D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

JeffBeck'sGuitarShop('89)/J.BeckWithBozzio&Hymas

2008-08-17 18:07:38 | jeff beck-connection
そいや、Jeff Beck(ジェフ・ベック)御大の作品に関して“マイルストーン”として位置付けられる重要作がまだでしたネ。
“新時代のWired”ともてはやされた“ギター・ショップ”がそれ。
'89年ということは約20年前・・もうそんなに経っちゃいましたか。
この前作が'85年の唄モノ“Flash”ということになり、確か当時はギター・インスト復活作として大々的に採り上げられていました。
しかも当時“UK”とか“Missing Persons”等で我が国でも名を馳せたテリー・ボジオを従えて、鳴り物入り的な勢いだった訳です。
この勢いで第32回グラミー賞ベスト・ロック・インストゥルメンタル・パフォーマンス部門を受賞しちゃいましたしネ。

まさに当ブログが贔屓する大物アーチストJB&SVのクロス・ポイントになろうかという作品ですな。
で、この年末にはここにAHもクロスしちゃう予定という訳で、図らずもネットワーク化されつつあります。
・・世間は狭い。(笑)

personnel:
Jeff Beck(g)
Terry Bozzio(d,per)
Tony Hymas(kb)

で、どの辺が“マイルストーン”なのかといいますと、このあと御大のギターサウンドが神の領域へ踏み込んでしまうんです。
ピックとかややこしいエフェクター類を使わず、指とアームのみで珠玉のトーンを自在にコントロールするようになります。
また、それまで常に前のめり気味だったベーシックなリズム感が驚くほど安定しちゃうんですな。
しかも、音楽性は更に進化し続けるという・・まさに神懸り的な様相を呈してくるんです。

御大がベース不要論をぶちかましたのはこの作品を出した直後でした。
・・ボジオの持論の受け売りだったんじゃないかとは思いますがネ。
それまでの御大は、ドラムよりむしろベースのリズムと進行を主に確認しながら弾いていたんじゃないのかなぁ。
“Wired”あたりまで、どこかドラムの存在をあまり意識していなかったと思われるフシを感じるんです。
それが'80年にSimon Phillips(サイモン・フィリップス)と出会ったあたりから、リズムアプローチが明らかに変わってるんです。
リズムは良いドラマーから得られるグルーヴが重要ということに、おそらく初めて気がついたんだと思います。
廻りのすばらしい音にようやく耳を傾けることが出来るようになったと見て良いのかもしれませんネ。

tracks:
1. Guitar Shop
2. Savoy
3. Behind the Veil
4. Big Block
5. Where Were You
6. Stand on It
7. Day in the House
8. Two Rivers
9. Sling Shot

ヘヴィーな曲の間にメロウな曲を織り交ぜてあるせいか、全体を通じて少々大人しいイメージに映りますね。
“新時代のWired”と言うには少々物足りないと思うのは私だけかな。
そんな訳でもないですが、聴き処はやはりサウンド面の変化じゃないかと思います。

“There And Back”で目覚めたビートレスの快感というのが、まず#5“Where Were You”に現れてます。
この伸びやかなアプローチがその後の御大のサウンドマジック手法を決定付けているといえないでしょうか。
そして、#8“Two Rivers”では、ビートを加えながらのエクステンディット・ヴァージョンみたいな世界に昇華されてますね。
・・このあたりのギターが、前述したとおり神々しくてやはり気持ち良いですな。

また、“Who Else!”以降の新機軸へと移行してゆくアレンジ手法への足掛かりみたいなものもあって、#1“Guitar Shop”や#7“Day in the House”がそれ。
ラップ調のヴォイスを効果的に使いながら、サウンドはヘヴィーにグイグイ突っ込んでいってますね。
同様ノリのヘヴィーなインスト・ヴァージョンが、#2“Savoy”、#4“Big Block”になりましょうか。
個人的には、この2曲がそれぞれ一押し&次点で、かなりのお気に入りです。
・・ライヴでも結構演ってくれてますしネ。
唯一のスピード・チューン#9“Sling Shot”ってのもありますが・・ちょっとパンチがないですね。

サウンド的にはベースレスのトリオ編制ということになってますが、一応シンセとパーカッションでこの辺は補われていると感じます。
ナヴィゲーターとしてのベースは不要かもしれませんが、サウンドがスカスカになっちゃいますからね。
・・要るんだって、ベースは絶対にネ。

やはり何度聴いてもボジオの役割というのが良く理解できずに居ます。
ん、ドラマー向けの素材なんでしょうかね・・パンピーの私には分らない重要性があるのかな。
これがサイモン・フィリップスあたりだと大分違ってきそうってのは確かに想像できますがネ。
ま、そんな作品でございます。


最後にオマケ。


最近入手した、極初期の邦盤CDです。
ヴィジュアルと背表紙のクレジットが御大のみだったということ以外は、渋谷陽一さんのライナーを含めほぼ同様の内容です。
ただ、いずれにしても、作曲者や客演ミュージシャン等の詳細クレジットが無いのが、ちと辛いというか
・・手落ちじゃんネ。


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ドイツ特派員様 (elmar35)
2008-08-24 19:40:40
コメントありがとうございます。

恐縮です。(汗)
Two Rivers・・凄い曲ですよね。
おそらくこの作品の核心に位置するナンバーだと思います。

フィリップスはプロデュースの才能もある方なんで、バランス感覚がいいんじゃないかと思いますよ。
ボジオはベースサウンドにこだわりが無いようで、金管や木管、鍵盤なんかでもオッケーみたいです。
ちょっとクラシック寄りの立ち位置なのかもしれないですね。
Unknown (ドイツ特派員)
2008-08-24 09:21:33
elmar35さん、

さすが、深い聞き込みです。私、ベックはそれほど聴き込んでいないんですが、このアルバムでは、やはり「Two rivers」に尽きますかね。実は「Where Were You」にピンと来なかったんですね。

サイモンフィリップスって、Gに合わせられるDrなのかもしれませんね。テリーボジオはそれに比べると自分色が強いというか...。どちらも凄腕であるのははっきりしてますが。

彼のBへの期待って何でしょうねえ?
ジャンボ様 (elmar35)
2008-08-19 22:52:02
コメントありがとうございます。
マイナスワンですか、なるほどね。
ギターはなかなかそのシチュエーションに持っていくのが難儀ですね。

>渋谷陽一さんのヤングジョッキー
確かNHKFMでしたっけ。
懐かしいな・・私もよく聴いてましたよ。
良いです (ジャンボ)
2008-08-19 22:25:54
ベックもボジオ大好きなんです。このアルバム、スカッとしたところがいいですね。ベースが入ってないんで、マイナスワンみたいにベースを入れて練習すると面白いですよ。実際によくしました。あこがれの3人と競演できて(^^;)いいです!すみません実はミッシング・パーソンズも大好きです。良くも悪くも80年代って感じで・・・・CMにもつかわれてたような・・・
渋谷陽一さんのヤングジョッキーよく聞いてました。
FUSION様 (elmar35)
2008-08-18 20:45:47
コメント並びにTBありがとう御座います。
続けてお呼びだてして申し訳ございません。(笑)
改めて貴記事を読ませて頂き、ボジオのヴォイスや、フィリップスの件など、かなり興味深い情報が非常にタメになりました。
当方こそ戯言ばかりで恥ずかしい限りです。

#3,5の件、確かにそうですね・・居得てます。
あるいはこの辺、ボジオの解釈と酌んでも面白いかもしれないですね。
evergreen様 (elmar35)
2008-08-18 20:38:00
コメント並びにTBありがとう御座います。
お呼びだてして申し訳ございません。(笑)
そうですね、軽いというか独特の浮遊感を感じます。
良く聴けば、ハイマスのシンセも結構カッチョエエと思いますよ。
さりげにベース・フォロー演ってますし。

やっぱ#5,8がいいですよね、私も大好きです。
このギターは奇跡だと思いますね。
深いレヴューですね!脱帽 (FUSION)
2008-08-17 23:18:34
お邪魔します。
TB有難う御座いました。今回elmar35さんの記事を読んで自分の記事が恥かしく思う今日この頃です(汗)
本来はサイモン・フィリップスが参加予定だったアルバムですから、実現していれば、それはそれで・・・。私的ですが、ベックは自分を「刺激」してくれるミュージシャンには実に拘りをもった方だと思います。ですから、彼を納得(挑発?)させられるベーシストが絶対に必要だと思います。例えばスタンリー・クラークの様な・・・しかし「Behind the Veil」と「Where Were You」に関してはベースが無い方が良いと思うのは私だけでしょうか?この2曲、今聴いても鳥肌が立ちます。
TBありがとうございます (evergreen)
2008-08-17 22:37:34
こんばんは。
このアルバム確かに軽いですよね。
ベースがいないからですかね?
趣向を凝らしすぎちゃったかな?ってのもありますよね。
私はそれでも5曲目、8曲目辺りが
何度聴いてもドキドキしちゃうくらい好きですね。