オーストラリア永住権取得は難しくない!

5つの目標を作り始まった、永住LIFEの幸せなオーストラリア永住権への道

幸せなオーストラリア永住権への道 236 She is in Sydney

2010-10-16 08:08:02 | Weblog


階段の最後の一歩を上り終えて、この部屋の主と思われる男に招かれるままに店の二階に入ると、甘いお香の香りとセックスピストルズのゴッドセーブザクイーンが僕の鼻腔と鼓膜を殴りつけるように歓迎してくれた。壁にはシドビシャスとジミヘンドリクス、ニルバーナのポスター。棚には子供用の絵本や置物が飾ってあり、階段のすぐ脇にある医療用の陳列棚には不思議な形をしたパイプが沢山並べてあった。店の奥の方まで見渡すことはでいないが、アンダーグラウンドの匂いがする不思議な部屋だった。

主は僕らが落ち着かない様子でそこらじゅうを見ているのが楽しくてたまらないといった表情でにこにこと微笑んだまま僕らの様子を眺めている。部屋の中にはいろいろな不思議なものが並べられているがこれといった統一感はなく、主が好きなものを集めた店というよりはやはり部屋と呼んだほうがすっきりするような空間だった。

「このお店でこれと同じ封筒を売っていると聞いてきたのですが?」

僕が主にクレアからもらった封筒を差し出すと、主はちらっと見て軽くうなずくと店の一番奥のほうにある流木で飾られた棚のほうを指差した。僕らは店の奥まで入っていき、その棚を見てみると僕の手の中にあるのと同じ封筒や便箋が沢山並べられていた。

「永住ライフさん、同じですよ。やっぱりクレアはこの店に来ていたんですよ。あの変わったおっさんに早く聞いてみましょうよ。」

アッキィーが主には理解できないはずの日本語ですばやく言った。僕は胸の中でいっぱいになったクレアへの想いをできるだけ押さえながら主にクレアのことを尋ねることにした。部屋の主はガラスでできたショーケースのカウンターの後ろにある安楽椅子に背をピーンと伸ばし足を組んで座っていた。

「すいません、突然ですがクレアというカナダ人の女の子を知りませんか?」

「クレア?私はジェリーだが、君はいったい何者だい?」

「すいません、僕の名前は永住ライフです。そして一緒にいるのがアッキィー。僕たちはクレアを探すためにゴールドコーストのサーファーズパラダイスからやってきました。」

「クレア、クレア、クレア。私の部屋には毎日いろいろなゲストがやってくるがね。そのクレアという子はどんなこなんだい?」

「琥珀色の猫みたいなくにゅくにゅした髪の毛が肩の下まであって、肌の色は少し日焼けしていて、目が大きくてくるくると良く動いて笑うと小さな子供みたいなんです。それで、うれしい時はやったーってジャンプして喜んで、悲しいときは迷子になった子供みたいに泣きます。でも、基本的にはいつも明るくて元気があって、服装は少しヒッピー調で、少し鼻にかかった声をしていて、それで、それで・・。」

「オーケー、永住ライフ。ようするに君はクレアのことが好きなんだね。」

「えっ、そんなこと何も言っていませんが。なぜ、そんなことを聞くんですか?」

「聞いているんじゃなくて感じているんだよ。君のクレアへの気持ちをね。ふーん、それでクレアに会ってどうするんだね。」

「やっぱりクレアを知っているんですか!彼女がどこにいるのか教えてください。」

部屋の主は何かを考えるように黒目を斜め上にして、右手の人差し指と中指を神経質そうに動かしたまま黙ってしまった。僕は主の次の言葉を待っていた。早く教えてくださいと大きな声でどなってしまいそうだったけれど、クレアについての手がかりはこの主が持っているので我慢をした。

「結論から言うとクレアはもう、この街にはいない。少し前までは私の部屋のゲストとしてよく遊びにきてくれたものだが。残念なことだ。」

「彼女は、クレアはどこに行ったのですか?」

「それを知ってどうするんだね?それに、彼女は見つかるあてのない何かを探してずっと旅を続けているようだよ。君も彼女の旅の途中に出会ったんだろう。彼女の旅はきっとずっと続くよ、彼女自身が気がつくまでは。君に何ができるのかな?」

「何ができるのかは分からない。でも彼女からこのお店の封筒と便箋を使って僕に手紙が届いたんです。助けてって、彼女が僕に助けを求めているような気がするんです。だから、
行かなくちゃ何ができるのか考えるより、今は彼女に会いに行きたいんです。」

「永住ライフ、君はとても綺麗な瞳をしているね。まだ、あまり人間の汚い部分や闇の部分をみたことがない目だ。まったく穢れが無い、それだけでも私から見ればとても素晴らしいのだがね。ただね、そういう部分も受けいれてこそ人間なんだよ。怒りや悲しみ、裏切りや、ねたみ、嫉妬、わかるかね。」

「僕にはあなたの言っている意味がよく分かりません。それがクレアとなんの関係があるんですか?僕はクレアの居場所を教えて欲しいだけです。」

「どうしても知りたいかな。それならば教えてもいい。別段、クレアから誰かに言わないように頼まれたわけではないしね・・・。」

そこまで言うと主は言葉を止めた。部屋中にかかっていたゴットセーブザクイーンが次の曲、ボディーズに変わった。主は右手と左手で小さく指揮をするように動かし始め、その動きがだんだんと大きくなり体全体に伝わっていった。そして、ついに最後には彼は立ち上がり僕のそばにやってくると耳元でささやいた。

「She is in Sydney.」

クレアはシドニーに行った。

★★★お知らせ★★★

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4 コメント

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改めて (エコ)
2010-11-18 22:41:56
こんばんは。
いつも拝読させて頂いて。。。今更(^_^;)という感じがしないでもないのですが、永住ライフさんの文章表現は、とても細かいところまで具体的で、私の中では想像しやすく!入り込んでしまう(^o^)毎回です
記事へのコメントじゃなくてゴメンなさい (エコ)
2010-12-12 00:33:04
永住ライフさんは、もう・・・毎週木曜日更新のこのつづきを書くことをやめてしまわれたのですか?

それとも・・・

再始動 (永住ライフ)
2010-12-13 19:33:05
メッセージありがとうございます。今日、次の記事を予約投稿しました。自由にあふれ出すまで書くのをお休みしていたのにもかかわらず応援のメッセージをもらって感謝しています。ありがとうございます。
いつも急かしてごめんなさい〓 (エコ)
2010-12-13 22:35:47
お返事ありがとうございました_(._.)_
急かすつもりでコメントしたんじゃないんですよ。本当に!

確認したかっただけでした。でも、結果的に急かしてしまいごめんなさい(>_<)

楽しみにまた、ペースを落として拝読させて頂きますね=^ェ^=ない