ぽつお番長の映画日記

映画ライター中村千晶(ぽつお)のショートコラム

残像

2017-06-08 23:46:51 | さ行

さっきNHKの「ニュースウォッチ9」で
紹介されてましたよ!


「残像」73点★★★★


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第二次大戦後のポーランド。

ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ(ボグスワフ・リンダ)は
国内外でも有名な芸術家。
大学教授としても、学生たちから慕われている。


だが、社会主義へと邁進する国家は
彼に「こういう絵を描け」と命令してくる。

信念のもと、政府に抗うストゥシェミンスキは
職を奪われ、次第に窮地に立たされていく――。


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「灰とダイヤモンド」(1958年)、
近年は「カティンの森」(2007年)でも知られる
ポーランドの巨匠、アンジェイ・ワイダ監督。

2016年10月に90歳で亡くなった巨匠の遺作です。


これが、本気で恐ろしい。
ここに描かれていることが
いま身近で現実になろうとしている、という恐怖に
身を固くしてしまうほどです。

自分の信念に従い、
表現の自由を手放さなかった実在の前衛芸術家
ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ。

その思想をなんとか曲げさせようとする国家が、
どうやってそれを行うのか。


職を奪い、収入を断ち、食料を奪い
人の尊厳を奪っていく過程がつぶさに描かれる。

家政婦がさらったスープの残りの皿をなめるほどに困窮していく彼は
権力に屈してしまうのか。

いや、もう屈していいよ!
思わず声をかけたくなるほど

そのやり口は恐ろしく
見ていてつらいんです。


ここまでの信念を貫けるか、自分に問うてしまうけど
どこをリミットにするかは別として
「自分である」「人である」ことを手放さない
その心は持ち続けたいと強く思った。

いまの時代、
アンジェイ・ワイダ監督が遺そうとしたものを、
我々は受け取らなければならない。

ぜひ!


★6/10(土)から岩波ホールほか全国順次公開。

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