松山櫨(はぜ)復活奮闘日記

失われてしまった松山櫨の景観を復活させようと奮闘していく日々の記録。

弓の素材としての櫨 その8

2007-08-09 23:53:01 | 和弓と櫨
現在、使われている弓は
カーボン弓と竹弓だというのを前回で書きましたが
なんと竹弓の芯にカーボンを入れた弓というのが
20年ほど前に開発され市場に出ています。

図はカーボンの芯を入れた弓の断面図です。
グラスファイバーと弓胎弓(ひごゆみ)が
合体してるわけですから、進化したってことでしょうか?

ふと興味をそそられたので
実際に弓を作っている職人さんに
聞いてみることにしました。

弓といえば都城市。さっそく電話です。
答えていただいたのは
都城弓製造業協同組合の南崎さん。
「カーボン芯の入った弓は、確かに作られています。
ただ、カーボン芯が入っているせいで、
竹弓の持つ反発性が少なくなっているんですよ。」

反発性ってどういうことでしょうか。
詳しく聞くと、弦の張った弓から弦を取ると
竹弓の場合、びよよ~んと逆側に反るそうです。
つまり竹弓はその反る力を逆に利用して射るわけです。
ところがカーボン弓の場合、弦を取ってもほとんど反りません。
カーボン弓は、その素材自体の力で射るわけですね。

ということでカーボンと竹弓と両方を合わせることで、
反発性が少なくなった代わりに、頑丈になったという
両方の特質が現れてくるそうで
カーボン芯入り竹弓は「進化」したというよりも
竹弓のバリエーションが増えたということのようです。

初心者の射手は高段者になるに従い、
使う弓も、自然にカーボン弓から
竹弓に移っていく方が多いそうですが
カーボン芯入り竹弓を選ぶかどうかは、
結局は好みで分かれるそうです。

話を聞いているうちに、和弓の世界において
技術の進歩で生まれたカーボン弓が
シェアでは竹弓を遙かに凌駕しているとはいえ
質の点では、いまだ竹弓を凌いでいるわけではないというのが
一般的な評価のようでした。

その竹弓の素材として、櫨は重要な役目を持っているのです。

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