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障害年金という最強の社会保障<誤解の多い障害年金、その2>(第5回)

2014-06-23 04:28:11 | 社会保険労務士
誤解の多い障害年金~「働いても障害年金は受けられる」!!

前回同様、障害年金の支給基準の3つの要件について、述べておきます。
 1、障害の原因となった病気やけがの初診日が、原則として国民年金又は厚生年金保険の被保険者期間中にあること(被保険者要件という)
 2、初診日の前日までに原則として一定の保険料納付要件を満たしていること(保険料納付要件という)
 3、障害認定日において、障害の程度が政令に定める一定の基準以上(1級・2級・3級として、説明したところです。)にあること(障害認定日要件という)
 なお、「障害認定日」とは、障害の程度を認定する日の事です。「障害認定日」は、原則として「初診日から1年6か月を経過した日」または「1年6か月以内にその病気・けがが治った日(=症状が固定して、治療の効果がこれ以上期待できないこととなった日)」のことを、この日に障害の程度を判定するので、障害認定日としています。

 この本*の中で、誤解の多い障害年金として、「働いても障害年金は受給出来る」ことが紹介してあります。必ずしも働いているからと言って、障害年金を受給できないことではないということです。
 そこで、最初の回に申し上げたこの1級・2級・3級の障害の程度を再度申し上げます。

 1級 身の周りの事はかろうじてできるが、それ以上の活動はできない状態。活動範囲は、室内に限定。
 2級 家庭内の軽食つくりや下着の洗濯など極めて温和な活動は可能だが、それ以上の活動はできない状態。労働により収入を得ることは不可能。活動範囲は家の中に限定。
 3級(厚生年金のみ) 労働に著しい支障や制限があるが、短時間労働や軽作業など職場の理解や援助などの配慮の下で就労が可能。

 これから考えると、少なくとも3級は労働が基準の前提となっているように思われます。3級のレベルとしては、労働に著しい支障や障害があるが短時間や軽作業はできることになっています。2級であっても、労働できないように思われますが、著者は4人以上に人工透析患者の障害年金2級の受給を決定していることが報告されていますので、傷病等によっては一律ではなく認められるものもあるようです。国のデータでも65歳未満の障害年金受給者のうち、3割以上の方が働いているとされています。

 基準では「現に仕事に従事している者については、労働に従事していることをもって、直ちに日常生活が向上したものと捉えず、その療養状態を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状態、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認した上で日常生活能力を判断すること」とされています。人によっては、休職明けの軽作業、障害者枠での就労や知的障害者の福祉作業など収入も作業自体も様々です。

 著者が懸念していることとして、国の動きとして、平成25年4月には障害者の法定雇用率が従来の1.8%から2.0%に引き上げられたにかかわらず、就労の事実をもって判定が×と出されたかのようなものがあるようになったとのこと。しかし、判定が納得できなければ、審査請求・再審査請求がありますのであきらめる必要はないと著者は言っています。

 ただし、現在の制度では、最初の回で示したように、国民年金では2級までしか支給が認められていませんので、ここのところが国民年金ではなかなか認定の状況によっては限界もあるようです。(厚生年金では3級まで支給されます。)

*この本:参考;「障害年金というヒント」(三五館発行)中井宏監修

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