夢を見た。
アイルランドと呼ばれた小さな島をめぐる人間達の物語。
強大なロ-マ帝国に追われ、この島へとやってきたケルトの人々。
バイキングの侵略、ノルマン人の攻撃、イギリスからの弾圧、ロ-マ教皇の認可を受けたキリスト教の軍隊。
やがて現れたリチャ-ド二世により加えられる徹底的な弾圧とそれに合わせるように猛威を振るった黒死病。
アイルランドは死の島となった・・・・。
「おい、起きろ!」
くるまって . . . 本文を読む
「何度も言うようだが」
眼光鋭く、机をはさんだ向こう側にいる男が言う。
うん、何度も聞いた。うんざりだ。
私は(わるいことしちゃいました、ゴメンなさい)の顔を浮かべながら、うなづいてみせる。
「ここロンドンでは、冗談といえど我らが女王に批判めいたことを言うのは許されん。貴様のような子供であってもだ」
湿った狭い石造りの部屋の中、小さな机を挟んで衛兵を名乗る男が一人。
古くささくれだった机は何かのシ . . . 本文を読む
「ここがロンドンかあ!噂には聞いてたけど、すごい人だ!」
巨大な石造りの門をくぐり、私はこの国の首都へとやってきた。
エディンバラ発ロンドン行きの定期商船のデッキから身を乗り出すと、港は船でごったがえし、荷物の積み下ろしの順番を待つ船でいっぱいだ。
西風に乗って聞こえてくる街の喧騒。
ここからでも見える石造りの塔、立派な教会、豪華なお城。
見渡す限り山と羊と野っぱらだった田舎とは大違いだ。
商船 . . . 本文を読む