがあるぞ。
女性について有利な取り扱いもダメなんじゃ」
4人目の小人が言いました。
「だからというわけではないだろうが、わしのパンとぶどう酒とスープも少し減っている」

「誰か、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、
わしの意思に反して労働を強制しようとしたものがあるぞ」
5人目の小人が言いました。
「まさかとは思ったが、わしのパンとぶどう酒とスープも少し減っている」

「誰か、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を
得ようとしたものがあるぞ」
6人目の小人が言いました。
「やっぱり、わしのパンとぶどう酒とスープも少し減っている」


「誰か、公民権行使、または公の職務の執行に必要な時間の請求を拒んだものがあるぞ」
7人目の小人が言いました。
「…っていうか、わしのパンとぶどう酒とスープは少しも残っていない」
7人の小人たちは方々を見まわし、ベッドで眠っている白雪姫を見つけたのであります。

7つのランプに照らされた白雪姫のなんときれいなこと。

小人たちは触れることも、呼びかけることもせず、白雪姫を寝かせたままにしておきました。
眠りから覚めた白雪姫が忘れ物を届けに来てくれたお母さんのように、あっという間に
いなくなってしまうかも知れないと思ったからであります。

朝、目を覚ました白雪姫は小人たちを見て、驚きましたが小人たちは大変に親切に接してくれました。
小人たちは白雪姫の名前を尋ねたあと、どうしてこの家に入ってきたのかをきいたのでありました。

白雪姫は継母である女王が、自分を殺そうと命令をした狩人に何とか見逃してもらい、
一日中歩き続けて、やっとこの家を見つけたことを小人たちに話しました。
その話をきいて、小人たちは言いました。

「もしも、お前さんが料理を作ったり、洗濯をしたり、掃除をしたり、
その他家事一切を行ってくれるのならば、何の不自由もなくこの家で過ごすことができるが、どうじゃろう」

「ぜひ、この寄宿舎じゃなかった…。家に置いてください」白雪姫は頼みました。
そして家事使用人として小人の家で働くことになったのです。

主として家事に従事するため労働基準法のすべての規定が適用されませんが、それでも、
あの暗い森に1人で暮らしていくよりはずっと、幸せだと白雪姫は思ったのであります。


狩人に白雪姫の処分を委任した継母の女王は、伸びきったゴムひものようにダラリと安心しておりました。
城の奥の暗い自分の部屋で、飽きることなく鏡に向かって尋ねることだけが楽しみという、
生活を送っていたのであります。

仕事もすることなく鏡ばかり見ている生活が優雅で心愉しいかと聞かれても頷く人は
少ないとは思われますが、個人の嗜好とは本当に多種多様なのであります。

ある日、女王は鏡に向かって尋ねました。
「鏡よ、鏡。世界で一番美しい女は、誰か」
鏡は答えました。
「森の小人の小屋に住む白雪姫でございます」

予期していなかった答えでありました。これが理由で賃金が85%未満に低下したのなら
特定受給資格者に該当するというくらい。

白雪姫は狩人に委任して処理をしたはずです。
狼狽をした女王は鏡を解雇し新しい鏡を雇入れようと思ったのでありますが、
鏡は宗教的儀式等に従事して無償で女王に尽くしているのであります。労働者ではないのであります。
競輪選手、地方労働委員会の委員と一緒なのであります。
解雇はできません。

女王は自ら白雪姫を処分しに行くことを決めました。

森の小人の小屋に着いた継母の女王はきつく閉められたドアをノックしました。
勿論、魔法でそれとは分からない変装を施し、誰がどう見ても鏡の基準でみた
世界中で2番目に美しい女とは思えないほどの老婆に化け果せていたのでありました。

「おいしいリンゴはいらんかね」
何も返事はありません。老婆に化けた女王はさらに強くドアをノックしました。

「種の周りには蜜もたっぷり」

「昨日、生協さん来たばかりだから、間に合ってるわ」
ドアの向こうから白雪姫の声がしました。

「赤くておいしいリンゴだよ。本場、青森産のシャリシャリ、サクサクのりんごだよ」
継母の女王は食い下がります。

「青森って、結婚前に子どもが出来る率が日本で3位の都道府県なのよね」

「そんなことは、どうでもいいから。リンゴはいらんかね。おいしくなかったら、返品もOKだし、
とりあえず試食だけも大歓迎だよ」


「まあ、それはすごい自信ね」
白雪姫は少しだけ興味を持ったようだったので、老婆に化けた継母の女王は、ここぞと
ばかりに踏み込んでいったのであります。

「本当においしくなかったらお代は要らないよ。私はおいしいものしか持ってきやしませんよ。
食べなきゃ損だよ。後悔するよ」

「ごめんなさい。私、契約でこの家に誰も入れることが出来ないの。
だからリンゴは買えないわ。残念だけど」

「そう、言わず。後生ですから、ドアを少しだけ開いてくださいな。私とあなたで
このおいしいリンゴを半分こにして、いただいてみましょうよ」

「ふじとサンふじって生育期に袋をかけるか、かけないかの違いなのよね。多少表面が荒れても
ミネラルたっぷりなサンふじが私は好きだわ」

「そんなこと聞いてないし…。ドアを少しだけ開くくらいなら、契約違反にはなりはしませんから」
女王、少しだけ涙目であります。


「それでも、私は信義に従い、誠実にこれをすべきものですから」

「そこを何とか…」

長い押し問答が続きました。ようやく白雪姫がドアを少しだけ開いたときには
継母はもう疲労困憊の極みに達しておりましたが、もう一度世界中で一番きれいだと言う
自信を取り戻したいというプライドと意地だけでそこに立っていました。

ドアの隙間から白雪姫の顔を見たとき、女王は嬉しさのあまり、立ちくらみを覚えたほどでありました。

「本当においしいんですよね」

「それは、もう」

好奇心をたたえた白雪姫の頬は紅にふっくらとして、長い黒髪はビロードのように滑らかで、
なるほど女王の目にもかわいらしく見えたものでありました。

「そこまで、言うなら…。私、本当はリンゴは信州の長野のものが個人的には一番だと
思っているのだけれど」

継母は半分に割ったリンゴを白雪姫に渡したのでありました。

そしてお互い、まったく別の思惑の笑顔を交わしながら、二人はリンゴを頬張ったのであります。

小さな細かい間がありました。

白雪姫が床に蹲るのを、涎が出そうなくらい心待ちにしていた。女王の意識がフッと遠のきました。

そして何故か倒れたのは継母である女王の方でありました。

そうです。

あまりの喜びと興奮によって、白雪姫に渡すリンゴと自分が食べるはずだったリンゴを
取り違えてしまったのです。いわゆる重過失というやつであります。

倒れる継母、崩れゆく女王。

朦朧と薄れていく意識の中、ああ…特別加入をしておけばよかったな。
そう女王は思ったのでありました。

大脳新皮質のシナプスに遺族補償年金をもらえる遺族がいないということが伝わる前に
女王のすべては真っ白な中に戻って行きました。

けれども、直系血族以外のものと事実上養子縁組関係にある白雪姫には、
まるで関係のない話であります。

そして彼女はこれから先もその小人の小屋に住み、健康で文化的な最低限度の生活を
営みつづけたということであります。


                                了
ジャンル:
小説
キーワード
大脳新皮質 ドアの向こう 地方労働委員会 労働基準法 家事使用人
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コメント

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わざわざ返信ありがとうございました! (hongmeixiaoli)
2010-12-18 21:23:42
こんばんは!今回も楽しませてもらいました!twitterは人によって使い方は色々でしょうけど、仕事のメールでもないし、絶対に返信しないとだめとかいう、堅苦しい物じゃあないですよぉ〜。タイムラインでたまたま自分がオンラインの時におもしろいこと呟いてる人につっこみ入れてみたり共感してみたり、自分もそう言うのが好きでやってるだけなんで。全然気にしないでくださいね。また次回を楽しみにしてます。勉強も頑張ります!今国年突入しました〜!

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