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読まれないエントリーシート・・・ 2012/2/8 7:00日本経済新聞 電子版

2012-02-08 08:56:10 | 日記
書類審査の舞台裏 本当にある学生選別の手段 読まれないエントリーシート 2012/2/8 7:00日本経済新聞 電子版

初めての就職活動は分からないことだらけ。
直接企業に質問しづらいことも多いし、口コミ情報がどこまで信用できるかも不安だ。
そんな悩みを解決する「就活探偵団」。就活生の様々な疑問に答えるべく、あなたに代わって日経記者が企業に突撃取材します。

今回の疑問は「エントリーシート、ホントに全部見ていますか」

■面接に進めない書き方は
 多くの企業が2月からエントリーシートの受け付けを開始した。
せっかく一生懸命に書いたのだから、採用担当者もしっかり読んでくれていると思いたい。
だが、人気企業には何万通ものエントリーシートが届くという。採用担当者はほかにも業務があり多忙なはず。
本当に1枚ずつ丁寧に読んでもらえるのか――。取材を進めると、前回の「会社説明会」に続き「エントリーシート」でも就活生には厳しい現実が見えてきた。
 エントリーシートは志望理由、大学時代に取り組んだことなどをまとめ、採用試験を受ける意思を伝える書類。
採用試験の第一関門でもある。ちなみに1991年にソニーが大手企業で初めて導入したとされる。
「自分のこと、仕事のことをしっかりと考えてもらおうというのが導入した当初の目的です」(ソニー採用部統括部長の米田牧子さん)という。
 エントリーシートで採用担当者のお眼鏡にかなえば、面接に進めることが多いが、企業によって質問事項は様々。
何をみて合否を決めているのか。まずは、不合格になってしまうエントリーシートの書き方を採用担当者に聞いてみた。
 「字が下手でも構いませんが、『止め』や『はらい』など丁寧に書かれていないと熱意が感じられません」(鹿島・人事部担当部長の真辺文宏さん)、
「誤字脱字に気付かず提出するのは志望度が低いのかと思ってしまいます」(大和証券グループ本社・人事部副部長の仲沼之博さん)
といった基本的な書き方を指摘する声が多かった。
ほかにも「文字数制限が200字なのに20字しか書いていないなど明らかに少ない場合は印象がよくないですね。
文字数制限は意図があって設定しています。
少なすぎるのは問いの趣旨を理解されていないのかと思います」(東京海上日動火災保険・人事企画部課長代理の青景史明さん)、
「他社に提出したエントリーシートをそのままコピーしているのはすぐに分かりますね」(JTB人事企画部グループリーダーの米村祐一さん)
といった声も。手抜きはバレると面接に進めない可能性が高いようだ。
エントリーシートはインターネット経由で手軽に出せるようになったが、送信前にじっくりと見直しが必要だ。
■せっかく書いても…
 では考え抜いて作ったエントリーシートは実際にすべて読んでもらえているのか。
 もちろん元祖のソニーは「すべて読んでいます」(米田さん)と答えた。例年約2万5000通ものエントリーシートが届く東京海上日動火災保険は「採用チーム全員で手分けして隅から隅まで読んでいます。
期間中は残業続きで大変です」(青景さん)と話す。
このほかにも「成績が多少悪くても、エントリーシートの出来が良ければ会いたくなるので」(大日本印刷・人材開発部部長の八木一郎さん)、
「約20人で1万通以上を2週間ほどで全て読みます。さすがに締め切りに遅れたエントリーシートは読みませんが」(サントリー・人事部課長の黒木俊彦さん)
といったように「すべて読む」と答える企業は多い。
 ただ、厳しい就職環境が続いており、ネットの普及もあって、就活生が企業に送るエントリーシートの数は膨大になっている。
すべてを読む人手が足りない企業も当然ある。鹿島の真辺さんは「採用担当者の人数に比べ志願者が多いため、残念ながらすべてに目を通すことができません。
筆記試験の成績を考慮して数百まで絞ってから丁寧に読みます」という。
JX日鉱日石エネルギー・人事部マネージャーの君島崇史さんも同じ方法で「数百まで絞り込んでから」と説明する。エントリーシートで面接に進む学生を選ぶのではなく、面接する学生を試験で選んでから、
エントリーシートを読む。
読んでもらえない就活生にとっては残念だが、ある採用コンサルタントは「学生には違和感があるかもしれないが、筆記試験や適性検査で絞ってからエントリーシートを読むのは一般的な手法。
それを公表する鹿島などはまだ良心的とも言える」と指摘する。
■出身高校までチェックが
 「一般の企業の場合、よほどしっかりした企業でなければ、数万通のエントリーシートを1枚ずつ読むのは無理でしょう。
せいぜい3000~5000枚が限度では」と担当者。エントリーシートを読める数にまで減らすため、「我々に依頼する企業の多くは様々な条件をつけて、候補者を絞り込むよう注文されます」という。
 大半の企業はエントリーシートをウェブサイト経由で受け付けており、データベースに蓄積している。
代行業者はこのデータベースにさまざまな条件を付け、絞り込む。まず、エントリーシートの提出と並行してウェブ上で実施する筆記試験の成績順に並び変え、上位者のみを取り出す。鹿島などが手掛ける手法と同様と言えるが、これはまだ序の口だ。
代行業者を利用する企業はさらにもう一段踏み込んだ選別を依頼することが多い。
 筆記試験や適性検査の上位者は次に学歴や語学力、資格の有無などの切り口でさらに並び替えるという。これが細かい。
「最近は大学や学部はもちろん、出身高校でも絞り込みたいとの要望が増えています」と話す。
 出身高校で何を見るのか。「例えば、大学の付属高校からの進学では大学受験の厳しい競争をくぐり抜けていませんから」と担当者。
ぎりぎりの受験勉強をしていない学生を敬遠する企業があるのだという。
 さらに男女が同数になるように仕分けたり、顧客が金融機関の場合には住所で仕分けたりする注文まであると語る。
「勤務地を限定した採用の場合、自宅からの通勤を推奨したいようです。入社後も引っ越さずに済むかどうか調べるようですよ」と明かす。
どこまで選考に直結しているかは不明だが、こうなると、もはや法に抵触する疑いが気になってくる。
 最近増えているのは、採用代行業者を利用したエントリーシート段階での学生の選別。採用代行業者は前回取り上げた「会社説明会」でも登場したが、「エントリーシート」でも企業の重要な役割を担いつつある。
代行業者A社の担当者に業務内容を聞くと、学生選別の実態が見えてきた。
■代行業者で実際に読んでいるのは
 変わった切り口ではエントリーシートにびっしり文字が書かれているかどうかで絞り込んで欲しいという依頼もあるそうだ。
筆記試験の成績が上位であっても、企業が求める条件を満たさないと、エントリーシートは読まれることなく終わることがある。
 代行業者の担当者は「企業が欲しい人物像に沿って枚数を減らしてから、しっかり読み込む方が公平だと思います」とエントリーシートを絞り込む必要性を強調する。
実はエントリーシートを「全く読まない企業さえある」とこっそり教えてくれた。エントリーシートによる選考を採用代行業者に丸ごと外注し、面接に進む学生を選ぶことまで任せてしまう企業だ。
 この場合は、選考基準を事前に顧客企業と綿密に打ち合わせる必要がある。
例えば「学生時代に取り組んだこと」という項目に「居酒屋でアルバイト」と答えた学生がいたとする。居酒屋でアルバイトをしていたといっても色々な働き方がある。バイトリーダーとして後輩の指導も担当していたのと、単にスタッフとして取り組んでいたのとでは評価が異なる。顧客企業と相談し、想定される答えから取り組み方に応じて3~5段階の評価基準を作る。この評価基準に沿って合否を代行業者が判定していくのだという。
 採用代行業者にエントリーシートを選別してもらうために企業が払う料金は、A社の場合「項目数にもよりますが1枚1000円前後」。
「正直な話、まず予算があって、予算に応じて質問の項目数を変える企業が多いです」とのことだ。
 5000枚依頼すれば500万円かかる計算になる。1万枚を越えると1000万円以上と高額だ。
残業してでも、採用する人事部門で読んだ方が安上がりで精度も高い気もするが、1000万円で正社員を何人雇えるかと考えると…。
 ちなみに、採用代行業者で実際にエントリーシートを読むのは、採用代行業者で雇った派遣社員だという。
■調査結果
 エントリーシートはすべて読んでいるとは限らない。が、手を抜けば先には進めない。