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2005年08月27日  |  特別寄稿:R30
 

R30 特別寄稿!『ブログは選挙マーケティングの何を変えたか ~前編~』

特別寄稿の第一弾は、『R30::マーケティング社会時評』をネット上で展開するR30氏。ネット世論に影響力を持ち、トレンドを生み出すアルファブロガーにも選ばれているネット界の有名人です。元大手経済誌記者の経験を生かした分析力、テーマ設定、鋭い切れ味の文章が高い評価を得ています。R30氏の目から見た「初のブログ選挙」の裏側とは。今回から3回にわたってお届けします。


ブログは選挙マーケティングの何を変えたか

特別寄稿 by R30(R30::マーケティング社会時評)


 最初にお断りしておくが、僕は自分のブログで何度か書いているように、自分の政治信条や支持政党については人前で公言したくない人間である。

 なので、これから論じる話も個々の政党の政策内容が実際はどうなのかとは何の関係もない。あくまで、ネットユーザーとしての僕の目にどう映ったかだけに基づいて論評するものだ。よってこの記事を読んで「R30は○○党シンパだろう」とか批判されても、それはまったくのお門違いであるということだけ、申し上げておく。

■ 選挙が産み落とした「無視できないメディア」としてのブログ

 自民党が25日の夜7時から、ブロガーを集めた懇談会を開いた。出席者は武部勤・幹事長、世耕弘成・広報対策本部長代理。今回の衆院選の選挙対策の司令塔の2人である。既に自民党のウェブサイトにも写真入りの報告記事が掲載されているほか、出席者のブログにも次々と懇談会の報告がアップされている(こちらこちらこちらなど)。平河クラブ(自民党の記者クラブ)を閉め出してブロガーと与党の幹事長クラスが会見するなど、従来なら決してあり得なかったことだ。自民党のメディア戦略が今年に入って大きく変わったことの、象徴的な出来事である。

 「懇談会といっても、大した内容の質疑応答など出なかった」と評価する向きもあるようだ。だがこれは大きな勘違いである。会見で世耕本部長代理から「(ブログは)メディアとして、無視できない存在になっていると私たちは実感している」という発言を引き出したこと、そしてそれがネットを通じて社会中に知れ渡ったということ自体が、画期的なことなのである。

 なぜそれが画期的なのか。考えてもご覧なさい。この選挙で自民党が勝ちでもしたら、それがどの程度正しいかどうかはともかく、自民党の勝因の1つに「ブロガー対策を行ったこと」が数えられるのは確実だからだ。ネット対策など、適当に自分や党の主張を並べたホームページを作ってアップしておけばいいという「一方通行」レベルの時代が終わるのである。無数の人々によるディープな議論が双方向で交わされるネットメディアにどう対応するか、これからあらゆる選挙のたびに選挙対策の責任者が問われるようになるのだ。マスメディアとは違うもう1つの「無視できない影響力を持つメディア」が、この選挙とともに「生まれた」と言っても過言ではなくなるだろう。

■ 「商品=政策」ポジショニングが決め手だった2004年までの選挙

 総選挙というのは、米国の大統領選などもそうだが、現代のマーケティング・コミュニケーションにとって非常にエポック・メイキングな場である。決められた期限とルールの中でどれだけ“顧客”の心を動かせたかが得票数という明確な数値として示され、またそのアウトプットを得るために民間の分野で鍛えられたマーケティングやコミュニケーションの最先端の理論が活用され、その実行のために莫大な量の資金や人材も投入されるがゆえだろう。

 選挙マーケティングに民間のマーケティング手法が応用されることは、日本でも今に始まったことではない。古くは80年代の中選挙区時代の総選挙で、中曽根政権に候補者擁立のアイデアを提供した大前研一氏率いるマッキンゼーがそうだったし、その後自民党の選挙戦略の背後には常に日本最大の広告代理店、電通がいると言われてきた。そして2003年、地滑り的大勝を収めた民主党は、米系PRコンサルティング会社フライシュマン・ヒラードをそのマーケティングのコンサルタントとして雇った。

 フライシュマン・ヒラードと民主党の取ったマーケティングの特徴は、一言で言うと「顧客起点の政策プランニングへの転換」である。従来の「政策」とは、各政党の支持団体が「陳情」という形で上げてくる政策を政策調査会、俗に言う「政調」というセクションがすり合わせたり優先順位をつけたりしながら、公約や法案提出の日程に落とし込んで作られるものだった。

 しかし、フライシュマン・ヒラードはまったく異なる政策プランニングの手法を持ち込んだ。特定の支持団体に属さない「無党派」と言われる層をグループインタビューやコンジョイント分析などのマーケティングリサーチの手法を用いて徹底的に「セグメンテーション(区分化)」し、それぞれのセグメントにおいて最も訴求効果の強い政策を調べ上げて、それを「マニフェスト」という形で並べたのである。これによって民主党はサラリーマン、主婦などの無党派層に強く訴える政策ポジショニングを取ることが可能になり、旧来の支持団体を通じてしか政権公約を集約できない自民党に対して圧倒的優位を作り出すのに成功した。

 しかし、これはあくまで党または政策という「商品」のレベルでの強みを築いたのに過ぎず、それをどうやって国民に訴えていくかというマーケティング・ミックスのレベルでは相変わらずの「マス広告」「どぶ板」への全面依存であった。とはいっても自民党もこの点では同レベルなので、広告の投下量や運動員の動員数に大した差がなければ、民主党は普通に勝てたわけである。これが2004年参院選までの状況であった。
中編につづく


■ PROFILE
関西生まれの30代男性。大手経済誌記者としてマーケティング分野を中心にさまざまな業界・企業を取材したのち、2004年末に記者を辞め、サービス企業に転職。「R30」のペンネームで、マーケティング的見地からビジネスや社会事象の評論を行う趣味のブログ「マーケティング社会時評」を更新中。ブログ界で高い注目度と影響力を持つ。将来の夢は専業主夫。

R30::マーケティング社会時評
http://shinta.tea-nifty.com/nikki/



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コメント
 
 
 
ブログの将来 ()
2005-08-27 21:47:27
さすが自民党、ほぼ60年間日本の政治を独占してきた勘所がわかってらっしゃる。マスコミの政治部記者を手なずけ、産経、読売のトップとつながり、NHKに海老ジョンイルを送り込み、更に今テレビ朝日会長を手なずけた。このマスコミ対応の優位性で政権維持をして来たこれまでの実績がそうさせたのでしょう。ついにブログにも食指伸ばしてきましたか。まさか中国のような介入は出来ないでしょうから、新聞テレビだけの政治部記者を対応すのとは違いますよ。数十万人の普通の記者が相手ですから。あきらめたほうがいいでしょう。
 
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