英の放電日記

将棋、スポーツ、テレビ等、日々感じること。発信というより放電に近い戯言。

リオデジャネイロ五輪  ~笑顔が見たい~(柔道女子52kg級・中村美里)

2016-09-17 20:56:59 | スポーツ
柔道の女子軽量級、悲運な選手が何人も頭に浮かぶ。
   ………福見友子、浅見八瑠奈、山岸絵美、西田優香…………その中のひとりが中村美里。

「金以外は同じ」
北京五輪で銅メダル獲得後のことばがこれ。
インタビュアーが銅メダルを讃えても、ニコリともせず、悔しさいっぱいで絞り出した言葉だった。


 もともとは48kg級だったが、体格が良くなり減量も限界となり、52kg級に階級を上げた。この際、「谷良子を避けた」と思われるのが嫌で、階級アップをかなり拒んだというのが彼女らしい。
 それはともかく、52kg級に転向後は、減量を気にすることなく稽古に励め、強さがアップした。世界選手権や国内主要大会などテレビでの露出が多い大会では、彼女が敗れたシーンをほとんど観た記憶がない。ライバルの西田優香に敗れた記憶はあるが旗判定の微妙なものが多かった(対戦成績は中村の10勝5敗)。

 ロンドン五輪(2008年)では、順調に勝ち上がったが、準決勝で安琴愛に指導の差で敗れる。パワー負けで「何もさせてもらえなかった」と振り返っている。
 この安琴愛には、2010年のアジア大会では、“技あり”を先取されたのち“技あり”を奪い返し、ゴールデンスコアに持ち込み、最後は旗判定(3-0)で勝利している。また、2011年世界選手権でも対戦し、技ありを奪って勝利している。(世界選手権では金メダル3、銀メダル1)
 しかし、2012年のロンドン五輪では、初戦の2回戦で対戦。“技あり”を奪われた後、“技あり”を奪い返したが、それが“有効”に変更され、以降は“指導”2つを犠牲にして逃げ切られてしまった。安琴愛とは2勝2敗だが、何と大きい2敗なのだろう。安琴愛は北京五輪では銀メダル、ロンドン五輪では金メダルを獲得している。

 そして、3度目の五輪のリオデジャネイロ五輪
 順調に勝ち上がったが、マイリンダ・ケルメンディ(コソボ)に敗れた。序盤に“指導”を受け、そのまま逃げ切られての敗戦で、「如何に相手の“指導”をとらせるか」「“指導”を取られずに時間を消費するか」などの本来の柔道の本質とは関係のないテクニックの差であった。
 と言っても、ケルメンディは2013年、2014年の世界チャンピオンで、ヨーロッパ選手権の覇者でもあり、数多くのグランドスラム大会、グランプリ大会を制している実力者である。リオ五輪も決勝でオデッテ・ジュフリーダ(イタリア)に“有効”を奪って勝利し、金メダルに輝いており、「中村はケルメンディには総合力で敗れた」と記す必要はある。


「金以外は同じ」
…………北京五輪時の19歳中村にとっては“五輪の金メダルがすべてであった。

「いろんなことを経験して取った銅メダルなので、すごく重いです」
…………こう語る中村には笑顔はない。
 やはり、中村にとって金メダルは最も大きな存在なのだろう。インタビューや会見において、銅メダルに対する満足の気持ちは見ることは出来ない。
 流した涙については「両親に金メダルを掛けてあげたいなっていう気持ちが……涙であふれてきてしまいました(金メダルを掛けてあげたかったという気持ちが溢れてきて、涙がこぼれてきた)」と語った。
 また、翌日の会見では「改めてたくさんの人に応援とか、支えてもらってるんだなって、実感しました。やっぱり、北京から金メダルを目指してやってきて、金メダルを取れなかったのは悔しかったんですけど、銅メダルを獲得して周りのみんなが喜んでくれたのはよかったと思います」と、硬い表情で語っていた(一夜明けて、悔しさが増したように思える様子だった)。
 北京の時は、先述した「金以外は同じ(3位も1回戦負けも同じ。嬉しくない)が強烈な印象で他のことは覚えていないが、今回は周囲に対する心配りが窺えた。でも、「"銅メダル獲得でみんなが喜んでくれたこと”は良かった(中村自身は嬉しくない)」という気持ちがビシビシ伝わってきた。
 それにしても、この記者会見(『You Tube』を見る限り、約13分間)立派な席を設けた割には、実のない質問が多かった。「観光したところはあるのか?」「今、一番したいことは何か?」……もっと、核心に迫る質問や、選手が語りたいことを聞いてやれないものだろうか?
 訊くのは酷だと思うが、「準決勝の敗因は何か?」とか「"指導”のジャッジは適切だと思うか?」など突っ込んだ質問は出来ないのだろうか?こういう手の質問は、タブーなのだろうか?
 会見終了後、「写真を撮ります」という声が掛かり、いすなどを片付け始めたが、写真を撮るって……


 これまでの辛い稽古や悔しさ、周囲の支えや期待などを背負って望む五輪。だからこそ、金メダルを獲りたい。
 その気持ちはよく分かる(私ごときが「分かる」というのも失礼な気がする)。小学3年の時から柔道を始めたそうだ。いつのころから五輪を意識するようになったかは不明だが、金メダルを目指して厳しい稽古を積み重ねてきたはずで、「柔道=金メダル」という図式が定着するのは当然であろう。
 ただ、金メダルに固執するあまり、「柔道をする」という本来の目的(楽しさ、おもしろさ)を忘れてしまっては、何も残らない。金メダルを獲れば、その後の収入を含めた実生活も大きくプラスにはなるが、金メダルを獲ったとしても、金メダルに固執してしまえば、人生において残るものは少ないように思う。

 20年弱柔道に浸かってきたことになるが、「金メダル以外は(何もないのと)同じ」だとすると、あまりに悲しい。(私が言うまでもないが)、これまでに柔道で得たものは、非常に多く、素晴らしいものであるはずだ。
 中村選手は27歳。今後、柔道を続けるかどうかは知らないが、あと50年以上は人生が残っている。きっと、キミなら素晴らしい人生を歩めるはずだ。

 「いろんなことを経験して取った銅メダルなので、すごく重いです」……この言葉には、中村の人間として深みが感じられる。
 両親には金メダルを掛けられなかった。中村の笑顔を見せられなかった。
 でも、いつの日か、ご両親には笑顔を見せてほしい。両親は金メダルよりも、中村の幸せな笑顔を見たいはずだ。



 なんだか、くさい記事になってしまった………
 ちなみに、『Wikipedia』には、
「一般的には「笑わない柔道家」と見なされており、実際、柔道ではオリンピックで金メダルを取った時以外は笑わないことに決めているが、素顔はお笑い好きである(日本テレビスッキリ!!出演時の発言)。特にCOWCOWがお気に入りだという。また、R-1ぐらんぷりなどのお笑い番組をコマめにチェックしており、無名に近い芸人のこともよく知っている」
という記述がある。
ジャンル:
オリンピック
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