核実験を強行した北朝鮮に対する制裁案の議論では、「臨検」という日常耳慣れない言葉が聞かれます。海上(公海)を航行する船舶に停船を命じて立ち入り検査を行うことですが、軍事力による強制を伴うことがあるので、憲法上武力を行使できない日本がどの程度この手段を使えるかについては、議論が分かれるところです。
1962年のキューバ危機では、米ケネディ政権がキューバに対する海上封鎖を実施しました。このときは海上封鎖(blockade)という言葉を避けて、臨検(quarantine)という言葉が使われました。当時キューバに向かっていたソ連の貨物船は、米海軍の威嚇を受けて引き返しました。
国連による北朝鮮制裁決議では、臨検よりさらに弱い船舶検査(inspection)という言葉が使われたようです。しかも、船舶検査は加盟国の義務ではなくて要請という形になったため、中国や韓国は早くも及び腰になっているようです。海に囲まれたキューバと違って、北朝鮮と陸続きの中国が貨物を調べなければ、国際社会による制裁も「ザル」に終わってしまうかもしれません。
なお、法律的な用語としての「臨検」にはvisit [for inspection]という言葉も使われているようです。また、quarantineには一般の「検疫」という意味もあります。
(メルマガ「英語屋さんの作りかた」第63号掲載)










