ベンガルのうた 

内山眞理子の「ベンガルのうた」にようこそ。
ここは、エクタラ(一弦琴)のひびく庭です。
どうぞ遊びにきてください。

わたしは旅びと タゴールの詩

2016-11-05 | Weblog

 

わたしは旅びと

タゴール


わたしは旅びと。

だれもわたしをとめられない。

悲喜のもたらすあらゆる縛りに意味はなく、

この世でなす営みがどこかにとどまるわけはなく、

世過ぎの荷はわたしを下へ引きおとし、

やがて荷は裂けてちらばる。


わたしは旅びと。

いのちのかぎり歌をうたい道をゆく。

身の城門はすべてあけはなち、

欲の鎖をたち、

善悪を乗りこえてゆこう

この世からべつの世へと。


わたしは旅びと。

重荷という重荷はすべて離れてゆくだろう。

空が遠くへとわたしを呼ぶ

言葉のない未知の歌で、

朝な夕なにわが心をひきつける

かくも深き音色はだれの奏でる笛なのか。


わたしは旅びと。

出立の朝がいつだったのかを知らず。

いまだに鳥はなかず、

いつ夜が白むのかも知らず、

ただ知っていた 瞬きもせず見つめるまなざしが

ひとりめざめて夜の闇にそそがれているのを。


わたしは旅びと。

地のはてがどこなのか どんな世にたどりつくのか。

そこで どんな星が輝いているのか、

風はどんな花の香に涙するのか、

優しき愛のまなざしはだれなのか

時をこえてわたしを見つめつづける



ベンガル語本「ギーターンジャリ」所収詩

内山眞理子試訳




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