今井先生のブログ-せかんど らいふ in Elizabethtown-

日本で校長を退職された今井先生の日々のブログです

ハロウィン

2008年11月03日 | 補習校について
 今年は、生徒会の提案で、補習校でもハロウィンの仮装大会をやろうという事になった。登校日との関係で10月31日ではなく1週間の前倒しであった。日本人家庭の子供たちが、ハロウィンの由来や発端となったケルト人の収穫感謝祭の意味を理解しての活動であるかどうかなどは問題ではない。1年の中の伝統的な、また開放された楽しい行事として楽しめばそれでいいのである。
アメリカ式の、明るく楽しむ仮装コンテストは補習校のホームページに写真があるとおりで、子供たちも先生方も「お姫様系」、「怪奇系」、意表を突いた「扮装系」で会場は賑やかであった。

しかし、アメリカのハロウィンで忘れられないのは、もう16年前、つまり補習校の子供達がまだ生まれていなかった頃、ずっと南のルイジアナ州バトンルージュで起きた「日本人留学生射殺事件」である。「Trick or Treat」で訪問先を間違えた日本人留学生が、住人に不法侵入と間違えられ「Freeze! 動くな!」と言われてもその意味を掴めず射殺された事件で、日本人の誰もがアメリカ銃社会について改めて驚愕したのである。更にはその住人は刑法では無罪となり、米国に於ける「憲法で保障された銃の所持権」について深く考えさせられた。当時の普通の日本人にはFreeze、の意味を知る者は多分ほとんどなかったし、私もFreezeとPleaseとを聞き分ける力が自分にあるだろうかと考えてしまったものである。
 また、この行事はことにこの10年、アメリカの楽しい大衆文化として日本に伝播してきたようだ。
 私の住む川崎市では、駅前の商店街のイヴェントとして国内でも大掛りな仮装行列が行われているようで、仮装というものも変身願望を満たし無条件に人を楽しませるものである。日本のアニメのコスプレは世界のマニアには広がっているようであり、昔の高校の文化祭や運動会では仮装行列は付き物であった。そして、古くは安土桃山の終わり頃、園遊会を催した秀吉は「瓜売り」の扮装、家康は「遊女屋の亭主」などの「やつしくらべ」をして楽しんだ、とある。
ただ、あまり難しいことは言いたくはないが、バレンタインデーなどが我が国に入るとたちまちに形を変えて菓子屋の商業主義に乗せられていったというのは気になる所である。とは言いながら、私もチョコをプレゼントされ、「義理チョコかな。」と思いつつ悪い気がしなかったから勝手なものであるが・・・。
まあ、東京でのハロウィンが乱痴気騒ぎとなって電車がストップした事も含め、面白ければいいじゃないか、という風潮や、外国の文化の受け入れに我が国は少々節操が無いのではないかと思うことはある。

 さて、補習校の児童生徒たちにはアメリカに住みアメリカの文化や伝統を学ぶという現在の日々がどんなに貴重なことかは、帰国した後に理解できるに違いない。ハロウィンも、仮装は広がっているが日本の街では「Trick or Treat!」は不可能であろう。しかし、本物を持ち帰れるのは彼等以外にはないはずである。新しい文化の担い手として頑張って貰いたいものである。
 同時に、日本には日本の伝統文化があり、その地域独特の行事などにも同様に参加できるといいなと思う。ハロウィンの祭り一つをとっても、人間の思いは世界共通と思わざるを得ない内容がいくつもある。収穫祭としての発祥もそうであるが、ハロウィンに関係するサウィン祭りでは、火種を持ち帰って家庭で使うと無病息災なんて、祇園八坂神社の「おけら参り」に同じである。(実際にはどこも実行されてない。)魔除けの仮装、あるいは怪物の行列は日本でも「百鬼夜行」として有名である。あの世よとこの世、死者と生者、精霊や魔除けに関する風習や習俗については洋の東西を問わない。帰国したらまた、そのような日本の文化にも興味を持てってくれたらと思う。もっとも、これらを子供達に伝える役目を持つのは現在の親の世代なのであるが。
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義理チョコ おけら参り 日本の文化 バレンタイン 日本のアニメ バトンルージュ 日本人留学生射殺事件 ルイジアナ州
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