還暦社労士の「ぼちぼち日記」

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新規の就業規則作成によって労働条件を変更することは可能か、適用条項はあるのか。<労契法7・10条>

2017-06-17 17:29:27 | 社会保険労務士
 7条は新規労働契約締結時・10条は既就業規則の存在の場合であって直接の規定はないので、10条の類推適用!!

 今まで就業規則を作成してなかった使用者が新たに就業規則を作成する場合において、既にそこで労働者として働いているものに対して、それまで適用されてきた労働条件を不利に変更することができるかという問題がある。ここで、「就業規則を作成してなかった」とは、これには常時使用する労働者が10人未満であって今まで就業規則を作成しなくてもよかったという場合や逆に違反して就業規則を作成していなかった場合や常時使用する労働者が10人未満であっても終業規則を作成しようとする場合がある。

 労働契約法の規定は、7条及び10条において、労働者に対し就業規則の拘束力がある場合について次のように規定している。
 7条 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させている場合においては、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし・・・
 10条 <労働契約の労働条件の内容を不利に変更する場合という前提において> 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、①労働者の受ける不利益の程度、②労働条件の変更の必要性 ③変更後の就業規則の内容の相当性 ④労働組合等との交渉の状況 ⑤その他の就業規則の変更に係る事情に照らして、合理的なものであるときは労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし・・・

 7条及び10条は、いずれも就業規則の周知と合理的な労働条件であるという要素を満足すればということで、その就業規則(10条にあっては変更後の就業規則)の内容が労働者を拘束するというものである。(ただし、10条の「合理的」とは7条に比べて①②③④⑤の要件があり厳格に規定されている。)
 7条は、労働契約の締結の場合という大前提があるので、既に働いている労働者に対しては、この場合の就業規則は全く適用にならない。10条においては、既にあるところの「就業規則の変更により」労働条件を変更する場合の規定であって、これも新規に就業規則を作成した場合には当てはまらない。すなわち、労働契約法で定められた7条も10条も、就業規則を新規に作成した場合には当てはまらず、就業規則の新規作成の場合の直接の規定はないことになる。

 この疑問に答えるためには、荒木労働法にその経緯が記されているのでそれに沿って述べる。2006年12月27日の厚生労働省労働政策審議会労働条件答申までは、就業規則の新規作成による労働条件変更も10条の就業規則変更と同様にするということが明記されていたが、法案要綱策の際に、最高裁判例は就業規則自体を新規作成した場合の事案ではないということで、立法化の対象から除かれたという。(*逆にいえば、既存の就業規則が存在して、新規の条項を設ける場合については、この10条の規定が適用になる。)

 

 しかし、この判決の元となった秋北バス事件判決は、確かに就業規則の新規作成によってではなく、既存の就業規則に新たに条項を設ける場合についての就業規則の変更に関するものであるが、この判決において一般論としては「就業規則の作成または変更によって」と記して就業規則の作成を含めて、就業規則の周知・合理的変更の法理を判示しているところである。

 そうであれば、もうすこし踏み込んで、就業規則の作成も含んだ規定にして欲しかったものである。

 いずれにしても、就業規則を未作成の使用者が新規就業規則を作成する場合において、それまで適用されてきた労働条件を不利に変更することができるかという問題については、労働契約法10条の類推適用することになろう。(学説はほぼ一致しているとしている。荒木著)
 したがって、新規の就業規則を労働者に周知させ、かつ、その就業規則が①②③④⑤に照らして合理的なものであるときは、労働条件はその就業規則の定めるところとなる。

 なお、就業規則の新規作成は労契法10条の類推適用にはならないという見解をとったとしても、使用者が現状の労働条件をそのまま引き写した上で、次に、この就業規則を不利益変更すれば、10条の就業規則の変更と変わらないことになる(菅野労働法)ので、これを主張する実益は乏しいとしている。(荒木著)


 参考 荒木尚志著 労働法 有斐閣
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