栄光イレブン会

栄光学園11期卒業生の親睦・連絡・活動記録

ブログ開設:2011年8月23日

きよちゃんのエッセイ (20) ”人間ドック(2)”  (Okubo_Kiyokuni)

2014年12月28日 | 大久保(清)

 

人間ドック(2)

12月の澄んだ青空から射し込む陽光を浴びて、眼下には黄金色の輝きも終わり、そろそろ葉が落ち始めてきた銀杏並木が見える。いつものように市役所通りの晩秋の景色を楽しみながら、人間ドックの食堂で、今終了したばかりの健康診断の結果を反芻しつつ、ヘルシーな和食ご膳を口に運んでいると、何故か、診察室で言われた最後の台詞が蘇った。

 お決まりの儀式である聴診器、触診を終え、数分前に終了した検査結果を眺めながら、まだ若い、研修医であろう担当医は、患者対応がやっと慣れてきた雰囲気で、スクリーンに映し出されたデータを説明している。いつも気になる赤字で打ち出されたコレステロール値を横目でみながら、―僕が主治医ならまだ薬は出さないな、笑って応えてくれ、近くの内科医より服用を迫られている身には、息子のような先生がとても頼もしく目に映った。

 今回は70歳の節目の定期検査にあたり、何か診察を受ける心構えが変ってきた感じがする。以前は、悪い結果が出ないことをひたすら念じ、検査結果に対し、半身で、逃げ腰で付き合う構えをしていたが、この頃は、苦しい処があれば、ドンドン言ってこいよ、とそれなりの度胸をすえて、ゆっくりと、身体と一緒に付き合う心境になりつつある。

 若い頃は、目の前に迫る仕事を消化する道具として、身体の夫々の部位は先頭を走るー脳―にくっついて、少し、びくびくしながらも、皆、おとなしく従ってきた。脳の命令するままに、それを支える身体は、胃腸も、肝臓も、心臓も、肺も、よく頑張ってきた。今回の検査では、脳みそが、―君達のおかげで今があるのだからーと囁いていたような気がする。

もうこれからは、脳は寡黙に徹し、でしゃばらず、身体の一つ一つをいたわり。今までの頑張りにお礼を述べる時である。脳みそは、逆にボケが進み、みなの足手まといにならないように、頭を低くして、ひたすら身体に支えられ生き続けていかねばならないのだ。

今朝も、例年のように一番乗りで受付をしたが、書類の不備を訂正している間に、3人抜かれ、診察着の着替えに手間取っている間に、また2人抜かれた。以前では考えられない対応能力の衰えを味わうが、何故か、あせる気持ちは湧かず、楽しんでいる自分すら感じていた。

検査室の廊下で、長椅子に座り順番を待っている人たちの顔を覗いていると、こちらより年配だなと思われる人が少なくなってきた感じだ。まだ、人生真っ盛りの男たちの顔がそこ、ここに見られる。難しい顔で午後の会議の内容に頭を痛めている中年のおやじもいる。みんなこれからだよ、頑張れよ、とエールを送る。

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きよちゃんのエッセイ (19) ”人間ドック”  (Okubo_Kiyokuni)

2014年12月19日 | 大久保(清)

 

人間ドック

今日は人間ドックの日である。定年後の生活は自宅周辺からあまり足を延ばさずにのんびりと毎日を過ごしていたためか、電車に乗りいつもと違う所に行くとなると少し緊張する。昨夜は眠りが浅くいつもより2時間も早く目が覚めた。朝食抜きとの指示のため起きてもすることがない。

 身体をもてあまし、かなり早めのバスに乗る。車内の空気は昼間の老人ばかりのぬるま湯のような感じと違い、何か気持ちのよい緊張感を孕んでいる。久しぶりの光景でこちらも少し若返った気分になる。職場に向かうサラリーマンや学生に囲まれて小一時間電車に揺られ、ドックのあるビルに入るが受付はまだ始まっておらず、廊下で少し待たされた。

毎年のドックで検査・診察を受けているといつも思うことだが、せっかく高い検査料金を払っているのだからしっかりと病気の兆候を発見してくれよという前向きな気持ちと、なるべく再検査などの問題がある箇所がありませんようにとの後ろ向きな、逃避的な気持ちが入り混じる。昨年のドックでは眼底出血を発見してもらい直ぐに眼科にかかった。一年間大過なく過ごせたのもドックの検査のお陰と感謝の念を持って受診すればよいのだろうが、一年間の成績表を手渡されるような、なんだか期末テストを受けるような、やはり落ち着かない日である。

 身長体重、聴力検査に始まり、バリュームの胃検診、スキャンを使った内臓検査等々をいつものように、係員の指示に従い飼いならされた羊のように廊下を行ったり来たりする。検査室の廊下のベンチに腰掛け、辺りを見渡すと、これから身体を資本として人生の坂を上っていく壮年組と、それとは対照的に人生の引き伸ばしをかけて坂を下っていく老人組に大別されるようだ。我々の老年グループは、歳を重ねるにつれ身体にガタが来るのは避けられないが、人様の迷惑にならないよう人間の必然に沿って淡々と生きていく運命だ。

 こちらの問題点いつも、コレステロールの値、善玉が少なく、悪玉が多く、全体の総コレステロールも高い。最後の診察を終えて血液検査の結果を告げられる。やはり、コレステロールが高くなっている。前日に忘年会があり、脂肪分の多い料理ばかり食べていたので、若い女医さんに聞いてみた。それは直ぐに検査値に出ますとあっさり言われる。ドックのためにお酒は手をつけずにいたがレーズンバター、蛎の油付け、オリーブの実、そればかり食べていた。こんなたわいのない会話を交わしている日々が何時まで続くことやら。人間ドックで最後の卒業科目が決まる日もいつかあるだろう。その日まで通うことにするか。

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きよちゃんのエッセイ (18) ”オールド・トビリシ”  (Okubo_Kiyokuni)

2014年12月12日 | 大久保(清)

オールド・トビリシ(グルジアの首都の名前のついたワイン

 タマダ役の男が立ち上がる。『今日、我が港に来た日本の紳士達に!』と重々しく喋りだすと、出席者は一斉に立ち上がり、ワイングラスを胸の前に高くかざす。とタマダが続ける。

『この度、素晴らしいエンジニアを迎え、我が港が更に発展することを願って、ガルマージョス!』と怒鳴ると、皆一斉に『ガルマージョス!』(乾杯の意味)と声を合わせる、と同時にワインを飲み干す。次に隣の席の男が、少し酔いが回ったのか寂しげな口調で、こう発声する。

『悲しくも先の戦争で命を落とした若者のために!』と、『ガルマージョス!』と一斉に声が上がり、皆ワインを飲み干す。この戦争のーーーの文句が出てきたら乾杯は延々と続く。ここはグルジアのポチ港湾事務所の近くにある集会所。

 我々の歓迎会の宴席での光景であるが、タマダとは、職場の役職とは関係なく、仲間達が一目置く人望のある年配者が選ばれるケースが多い。この男がすべて宴会の議事を進行させ、ここでは部長も局長も彼の部下となる。ソ連時代から引き継いだロシア流のしきたりであろう。この乾杯の儀式に欠かせないのが、オールド・トビリシと命名された白ワインである。アルコール度数は12%、通常の値に近い。黒みがかった茶緑色のビンに入り、濃い緑のコルクカバーが巻かれている。ワインの色は淡い琥珀色、ボディーのある辛口である。フランスワインの辛口の定番であるシャブリが、甘く感じられるほどの辛口で、しっかり冷やすとのど越しに切れがあり、日本料理、特に天ぷらとの相性はいいようだ。吉兆の板前さんに飲んでもらう機会があり、彼らの折り紙つきである。

グルジアワインはソ連邦のワイン倉の位置づけにあった時代も長く、フランス料理と比較し、少し野生味があり、荒削りなロシア料理、油っぽい料理には相性がよい。言い方をかえると、少し田舎くさいが、慣れてしまうと何故かヤミツキになる味である。グルジアの仕事を終えて、日本に帰りネットでグルジアワインの販売状況を調べると、面白いことに湯河原の酒屋さんがグルジアワインの総輸入元になっていることが分かった。早速、取り寄せて、グルジアの気分を楽しもうとしてみたが、自宅の居間での一杯は何故かイマイチしっくり来ない。おそらく、黒海に面したグルジアの殺伐としたポチ港で肌に触れた冷たい風が、グルジアワインの味をかもし出していたのかもしれない。

 その後、バルト海のリトアニアで仕事をする機会があった。町のスーパーマーケットによると、懐かしのオールド、トビリシが陳列されているのを発見した。半ダースほど手に入れてホテルに戻り飲むほどに、あのグルジアの海のニオイ、そしてタマダのひげ面の顔が瞼に蘇る。そして、『ガルマージョス!』というみんなの声も聞こえてきた。

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忘年会(2014/11/29)の報告(写真)  (Okuyama_Iwao)

2014年12月08日 | ◆行事報告

2014年の忘年会・ご報告

2014年の忘年会は、大河原君が新たに飯野ビル(B1F)に開店した「をどり」で。瀟洒で落ち着いた雰囲気、<通>が好みそうなお店。

参加者は予想を超える31名、急な案内にも関わらずこれだけの人が集まってくれ幹事として喜ばしい次第。太田君の乾杯の発声、大河原君から旭日中綬章叙勲について話があり宴会開始。

各自勝手にワイワイガヤガヤ、まとまりがつかなくなってきた。1時間くらい経過し幹事の特権でワイワイガヤガヤを中断させて久しぶりに出席してくれた石島・梶浦・中谷・中山・畑田、及び中里君からの近況報告。全員が元気でそれぞれの場で活躍していることがわかり嬉しかった。そのあとはもう飲み放題の飲み会、あちこちで勝手に話をしている。

隣から「そろそろ時間・・・」の声、時計を見ると6時30分。あっという間に予定の2時間半が過ぎてしまった。そこで急きょお開きに。幹事のボケで集合写真を撮り忘れ、あわてて解散し店を出る。

飲み足りない人が新橋駅近くの2次会へ。その数12~3人くらいいたと思うが、酔っぱらっていたので何人か数えていない、何を話したのかも覚えていない。いつのまにか2時間くらいが経過し店の外に、家を出るとき小雨だった雨が上がってほっとして帰宅。家に着いて「あーいけない。大河原君からの折角のお土産を2次会お店に置き忘れた。」気が付いたときはもう遅い。大河原君ごめんなさい

<出席者>

相澤・有賀・石島・稲盛・榎本・大河原・大久保武彦・梶浦・川原・黒川・小島四朗・重山・下田・鈴木頴一・鈴木武人・中里・中澤・長島・中谷・中村和義・中山・長谷川和生・畑田・松井・水野・柳原・山口隆雄・吉川・米澤・(幹事)太田・奥山

 忘年会の写真 

 2次会へ移動 

  2次会で 

 

   (写真撮影 太田・奥山)

 

 

 

 

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