元・還暦社労士の「ぼちぼち日記」

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障害年金の給付要件と給付額の大まかな整理をして見ました!!

2014-09-07 18:38:56 | 後見人制度<社労士>
あまりにも細かな規定があり分かりにくいので、はしょって骨格で整理してみましたが・・

 公的年金の障害年金について、その骨格とどれくらいの額が支給されるのかについて、整理してまとめてみました。公的年金の老齢年金のために、納めていると思われているかもしれませんが、国民年金や厚生年金の保険料として納めているのは、病気やけがで障害が残ったときのための、いざというときの「障害年金」を支払ってもら得ることにもつながるのです。

 国民年金に入っている方は、障害基礎年金がいざというときにもらえますが、さらに、厚生年金に入っていた方は、この障害基礎年金(一階部分)に上乗せする形での障害厚生年金(2階部分)が支給されます。
 
 ただし、一定の要件を満たさなければ、障害年金はもらえません。その要件とは、3つあります。

 1、初診日に保険に加入していること(初診日における被保険者要件)
 国民年金または厚生年金に加入している間に初診日のある病気・けがで障害の状態になったこと。さらに、国民年金の場合は、国民年金に加入していたもので、初診日に60歳以上65歳未満で日本国内に居住していれば、支給対象となります。つまり、国民年金の加入年齢は20歳以上60歳までですので、さらに5歳延長の条件があるということです。
 その時入っていた保険がどちらの保険になるかも重要です。働いていて厚生年金に加入していれば、厚生障害年金の支給の条件になりますが、その際普通は国民年金という基礎年金に入っていることになりますので、厚生障害年金と基礎障害年金(国民年金)の両方支給されますが、会社に勤めていた時は忙しく医者にかからず、辞めてから医者にかかった(初診がこのとき)場合は、厚生年金は加入していないので、60歳を超えて5年の延長期間の国民年金(基礎年金) しか支給されなかったという例もあります。会社に勤めている間に初診があれば、厚生年金及び基礎年金の両方が支給されていたのに、という歯がゆい例です。

 
 2、障害認定日に一定の障害状態にあること(障害認定日要件)
 障害認定日に、1級(日常生活に不能ならしめるような状態)、2級(日常生活に著しい制限等を生ずる状態)、3級(労働が著しい制限を生じるような状態)の障害状態にあること。ここで障害認定日とは、障害に程度を見る日のことで、障害の原因となった病気・けがの初診日から1年6か月を経過した日、あるいは1年6か月の間に治った場合は、その治った日をいいます。なお、この治った日とは、症状が固定し、治療の効果が期待できない状態となった日を含みます。

 3.一定の保険料を納付していること(保険料納付要件)
 初診日の前日に、国民保険の全被保険者期間のうち、滞納期間が、その3分の1を超えないこと。あるいは、初診日の前日において、初診日の前々月までの1年間に滞納期間がないこと。(ただし、後者は平成38年までの経過措置です)
 以上、3つの条件をクリアーしていれば、障害年金がもらえることになります。
 

 さて、支給額ですが、
 (1)一級障害
   厚生年金 報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加給年金額(222,400円)
   基礎年金 966,000円+子の加算額(1・2人目各222,400円、3人目以降各74,100円)
 (2)2級障害
   厚生年金 報酬比例の年金額+配偶者の加給年金額(222,400円)
   基礎年金 772,800円+子の加算額(1・2人目各222,400円、3人目以降各74,100円)
 (3)3級障害
   厚生年金 報酬比例の年金額(最低保障額579,700円)   (額はH26年度現在の額です。年々少しづつ変わります。) 

  
 3級は、厚生年金しかありません。というか、3級は厚生年金の独自の給付となっています。
 基礎年金を見て、お気づきのように、2級の障害基礎年金は、老齢基礎年金の満額の支給となっています。1級は、そのさらに1.25倍の額となっています。

 さて、厚生年金ですが、報酬比例の年金額となっています。その人と会社が過去に収めた給料=報酬に応じた保険料を支払ってきたものに見合った年金額が支給されるということです。イメージとすれば、支給額は「平均報酬×一定の乗率×厚生年金の加入月数」となりますので、給料=報酬が多いほど、また厚生年金の加入月数が多いほど多くなりますので、基礎年金のように一定額をしめすことはできません。これは、老齢厚生年金の計算式とほぼ同様ですので、言うならば、障害のあったそのときにもらえるとすれば、その時点で計算した老齢厚生年金の額の満額をもらえることになります。
 *ただし、老齢厚生年金は特例でも60歳から、原則65歳の年齢にならないともらえませんし、この場合、乗率が老齢年金の場合は、生年月日が昭和21年4月1日以前生まれは高くなっており、昭和21年4月2日以後は一定の率になりますが、障害年金の計算においては、その一定率で固定し生年月日によっては変わりません。

 ただし、厚生障害年金の加入月数(被保険者期間)が300か月(25年)に満たない場合は、300か月として計算します。つまり、若くして、25年加入しない間に、障害にあった場合は、その実際の加入月数ではなく25年加入していたものして計算できるのです。
 
 そして、1級・2級の場合は、厚生年金で配偶者の加給年金、基礎年金で子の加算が付きます。


 給料(報酬)・加入期間によって違うとなるとしても、大体の額を示せないかということですが、*1「障害年金というヒント」という本の中で、著者が次のようなことを言っておられます。
 私のこれまでの経験では、報酬比例の基本額だけでは100万円を超える方はごくわずかで、大半は2桁です。
 なお、一例として昨年(H25年と思われます。)、障害厚生年金及び障害基礎年金2級が決定した元会社員(高卒)の方の大まかな金額を示しておきますので、参考にしてください。
 ◎年齢は40代後半、妻と子供2人の4人暮らしの場合
 1階部分・・・基礎年金(定額) 約78万円 子の加算 約45万円
 2階部分・・・報酬比例基本額  約70万円 配偶者加給年金 約22万円
 合計 約215万円(月に換算すると18万円弱) 



*1 誰も知らない最強の社会保障 障害年金というヒント 中井宏監修 岩崎眞弓・白石美佐子・中川洋子・中辻優・吉原邦明共著 三五館発行
参考;年金アドバイザー3級<受験対策シリーズ>経済法令研究会編

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